泪竜さまの物語(1)
遥か昔。
宇宙が百回くらい生まれ変わったほどずっと昔の話。
世界に三匹のドラゴンが生きていた。
地を踏むタイラと、空を飛ぶレックスと、海を泳ぐコロールだ。
タイラは地面を走っては火を吹く。火は森を焼いた。
焼けて黒くなった森は大地になった。
世界で一番高い山の頂上に棲むレックスはよく涙を流した。
レックスの涙は山に落ちて流れる川になって、やがて大きな海になった。
コロールはレックスが涙で作った海が大好きでいつも海の中を泳いで遊んだ。
でも、海の中には何もなかった。
コロール