マガジンのカバー画像

小説『消えた小説』全記録

日本文藝界初の「メタ私小説」を書く タイトル『消えた小説』その全取材ノート あらすじ 2023年3月。男は四十六歳。ADHDで双極性躁鬱だ。三年引き籠った九州で男はFX詐欺に遭…
⬛︎10名限定 アピールポイント「消えた小説」が書籍になった場合、書籍よりも安く読める。 随時、最新…
¥980 / 月 初月無料
運営しているクリエイター

#ミツル

男の性格(メモ癖)を道具で使う(GM全記録)

8320文字+有料  そろそろ立ち上げ準備のはずだ。  十時二十五分。男は、メモ帳に記した。 「どうだい? やっぱり良いじゃないか」  勝手口の敷居に仁王立ちをして腕を組んでオクサンは立っていた。 「先ずは、ぼくはなにをやればよろしいですか? 」 「最初は誰だって何もできやしないんだから、見てればいいんだよ」  まわりが一瞬、黙った。男は、パニックになりそうになって、咳きこむ。 「アキさん。マスクね。そこにあるよ」  ヤマさんは言った。  男は氷水のピッチ

有料
100

初日、さまざまなキャラの登場(GH全記録)

10979文字+有料  なぜそれらをメモしたのか。男にもわからなかった。バイトの初出勤で緊張して、目に映るものすべてを覚えようとしたのか。  自分はADHD(注意欠陥・多動性障がい)ではないか? 男は以前からそれを疑っていた。好きな小説やゲームはいくら時間を費やしても集中はできる。だが好きなこと以外に取り組むときや緊張をしたりすると、いろいろなわき見や独自の思考浮遊やとっぴな判断などの衝動が、脳から、とびでる。煙から蚤がぴょんぴょんとはねる。それらは身体にめぐって  数

有料
100

男(ADHD)の内観描写。(GH全記録)

2894文字+有料 「コノミチナリニ、ヒャクゴジュウメートルヲチョクシンシマス、モクテキチニツキマス」  男は、おや指の腹で地図アプリのタスクを切った。  遠くで大型トラックが豆粒になって連なっている。あれが県道だ。男はスマホの地図をもういちど確認した。顔を上げる。目をほそめる。額から汗が、メガネのレンズの内側に、たれた。県道の手前に広がる、緑一面の田園のなかに、店の赤色の看板がみえる。男が安堵のため息をつくと、手前に流れる水路の脇に生えた、真っ黄色の連翹(れんぎょう)

有料
100