魚に愛は伝わるか(自分語りのお話)

ある夜、私は映画「鉄コン筋クリート」を観始めた。
パートナーから残業で帰りが遅くなるという連絡を受け、夕飯なににしようなどと考えていたらなぜが松本大洋さんの作品を観たくなってしまった。
ここ1年の間「ピンポン」という作品から入り、「花男」で心をやられた。良い意味で。
多分「ピンポン」は情熱が、「花男」は夢を追う姿が眩しかったのだろう。羨ましく格好良い男の生き様だなぁと思った。私は女だが、格好良いと思う
ものに性別は関係ない。
情熱も夢も、今の私にはない。考えられる容量がまだ用意できていない。
情けなくて、少し泣きそうになった。
自分語りなどそんなことはどうでもいい。パートナーが残業で遅くなろうが私が突然泣きそうになろうが過呼吸気味になろうが、ポリプテルスたちは今日も元気なのだから。

水槽を近くでぼーっと眺めていると、良いタイミングだったのかセネガルスがこちらへ向かってきた。
目を合わせるようにじっと見つめてみた。あちらは人間と見え方が違うだろうし目など合っていないのだろうが、逃げていかないことがとても嬉しかった。
音をたてないよう、驚かないように気をつけて人差し指でガラス面を触ってみた。爪を当ててしまうと音が出やすいので、指の腹を使う。そのままゆっくり人差し指をセネガルスの近くまで寄せる。
逃げない。
指を横に動かすと、追うようにセネガルスの顔が動いた。逆方向に指を動かすと、また追うように顔が動く。
何回か続けると反応が薄くなり、泳いで行ってしまった。
おそらく餌が動いていると思ったのだろう。においがしないし食べられないしで追うのをやめたようだ。
セネガルスが行ってしまってからも観察していたら、気づいたことがあった。
ポリプテルスの目は、光の加減によっては綺麗に光る。カットされた宝石のように輝く。セネガルスもエンドリケリーも、目は似たような形だ。同じように光ってとても美しい。
思い返してみれば、彼らをお迎えに行ったお店にいたポリプテルス・セネガルス・アルビノの目も真っ赤なルビーのように光っていた。
アルビノなので真っ白な身体に真っ赤な目。
写真や画像ではわからない、自分の目で見たからこその発見。

これは私が休職でほとんど家にいられるからこそできることではあるのだが、なるべく2日に1回以上水替えをするようにしている。
本当にまめな方は毎日するだろうし、ネットの情報によっては週に1回という方もいるので個人差はあるだろう。
復職してフルタイム勤務+残業を始めると、早起きをしない限り2日に1回の水替えは難しくなるだろう。早起きすればいいだけの話なのだが、なかなか難しい。
早起きの訓練をするべきなのかと思いながら、今日もこうしてのんびりとノートパソコンを開く。


2022年8月24日 投稿
2022年8月25日 リンク追加


見出し画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。
ありがとうございます。


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