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レモンの花が咲いたら 7
7 美月
なんと、私は退院が決まりました!しかも今日!
玄さんが先生に退院して良いかって訊いたら「いいよー」って言ってたんだって!
「やったー!本当に嬉しい!」
私は洋服を着せてもらいながら言った。玄さんは不思議そうな声で、
「ところで、本当に荷物はそれだけなの?」
私の荷物は、大きな紙袋一つで収まってしまった。着替え以外は本1冊と、ぬいぐるみが1つだけ。物欲という物があまりなかったし、どうせ見えないし。病室にあってもそんなに励みにもならないと思っていたのだった。
「うん。これだけだよ。お花とかは飾ってたけど。花瓶は病院のだし」
「逆にその本とぬいぐるみはどうしたの?」
「ぬいぐるみは、昔お母さんがくれたの。寂しくないようにって。本は、面白いからって水原先生がくれたの」
「そうなんだ」
そう言う玄さん。優しい声だ。訊いていて本当に心地が良い。
*
私たちは電車に乗り込んだ。2駅西に進むらしい。電車なんて初めてで、心がとても躍った。
それと同時に、私はある1つの疑問が浮かんだ。
「ねえ、玄さん」
「何?」
「私たち、どこに行くの?」
すると、玄さんは優しく言った。
「俺んちだよ」
「え、玄さんの家に行くの?」
「だって他に行くと来ないし。実家は遠いしね」
「実家は、ここじゃないよ」
「えっ、遠いね!そんなところから来たんだ!私も行ってみたいなぁ。遠出とかもしてみたい!」
まあさすがに遠出は先生は許してくれないんだろうなぁ。でもバレなきゃいいか!
そうヘラヘラしている私だったけど、
「うん・・・。そうだね・・・」
玄さんの声は今までとは違う、明らかに暗い声になった。こんな声、訊いたことない。何か事情でもあるのかな。
「ごめんなさい、変なこと言っちゃったね」
そう私が言うと、玄さんはいや、と言って、
「そんなことないさ。とりあえず帰ったらのんびりしよう。移動だけでも疲れちゃうでしょ」
「うん!わかった!」
玄さんって、やっぱり優しいなぁ。
それにしても、初めてだ。友達の家に行くだなんて!
本当に、楽しみ!
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