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400字日記(リニューアル版)

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400字日記をリニューアル 日記に通底するテーマ 「すべては作家人生のために」 400字に入れること➡︎日々に見た感じたもの(具象) 四百字をどのような形式で見せるか? ➡︎「第…
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2024年4月の記事一覧

エンタメ版のマクガフィンの問題 / 20240430tue(398字)

マクガフィンは小説や映画などのフィクションにおけるプロット・デバイスの一つ。話を進めるために用られる作劇上の概念。 ヒッチコックのマクガフィンの定義はプロットの進展に必要であるものの観衆はさほど気に留めないオブジェクト(ネックレスや書類)。対してジョージ・ルーカスは「まるでヒーローと悪役の決闘シーンのように観客を虜にするものでなければならない」と語る。 ぼくはルーカス版「悪役:綿鍋銀次」を物語に登場させた。とはいえ、マクガフィンだ。綿鍋銀次が死ぬと物語は急速に力を失った。

否定するなら代替案を示せ! / 20240429mon(400字)

上記に反論。 一昨年、ぼくは大分にいた。 農薬はドローンだった。 時代の進歩だ。 「農業は金がかかるから辞めておけ」 これは固定概念で批判するだけの野党の考えだ。 いままでは既得権益が悪い。 イセキ農機、全農、農協。 これらは水呑百姓から金を毟るクズだ。 農機具は村でシェア。 「大きな所に共有財産を保管」 「使う時期に出動させ」 「使う人間が稼働」させればいい。 たとえば稲作だ。 日本の地政学的な戦略。 これは桜前線とおなじだ。 仮設として「コンバイン軍団を組織す

西洋の竜(船の原型) / 20240428sun(400字)

西洋の竜 爪と翼をもち、背が高く、胴体の太い大蛇が竜にいちばん忠実な描写だ。真黒であってもつや光りしていることが不可欠だ。同じく不可欠なのは火と煙を吐くこと。この描写はむろん今日のイメージだ。ギリシア人は爬虫類の巨大なものなら何にでも、竜と名を与えた。プリニウスによれば、夏、竜は象の血を欲しがる。象の血は冷たいからだ。竜は象にとつぜん襲いかかり、体を巻きつけ、歯を食い込ませる。血のなくなった象は地面に息絶える。竜もまた、その餌食の重みに押しつぶされて死ぬ。 エチオピアの竜はよ

じぶんとセックスはできるか? / 20240427sat(393字)

窮極の問いだ。 じぶんが女と仮設を立てる。 じぶんに抱かれる。己の男性器を咥える。 本能で「喘いだ」経験がない。 抱かれながら、性慾が迸るじぶんの顔面を見つめる。できるだろうか? 今まで思いつきもしなかった。 タイのショーパブにその類の店がある。 六本木にあるかも知れない。 今じぶんが女になって今のじぶんに抱かれる。 想像ができない。僕は女ではない。 この状況を虚構で書けるだろうか? 書けば書けるだろう。が、文章に信憑性はあるか? 観察できないじぶんの醜態を客観的に描写す

代理母との妄想 / 20240426fri(400字)

目覚める。ロスの時刻は四時間を引いてAMとPMをひっくり返す。 これは昨日の朝四時に送ったメールか。 四十歳のときに子どもが欲しいと卵子凍結した。五十を過ぎたので代理母になる。私に期待しないで。それと、私の名前、覚えておいて欲しかったな。 プロフに目を落とす。 五十三歳。独身。ロス在住。ハリウッド映画の着ぐるみ制作。 朝6時に起きて会社に行き、夜に帰る生活。 メッセージをスクロール。 名は環だった。 環を残して身の丈に合わぬ高スペック女を整理していた矢先だった。 代理

被せてくる港区の女 / 20240425thu(400字)

昼前。雨。 マッチングアプリを開く。 うな垂れる。 体重を訊ねてきた女だ。 返答に困る。太った体重を気にしているのだ。 これをデリカシーというのか。 「体重がなにか… 」 時間を置いて答えた。 「体重に合わせての運動がいいですよー」 僕のプロフを見たらしい。 彼女のプロフを見る。 五十二歳。港区。大卒。外資系企業。 海外へは五十五カ国に行った。機内でCAに声をかけられます。 旅行相手探し。食事に行きたい。ゴルフ相手が欲しい。 自分の話しかしない。対話は基本スルー。 マウン

妊娠検査薬(掌編) / 20240424wed(399字)

「今日はおれが出すよ」 「じゃおねがい」 結は翔の頬にキスをして玄関をでた。 靴棚の横にゴミ袋を落として翔はしゃがむ。 第六感は的中した。袋の底に、白い棒を見つけて、摘みあげた。 妊娠検査薬だ。判定線はない。 ドアに翔は背を凭せる。南の窓に曇空が見える。 ベランダの向こうに濃い葉がみえる。階下の桜の木だ。 背中が下にずるずるとさがる。尻がついた。 「結となら欲しいな」 昨年の今頃、翔は結に言った覚えがある。 翔は四十六。結は四十二。 結が孕めば生活は一変する。 結は変化を求め

読者よ。小説に何を求めている? / 20240423tue(398字)

「何をどのように書いてもいい。それが小説だ」 筒井康隆 イギリスの批評家テリー・イーグルトンは『文学とは何か』でこう語る。 「雑草」とはある決まった種類の植物の名ではなく庭師が庭に生えてほしくないと思う種類の植物全体を指す語であるのと同じように「文学」という言葉は(文学という決まった種類の何かがあるのではなく)何らかの理由で誰かが非常に高く評価する種類の文字表現全体を指すものなのだ。 その誰かとは、作家や批評家たちからなる権威機関だ。 読者よ。好きなものを自由に読め

三島由紀夫もやなせたかし皆もおなじ作家だ / 20240422mon(317字)

自身の筆に、素人が抜けなかった頃、 君が信奉する大作家も絵本作家もおなじ作家。客層が違うだけだ。 師匠に言われた。これでぼくは目覚めた。 三島由紀夫もやなせたかしもおなじプロなのだ。読者を楽しませる土俵が違うだけだ。 「小説の世界をどのようにして描くか? 」 ぼくは「村上龍」「村上春樹」を教科書にした。 かれらの作品をいく度も読んだ。 己の小説がじぶんなりに、ようやく描けるようになって、皮肉なことが起こる。かれらの小説の「粗」が見え始めた。こう思うようになった。

停滞稿の反省(鬼雲編) / 20240421sun(398字)

六日停滞した所が纏まる。 書けなかった点と筆が走った点を整理。 夜。京都、先斗町。鴨川沿いの料亭。 北陸組「銀」は大阪組の実兄「金男」を探している。 だが、銀は身に危険を感じて大阪にいけない。 銀は京都の料亭で自衛隊幹部「鬼雲」とあう。 鬼雲は東京組の「忍」の刺客だ。 ★鬼雲が動かない。 wikiで田中邦衛を調べる。 Netflix「ブレイキング・バッド」を見、主人公が末期癌に着目。 自衛隊の組織図を調べる。 銀は動く。が、まだ鬼雲は動かず。 美魔女の仲居(大阪弁)を登

実際に見たヤクザの話 / 20240420sat(400字)

二度ある。 初めは小学五年 ステーキハウス。 家族四人で食事のとき。 どん。 席に、瓶ビールが二本置かれた。白い服を着た男が立つ。 「飲んでくれや。蒼井さん」 「非番だ。家族できてるんだよ」 父はわらう。 「カテエこというなや。仕事じゃねえんだろ」 父はやんわりと断る。 男が戻ったボックス席に桃色と黄色のワンレンボディコンの女が居た。 男は女二人を抱えるように座った。 二度目は地元オートレース場の観覧席で。 二十五歳のうつで療養中。祖父に連れてきてもらった。祖父は元市会議員

猫四歳になる。僕と同年齢か? / 20240419fri(399字)

三日前、猫が四歳になった。人間では三十二歳だ。 猫が八歳になるとぼくと同じ年齢か。お互い52歳。 恐ろしくて想像ができない。 散歩の予定だったが生垣の残りをやった。 夏日か、汗が噴き出、昼に切りあげた。 燃えるゴミ袋三つ分だ。 芽はにょきにょき。 柔らかい緑。 鼻に青臭さが突く。 眼前でバッタが飛ぶ。 いい汗だった。 シャワーが心地よかった。 この時期は猫は毛がすごい。 日記はネタがすぐ尽きる。 心配していたが過去のバイトで知った友人との思いばなしを書いてもいいと思った

「焦るな」の言葉は焦る / 20240418thu(400字)

先日、焦るな。と言われ、その言葉で焦った。 どういうことか? 考えた。 僕の小説に女を落ち着かせるシーンがある。 沖で核爆弾が爆発した。爆風は迫る。  息をふき返して目を覚ました女の頬をキムは叩く。日本語で、噛んで含むように伝える。 「いいですか。これから私はあなたを抱いて海中に潜ります。きっかり三分間潜ります。百八十秒だ。あなたは心を鎮めて息を大きく吸ったあと、できるかぎり息を止めていてください。息が漏れても大丈夫。私が息をふきこむ。安心してください。私があなたの命を、

丸山健二先生に宛てたメール(後編)20240417wed(398字)

丸山健二先生の「魂」を「丸山塾」で一子相伝で受け継ぐ。 じぶん固有の文体を作り上げる。作家としてこれは非常に困難な作業です。 才能とは己の欠落を補強する力だと思います。 では才能はどこにある?  才能はそもそも存在しない。そう思います。 (才能については割愛) 数年前、鉄道旅行にて。 秋田駅のホームでぼくは盲目の女のステッキで躓いた。 「あっすみません」  と小声をだしたつもりでした。が、 「ぎゃっ」  と彼女はぼくの声に反応して悲鳴をあげた。 このときぼくは思った。女は盲