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帰り道について その2

『帰り道』

遠すぎたはずの風が いつの間にか 過ぎてくように
山積みのやさしい気持ち いつまでも忘れずいたい

なんだか暑かった秋の終わり アイス食べながら帰り道
頭上からあの甘い匂い 思わず振り返った

まだ咲いてたのかい
うれしくなってしまって 単純だね

茜差すこの部屋で ひとつずつ思い出していた君
壁に浮かび上がる影を いつまでも眺めていたい

もう一度はじめから あの日々へ会いにいきたくて 叶わなくて
いつかさよならの夜風 胸いっぱい吸い込んで

歩いていく
寂しくなったそのあとで 滲んだ声

なんだか暑かった秋の終わり アイス食べながら帰り道
頭上からあの甘い匂い 思わず振り返った

まだ咲いてたのかい
うれしくなってしまって 
寂しくなってしまって 帰り道


 一昨年の秋に書いた曲。前回の記事を書いたあとで、わたしは“帰り道”が好きなのかもしれないと思った。この曲のタイトルは特にこだわりなくつけたんだけれど。

 高円寺に住んでいた当時、たまに帰り道にアイスを買っていたお店は、いつのまにか閉店してしまっていた。ブルーシールアイスを売っている駄菓子屋だった。高円寺にはいまもよくいくのに、閉店からだいぶたってから知った。
 一昨年の秋の帰り道、もうしばらく前に終わったと思っていた金木犀の香りが突如降ってきたとき、金木犀が二度咲きすることを知った。無性にうれしくて、同時にこの先もずっと忘れたくないこの街、この部屋への気持ちが溢れて、帰ってそのまま曲の大半を作った気がする。

 これからもいい帰り道コレクターとして、鋭意活動していきたい。


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