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小説『消えた小説』全記録

日本文藝界初の「メタ私小説」を書く タイトル『消えた小説』その全取材ノート あらすじ 2023年3月。男は四十六歳。ADHDで双極性躁鬱だ。三年引き籠った九州で男はFX詐欺に遭…
⬛︎10名限定 アピールポイント「消えた小説」が書籍になった場合、書籍よりも安く読める。 随時、最新…
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#純文学小説

消えた小説(16章)、上野まで、上野駅

8995文字+有料(101947文字=400字詰換算、254枚) ■ 一六章(三月二十三日・木)デートの日  朝からくもりだった。  家をでて、直進すれば県道だが、橋本屋の自販機を折れて烏川にでて川沿いを北に登った。それから牛舎がならぶ農道にでて、男の住む町の麦畑が広がる農地と駒形町をへだてる住宅地にでた。高圧電線が高くそびえる鉄塔沿いに北にペダルとこぐと、地元でぽっくり観音堂とよばれる合同霊廟にでた。そこからさらに北へ登っていく。県道沿いの十字路に新しくできたばかりの

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消えた小説、第二章前半(第二稿)

10039文字+有料 ■ 二章 バイト初日(三月一九日・祝)  九時十五分だった。  いまからペダルをゆっくりと踏んでも、出勤時間まで十五分ほどの時間の余裕はあった。  家の、上がり框(かまち)に尻をつけて、男はスニーカーのヒモを結びなおしている。  生前の祖父母の寝室へぬける、南の縁側の三和土のタイルの上に、背の高い観葉植物の鉢がいくつもならんで置いてある。それらの垂れた葉っぱに、隠れるように、小ぶりの木台に、シクラメンの鉢がひとつ載せられ、赤く咲いていた。  

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男(ADHD)の内観描写。(GH全記録)

2894文字+有料 「コノミチナリニ、ヒャクゴジュウメートルヲチョクシンシマス、モクテキチニツキマス」  男は、おや指の腹で地図アプリのタスクを切った。  遠くで大型トラックが豆粒になって連なっている。あれが県道だ。男はスマホの地図をもういちど確認した。顔を上げる。目をほそめる。額から汗が、メガネのレンズの内側に、たれた。県道の手前に広がる、緑一面の田園のなかに、店の赤色の看板がみえる。男が安堵のため息をつくと、手前に流れる水路の脇に生えた、真っ黄色の連翹(れんぎょう)

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AIには絶対に書けない物語に挑む。(GM全記録)

2502文字+有料  いまのAIは、一文に多義性をふくむメタファーを盛りこむとか、多義的な意味の暗喩、両義的な語で伏線を貼る、ミスリードの誘導、伏線(布石)の積み上げで物語の世界を拡張させるとか、できるのだろうか?   そのプロット構築こそが、読者が物語を読んだときに、かんで味がでる醍醐味だ。それをAIにやられたらもう、小説家はお手上げ。商売は上がったりだ。  キーッ。  男は急ブレーキをかけた。ロードバイクは前方につんのめった。後ろのタイヤは太陽を隠した。  やばい

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メインプロットを変えない推敲。20230406thu289(GM全記録・有料)

29041文字・300min 男の性格 膨らませても物語のメインプロット(筋)は逸脱しない キャラのせりふの掛け合い ネコの存在感   プロローグ 菜の花畑にて ■湯善納骨堂前の菜の花畑にて  目を覚ましたとき、男は菜の花畑に倒れていた。  鼻についた黄色い花粉を手で払い落として、男は顔をもたげた。男が乗っていた自転車はアスファルトの道の端に、スタンドが立てられた状態でちゃんとそこにあった。  男は上半身を上げて盗まれたりした物はないかと自らのからだの節々

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小説『GM』全取材ノートvol.7。20230330thu279_二章プロット

2569文字・5min  二日目 バイト初日(三月一九日・祝) 登場人物 男オクサン リョーマ ミホ タツ ナオキ マスター シゲ ヤマ ■自宅にて(出勤するシーン)。  九時十五分だった。  これからゆっくりとペダルを踏んでも、出勤時間まで十五分ほどの余裕はあった。  男は上がり框(かまち)に尻をつけてスニーカーのヒモを結ぶ。縁側に抜ける西がわに植木鉢があって、それに隠れるようにシクラメンの鉢が赤く咲いていた。毎年男の父が沼田のカンベオートからひ

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小説『ゴッド・マザー』全取材ノートvol.3。20230326sun272(ラストシーン第二稿)

5233文字・180min 喜ちゃん飯店の裏手、乾燥機の前。 アナタのそういう所が嫌いなんですね。オザワさんね、やっぱり、やっぱりオザワさんも大人だからわかるよねえ? あたしがなにか言ったら、働かせてもらってるんだから、経営者のやっぱり、あの、教え、教えてもらってるんだからそれを、やっぱり、素直に聞かなくちゃいけないんじゃないかなってかなって、思ったんですよ。でそういうアレがオザワさん一節(いっせつ)もなかったんです。あたしがなにか言うと、『どうしたなにかあるん?』 って

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