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日々是短歌、ひりだす哉。

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素人俳句です。 手元に一冊「短歌研究2021年6月号」を持ち、それを頼り(ほとんどバイブル)に日々一首をひりだしていきます。
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#マッチングアプリ

マップリのグルト(ゆれるワカメたち) / 20240610mon(400字)

ペアーズには「グループトーク(グルト)」がある。 ひとことで表せば「水槽のなかでゆれるわかめ」だ。 ⑴グルトでマッチングすると「互いでおなじグルトに入れない」。 ⑵「いつメン(いつものメンバー)」は安心してトークできる。 ⑶「いつメン」で仲良くなるとグルトの輪が壊れるのが怖い。 ⑷男性で無課金でも「グルト」なら無料で使用できる。 ■□ 「あそこのグルト、ひどくない?」 「A君でしょ。部屋を立てる。同性が入るとキック。ハーレムにしてる。笑うんだけど」 「引くわー」 「ダメ

カザフスタンの女 / 20240608sat(400字)

英文) 「ありがとう。それを聞いて嬉しい。また日本に行きたい。わたしは強く願っている」 カザフスタン出身。32歳。美人だ。 プロフでは結婚に対して熱烈な文章。だが明らかに翻訳アプリで加工された文章だった。 カザフスタンをネットで調べる。広大な砂漠の国だった。 彼女の言葉「desire」に感じ入るものがある。 「あなたが指摘したように、見知らぬ国に移住することはむずかしい。わたしは理解している。必ず計画を立てる。それでもわたしは日本人と関係を築きたい。その願望のほうが

イケメンSくんの話 / 20240607fri(400字)

昨年、マップリのトークルームにて。 僕とS(26歳)が残った。Sは好青年だった。 「イケメンだね。モテるだろ」 「昔はモテました」 当時19歳のSは都内にいた。 「ヤリモクでTinderやってました」 「どれくらいモテたの?」 「ひっきりなしです」 メッセージで「代官山の某レストランに三時に」いきなりだ。 Sを呼ぶ女はみなポルノ女優だった。Sはレストランで食うだけ食って女と寝た。女は撮影の合間か仕事がない日にSを呼ぶのだ。毎日だった。 ある日、Sが働くファミレスに彼女が現

恐ろしく有能な女。(看護師編) / 20240509thu(400字)

始まってもないのに、 ごめんなさい。 不安でした。 昨晩は勇足だった。ケータイを開く。 おはようございます。ゆっくり休めましたか? 色々とお話し有難う。 私の写真をたまたま気に入ってくれたのかなと思います。 でも実際にお話ししたら、あれっ?って思うかもしれない。 お会いしたらフィーリングが合わないって思うかもしれないよ。 まずは通話してみましょうね。 仕事の都合で後日でも大丈夫ですか? レナ 完璧な返しだった。 看護師53歳。部下に上司に助けられ日々を感謝。 レナ

過去に生きる女 / 20240506mon(400字)

「キティって呼ばれます。若い頃はすごーくモテたんですよ! 当時はアッシーくん。メッシーくん。貢くんがいました! デートをした数は百を超えます。プロポーズは二十はありました。でもキスに至るまで一年かかるお堅い女子でした。理由は… じぶんでわかってるんですけどね。笑。セナさんはモテましたか? 」 のっけから元気な女性だ。 「告白すれば全戦全敗です。モテたことはないです」 プロフを見る。 元歌手。ソニーと契約が折り合わずライブハウスで活動。怒涛の子育てが終わる。65歳。身長