見出し画像

シニアが通信制大学で学んでみる~見えてきたメリットとデメリット

この春より、通信制大学で学び始めました。
はじめはやる気満々で入学し、4月当初は張り切っていたものの、やり進めていくうちにどんどん意気消沈。5月にひどい風邪をひいたときは、もう無理かと思ってしまいました。
それでも、60歳以上の地方在住の者にとって、新たな学びの機会を提供してくれる通信制大学。自宅や地元での学習が可能なため、今回のように体調がすぐれなくても、何とか頑張りきることができました。

一方で、学習の孤独感や自己管理の重要性なども同時に考えさせられました。ただやみくも頑張るという気持ちだけでは、なかなか難しい面もあると痛感しました。

そこで、入学から四ヶ月、このタイミングで、あらためて、60歳以上が通信制大学に通うメリットデメリットを考えてみました。
思いつくまま5個ほどに絞ってみました。この中で、どれか一つでも「あるなー」と思ってもらえたら、もしも今悩んでいて、ここが心配だったなどと何かの足しになったらうれしいです。


メリット~話半分で聞いてほしい

まずは、メリットを挙げていきます。
どこにでも書いてあるようなことになります。確かにメリットではあるけれど、なかなかこうはうまくいかないことも多いです。話半分、斜めな気持ちで読んでいただけるとありがたいです。

1. 時間と場所の制約が少ない

いつどこでも学習が可能です。
オンラインでの授業とレポート学習が主体となるため、自宅や地元の図書館など、どこからでも学習ができます。自分の都合に合わせて学習スケジュールを組むことができるため、仕事や家庭の都合に合わせた学習が可能です。

2.経済的な負担が軽減される

学費が安いです。
通学制にくらべて、学費はおよそ1/4です。さらに、大学に通うための交通費や宿泊費、食費などの費用を節約することができます。また、働いているとしたら、働きながら学習できるため、収入を得ながら学ぶこともできます。

3.年齢に関係なく学び直せる

年齢は関係ないです。
60代はもちろんですが、最高では90歳以上の人も学んでいるようです。いくつになっても、新しい知識やスキルを身につけようと思う気持ちが、自己成長やキャリアアップへと導いてくれるわけです。

4.経験を活かせる

学びを通じて、自身の経験や知識を活かすことができます。
60歳といえば、公私ともに、様々な人生を経てきています。これまで培った実務経験や人生経験を持っていることで、
授業や課題に対して豊富な、また変わった視点をもたらすことができます。

5.自己成長や趣味の追求

自分の関心や興味のある分野を選択することができます。 
もちろん、基礎科目はありますが、専門科目は、自分の興味のある科目を選択することができます。趣味や特技を深めるための学習や、新たな分野に挑戦することで、自己成長や充実感を得ることができます。



デメリット~なかなか厳しいということ

次に、デメリットです。
ダメなことばかり挙げても、気持ちが沈むばかりなので、ちょっとした解決策も、私なりに考えてみました。

1.学習の孤独感

孤独感はあります。
対面のクラスメートや教員との直接の交流が制限されるため、孤独感はひしひしと感じます。履修登録一つとってみても、何をどうとっていいのかよくわからず、ただ静かに学習がはじまるのみ。課題の提出も同じです。ひとりで黙々と学習し、単位を取る。それだけです。達成感を分かち合うこともできず、一人であぁそうかと思うのみ。
特に、調子がすぐれず、なかなか学習がはかどらない…という場合には、同じ悩みを共有できたらなぁと痛切に感じました。
しかし、オンラインの授業やSNSを通じてコミュニケーションを取ることもできますし、数少ない対面の授業に参加して、同年代、または年齢に限らず、気の合う人と意気投合する場合も無きにしもあらず。ただ、焦ってはいけません。人間関係は慎重に行きましょう。
寂しいからって、誰彼ともなく話しかけて、その場の雰囲気に流されてしまっては、元も子もありません。孤独もまたよし!の精神でいくのがいいと思います。

2.自己管理の重要性

自己管理能力が求められます。
自主的に学習計画を立て、課題やテストの期限に合わせて進める必要があります。時間やスケジュールの管理、しかも自分一人で、となると、なかなか、うまく調整することが難しいかもしれません。
そのようなときは、学習相談窓口に相談しましょう。たいていどこの学校でも設置していますので、気軽に電話なりメールなりして、わからないところを相談するのは大事です。
ただ、丸投げはいけません。自分で学習要覧をしっかりと読み、まずは自分でやってみる。その後わからないところや不安なところを相談する形にしましょう。よく考え調べて、わからないところをピンポイントで聞いた方が、効率がいいですし、覚えられます。特に中高年は、忘れっぽいですから要注意です。

3. 実習や実地経験の制約

実習がある場合は注意です。
一部の専門分野や職業では、実習や実地経験が必要となる場合があります。たとえば、司書や学芸員などの場合、実習は、どうしても対面で現地に赴かないといけません。通信制大学ではこれらの機会が限定的です。つまり、いつでも自分の都合でできるわけではなく、日程調整が必須です。自由が基本の通信制ではありますが、仕事がある場合は調整するなど、少しだけ日常生活を学習モードにシフトさせる必要があります。

4.技術的な苦労

パソコン必須です。
コロナ以降、オンライン学習がずいぶんと進化しました。通信制とはいえ、自宅で学習するのに、オンライン、オンデマンド、などパソコンでの学習も多く、履修登録や課題提出など、パソコンを使用する機会は非常に多くなります。
60代は、ITに不慣れな場合も多く考えられます。その場合、オンライン学習において、技術的な苦労が生じる可能性があります。まずは、学校独自のオンラインシステムや学習ツールの使い方をマスターしていきます。学習のはじめ方など、説明書に従って、ゆっくりと習得していきます。
若い人は、なんでもなくこなす作業も、中高年にとっては、至難の業という場合がよくあります。何でこんなことがわからないの?できないの?という能力的、技術的な問題に加え、接続の不具合によって学習が妨げられることもあります。そんな時は、本当に嫌になり、無理なのかもしれないと自分をせめてしまうかもしれません。
まずは、パソコン、ネット環境、メールサーバーなどをしっかりと整え、備えることから始めましょう。ネット関係について、あまり詳しくなくても、今のパソコンは自分でいろいろやってくれます。これを機に買い換えましょう。それでもわからない時は、やはり相談窓口へ。聞かないと何もリアクションはありませんが、聞けばちゃんと教えてくれます。

5.就職・転職の制約~今から再就職を考えている場合

転職に有利とは言い切れない。
通信制大学の学位や卒業証書が武器になるかといえば、少し難しいかもしれません。一部の企業や職種では対面での学位取得を求める場合もあるようです。世の中的に、なんとなく、通学制>通信制といった構図はあるのかもしれません。特に、競争が激しい職業や特定の専門性が求められる場合には、通信制大学の学歴だけでは十分な評価を得られない可能性があります。特に60代以上となれば、若い世代よりも成績がよかったとしても、再就職はなかなか難しいかもしれません。
ただ、専門的に勉強したい、卒業したい、という目的であれば、特に心配の必要はないかと思います。


まとめてみると

一つ自信を持って言えることは、まずやってみるということ、それに尽きます。

私自身、意気揚々とやるぞという気迫と共に、前のめりで踏み出したにもかかわらず、はじめのころは、何が何だかわからず、困り果ててしまうことが多かったです。送られてきた冊子を、端から端まで読んでも理解できない日々。こんなにもブランクがあるのだとショックを受けました。
文字も漢字も読めるのに、理解ができない。一体どういうことなのだろうと、目の前で扉がバンッと閉まるのを感じました。それでもあきらめられず、何日もかけて、まずは読み込むことからはじめました。少し読んで、また次の日に同じところを読んで、少し考えて、また読んで、とやっているうちに、なんとなく理解できるようになりました。若い人なら、またもっと社会経験の豊富な人ならば、すぐに理解できるのだろうなと思うと、自分がなんとも情けなく、悲しくなったりしました。

履修登録も、どの程度のペース配分を考えたらいいのかも予想できず、とりあえず少なめに登録しつつ、様子を見ていきました。あれこれ考え、立ち止まり、少し進めて、といったように、何とかついて行っているというような毎日でした。少なめの学習で、ゆっくりと確認しながら進めることで、なんとなくわかってきたかもしれないというのがこの四ヶ月の成果です。

通信の一番のメリットは、自分のペースで学べる自由さではないでしょうか。仕事や家庭の都合に合わせて時間を調整し、自宅や地元で学習できるため、生活スタイルの変化や地域の制約を気にせずに学ぶことが出来ます。自分の興味や目標に合わせた学びを追求し、新しい知識やスキルを身につけるチャンスです。
一方で、自由であるがゆえに、ついつい流されてしまう面も併せ持っていることも事実です。そのあたりの調整が、通信で学ぶ上で一番難しいところではないでしょうか。


最後に

まずは踏み出してみましょう。失敗したからって、もう人生後半、何も怖いものはないですからね。やっぱりだめだったなーっと笑ってしまえばいいのです。通信制大学で自由な学びの旅に出て、人生の新たな世界をのぞいてみましょう。

以上、きれいにまとめてはみましたが、なかなか厳しい道のりに変わりはありません。私もまた漕ぎ出したばかり。これからまたどんな困難が待っているのだろうかと思うと、不安しかありません。そんなときは、きっと大丈夫。これまで60年以上なんとか生きてきたのだから、きっと今度も大丈夫だと、謎の自信を心の奥底から引っ張り上げては、なんとか前に進んでいる状態です。一方、それでもだめな時は、もう仕方ないと諦めるのもありだと思うことで、心の平静を保ってもいるのです。

夢だった大学卒業への道のりは、まだまだずっと遠く険しく、ゴールは遙か彼方で全く見えやしないけれど、ゆっくり進んでいこうかと思っています。



#私の学び直し


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?