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今こそ、誰もが雑誌を売れる時代【コローレ秋冬号 制作記】

こんにちは
はじめましての方は、はじめまして

グラフィックデザイナーをやっています、あおです。

前回、4月ごろに「コローレ」という雑誌を制作しました。

32ページのトータルデザインを担当し、大変好評をいただきまして。(500部完売)

【前回「コローレ 春号」の制作記】
https://note.com/aoiro21/n/n456369496180

その反応を受けて、半年も経たぬうちに第二弾のプロジェクトが始動、現在販売中のコローレ第二号ですが、その制作記をここに記そうと思います。

コローレがどんな考え方で作られているのか、デザイナーの視点で記していきます、コローレをまだ読んだことがないという方も、興味があれば、一読いただければと思います。

■コローレ秋冬号

雑誌の制作に当たっては、前回よりもボリュームがアップし32ページが44ページに

コンセプトの組み立てから、アンケートでいただいた意見の採用、記事の構成や、テキストの校正、そしてデザイン

制作工程については、前回も同様でしたが、莫大な作業量でした。

今号のテーマは「つながり」

コロナにより、変わってしまった世界だからこそ「つながり」について考えたい、そういった意味をこめて設定されました。

そうして15人のライターさんに参加してもらい

デザイン部門では、グラフィックデザイナーの新井陽子さんにも協力してもらい、新しいコミュニティの中で雑誌作り。

ライターさん向けの制作マニュアルも用意したりなど、前号よりも良い雑誌ができるように、なるべく環境を整えていきました。

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▲制作マニュアルの表紙、内容は企業秘密です。

前回に劣らず、大変な作業でしたが、新たな刺激があり、とても楽しい仕事でした。

■情報の質が変わりつつある現代

ここからは、コローレひいては個人制作の雑誌(ZINE)の価値とはどこにあるのか、どんな思いでコローレを製作していったのかということについて書いていきます。

※あくまで、一人のデザイナーからみた考え方、捉え方だということをご了承の上、読んでいただければと思います。

規模は小さくても「雑誌づくり」となると、莫大な時間と労力をかけ、多くの人を巻き込んで、コストもかかるプロジェクトになります。なので制作し始める手前の時点で、それなりの「確信」が必要になります。

「作ったところで本当に必要とされるのか?」

ということです。

例えば「前号は興味深さで購入したけれど、今号は購入されない」なんてことも大いにあります。

回数を重ねるほど、目新しさはなくなり、どんどん「内容」が重視されてくる。

現代では、さまざまな情報媒体が乱立しています、雑誌、ニュース、テレビ、youtube、SNS、ブログ、書籍。

検索すれば、欲しい情報が正確に手に入ります。

その情報洪水の中でコローレは必要とされるのか。

変わりつつある現代の情報の質について考えてみると、その答えは見えてきます。

昔の情報の特徴といえばマスコミ、マスメディアと言われる「マス(大衆)」です。テレビや新聞など情報媒体は絞られていて、情報の質は「大衆」や「権威」によって決まっていたように思います。

しかし時代が進むにつれて、さまざまな情報媒体が登場すると、その数に比例して、情報の規模はどんどん小さく細かく特定的になっていき、情報の質が変わっていくのです。

(こういった小さなメディアのことを、パーソナルメディア、ミニコミと言うそうです。)

僕は現代における情報の価値とは「共感」にあるように思います。

僕の中で「個人雑誌の需要」に対する確信はここにあります。

■「波長」の時代

共感するというのは、いわば波長が合うかどうかということです。

どれだけ正しい情報でもどれだけ権威のある情報でも、今の時代では、波長が合わなければ弾かれてしまうことがしばしば。

選択肢が増えるほど、受け手が求めるものが、どんどん特定的になってくるのです。

受け手が情報に合わせていた時代から

情報を受け手に合わせる必要が出てきました。

そういう意味でコローレは大いに必要とされる情報媒体だと思いました。

思い返せば、前回のコローレプロジェクトが始動した初期のころ、僕が目指したのは、物知りな友人と話しているような雑誌。

コローレは情報の正しさや権威よりも「共感」にフォーカスした雑誌として制作を進めてきました。


共感することってとても大切。

だけれど、難しい。

例えば僕の場合、親しい人と会話する中で出てきた「結論(情報)」が、人生を変えるような良い変化に繋がったことを何度か経験しましたが。

後で考えてみると、その「情報」は、今まで読んだ本の中に書いてある既に存在する情報だったりするのです。

それでも僕の人生が変わったのは、その本を読んだ時ではなく、その人との会話をした時でした。

つまり今の時代「情報」はたくさん見つかりますが「共感」というのはどれだけ検索しても、簡単に見つかるものではありません。

だから、コローレは、今の時代必要とされるのではないか、そう思いました。

情報の有益さとか正しさだけではなく「波長」という物を意識して制作していて、今回のデザインにもその考え方を各所で反映しています。

■コローレの可能性

僕は今でこそ、個人雑誌の需要が高まっている時代なのではないかと思います。

それは前述した「共感メディアの時代」ということもあるのですが、もう一つの理由としては、「紙」という要素にもあるように思います。

コローレの一番コストがかかっている要素って「紙」です。

電子書籍の時代ならば、データで配布すれば、そんなコストも削減できるのですが、それは絶対にしません。

文明というのは不思議なもので、発展していくと、時折、原点回帰のような現象が起こるようになっています。

例えば、皆さん今の寒い時期、ストーブやエアコンを使う人も多いとおもいますが。

最近では薪ストーブを導入する方が増えているようで、わざわざ薪を作って、火を焚いて暖を確保しています。

このように「便利さ」が満たされてくると「不便なもの」の価値が上がります。

現代ではこの現象が様々な分野で発生していて「情報」にも同じことが当てはまります。

「データ」という情報はスマホ一台で待ち運べて、指先一つで見れる利便性がありますが、それが満たされてくると「紙」の媒体の需要がまた上がってくるのです。

コローレは紙でしか売ってない、これだけで、昔では考えられない、個性と需要が生まれています。

なので紙の質感も、なるべくこだわるようにしていて、デザインも家に置いているだけで、気分が良くなるようなものになるようにしています。

今回の新井陽子さんがデザインしてくれた素敵な表紙がその価値を、より表現してくれています。

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■これからのコローレ

以上が僕の思う、コローレ及び個人雑誌に対する考え方です

ただ、これまでずっと「情報」という言葉を使ってきましたが、コローレは「情報」というよりも「対話」を届ける雑誌でありたいと僕は思っています。

これからも他の媒体にはない”対話媒体”として、コローレを制作していきたいなと、思っています。

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コローレ第二号は現在も販売中です。コローレならではの素朴なレシピ集や、15人のライターによる共感できるお話がたくさんありますので、興味のある方は購入してみてください。
【web販売】https://ao-site.wixsite.com/colore
「読みました!」という方は是非、読後アンケートもいただけるととても嬉しいです。
【アンケート】https://docs.google.com/forms/u/1/d/1rY90t3wvw1p10PmVJPj7S3-ZTws6JuqeJPOqAeG6Mxs/edit?usp=drive_web

ありがたいことに、地域の雑貨屋さんや飲食店などにも置いていただいたり、シェアする会などイベントも開催されているようで、いろんなところでコローレを目にするようになっております。

もし見かける機会があれば、覗いたり、読んだりしてみてください。

現在、企画の幅を広げるためにfacebookにて「みんなのコローレ」というグループなんかも発足しております。

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いろんな方面に展開しつつあるコローレですが、最終的にどんな形になって、どこに向かっていくのかは未だ想像がつきません。

もしかしたら、今これを読んでいる、まだ知らない方々にお世話になることもあると思います。

どんな形であれ、コローレがいい対話媒体になれるように、たくさん試行錯誤していきますので、応援、協力、よろしくお願いします。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。



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