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娘を産んだ日〜出産の記録〜

前回の投稿で、幸せな妊娠出産が
"Talked about by many and experienced by many"

になってほしいとの願いを書いた。

それから半年、私自身が間違いなく幸せなマタニティライフを過ごせたこと、そして恍惚とするような出産を経験できたことに感謝し、少し前に第二子を出産したミーガン妃もそうであったと信じながらこの記事を綴っている。

出産からすでに10日が経つが、記憶が薄れないうちに、ここに記しておこうと思う。

前駆陣痛・おしるし〜入院まで

【6月20日(日)37w3d】
朝からドロっとしたおしるしと、不規則な痛み。
重い生理痛のような鈍痛が続くが、我慢できる痛さ。
気づくと夕方には治っていた。

その後、陣痛が来ることはなかったが、おしるしのような出血は続く。

【6月24日(木) 38w0d 定期検診】
私の体の大きさに対して赤ちゃんが大きめなので、できるだけ早く産みたいね、とのこと。
子宮口はすでに柔らかくて良い感じ!にも関わらず、思いっきり内診でグリグリされる。
初産婦とは思えない、とのお褒めの言葉を頂きながらも、「イテテテテ」と思わず息が漏れる。

【6月25日(金)38w1d】
明け方より、ずっと前駆陣痛が続く。
『前駆陣痛 本陣痛 違い』などとググったりするも、数日前はそのまま治ったため、まぁまだかなと思い、買い物へ行ったり家事をしたりと、一日中動き回る。
夜になり、なんとなく痛みが強くなってきた気がすると同時にサラサラとした鮮血の出血もあり。
病院に連絡すると「一度モニターつけてみましょう」と言われ、入院グッズを持って夫に付き添われてタクシーで病院へ向かう。

22時頃 
しっかりとした陣痛と診断され、入院が決定。
ただ子宮口はまだ3cmほどで、「まだまだかかるねー」とのこと。
両家に入院の連絡を入れる。
引き続き、生理痛の重い感じの痛み。腰にずしーーんと響く。

入院後の陣痛〜促進剤投与まで

【6月26日(土)38w2d】
それほど痛みが変化することなく朝を迎える。
耐えられる痛みだが、ウトウトしては痛みに起こされて〜の繰り返しで一睡もできず。
共に陣痛室で一夜を明かした夫が、時折スヤスヤ寝てる姿が羨ましい。

8時頃 
ガッツリと朝食が運ばれてくる。
吐き気があり、パンを一口食べて終わる。
※残りは夫が美味しくいただきました。

9時頃 内診
この時点で、子宮口の開きは4〜5cm。
少しずつ進んではいるが、陣痛がイマイチ強くならないため、このままだと夜〜明日の朝になる可能性もある。
主治医より、「促進剤打つこともできるがどうする?」との提案。
「できれば夜間の人手が少ない時間帯に入らない方が良い」とも説明されたため、今日の明るいうちには産みたいと促進剤を決意。
同意書にサインをしたり、トイレを済ませたり、点滴の準備。

陣痛の本格化〜分娩まで

10時半頃 点滴開始
促進剤を入れ始めて1時間後くらいから、じわじわと陣痛が強くなり、痛みの種類が変わってくる。ぐわ〜っと波が押し寄せてくる感覚。
その度に、赤ちゃんが少しずつ降りてきているのを感じる。
痛い場所も下腹部と腰だったのが、より下の方に移動。
持参したギムニックボールを必死にお尻に当てる。
子宮口はまだ5cmくらいだが、順調に進んでいるとのこと。

12時頃
お昼になり、また食事が運ばれてくるが、痛みによる吐き気がピークで何も食べれない。
※夫が美味しくいただきました。(再)
正直、出汁の香りが陣痛室に広がるのも辛かった。
低血糖になるといけないので、ウィダーインゼリーをかろうじて流し込む。

13時頃
徐々に痛みの間隔がなくなってきて、いきみ逃しに必死。
「はぁーーー」とか「ああーーー」とか声が漏れる。
無痛と陣痛を繰り返していたのが、痛さの底辺が上がって激痛と普通の痛みを行き来するようになる。
尾骨に響くような痛みになってきたところで、力の入れ方を変える。
ふぅ〜〜〜といきみを逃しては肛門あたりに力を入れて赤ちゃんを下に押し出すイメージ。
陣痛のタイミングで、夫にお尻を思いっきりグーパンしてもらうと少し楽に。今回の最重要業務。

このとき、隣の分娩室では予定帝王切開の手術が始まる。
ほんの10分ほどで産声が聞こえてきて衝撃。
「私のこの十数時間は何??」との思いが頭を過ぎりながらも、なんとか正気を取り戻す。

13時半頃 
子宮口は7〜8cmに。
まだ破水はしないが、赤ちゃんがもう、すぐそこまで下がってきているとのこと。
「良い感じだから夕方17時までには絶対生まれるよ!」と励まされるも、こんな拷問をあと3時間も続けるのかという事実に意識が遠のく。
この瞬間、残り1時間で産むことを心に決める。なぜか自信あり。
「産むのは自分!赤ちゃんとの共同作業!」との強い意志。

14時頃
内診してもらった際に破水。温かい羊水がどばどばと流れ出るのを感じる。
子宮口も全開になり、一気に赤ちゃんが下がってくる。
分娩台へ移ってよし!との許可で、歩いて分娩室へ移動。
階段をよじ登り、分娩台にセット完了。
この時点でもう生まれる感覚。
「出てきそう、止まんない!」と言う私の言葉とあまりの速さに助産師さん急ぐ。

骨盤に赤ちゃんがハマっている感覚がわかり、陣痛に合わせて全身全霊でいきむ。
意識しなくても身体が勝手にいきんでタイミングを教えてくれるので、ただただ押し出すイメージで息を止めて声を漏らさず、腹筋に力を入れる。
会陰が裂けそうなので、切開。
じょきっという感触で もちろん痛いが、早く生まれるためなら切るなり何でもしてくれという気持ち。(のちに後悔)

14時29分
いきみ始めてからは10分足らず、3〜4回目の波で、無事どぅるんという感覚と共に赤ちゃん誕生。
2925g、49.3cmの元気な女の子。
産声が聞こえて一安心。

その後は、胎盤の娩出と会陰縫合。
子宮を押されて、再びどぅるんっと胎盤が生まれる。
会陰は麻酔をして縫合。糸が通る感覚が気持ち悪い。
肛門の方まで裂けてしまったので、わりと時間をかけて縫合される。
そのまま分娩台で2時間ほど休んでから、自分の部屋へと移動。

産後の身体
会陰が痛く、おトイレとシャワーが恐怖。
骨盤もグラグラで、ぎっくり腰になりそうで不安。
脚から顔まで全身がむくんでパンパン。
明らかに筋肉が脂肪に変わっている...

「分娩時間の短さ=安産」ではない

退院のとき、渡された母子手帳を見て

"分娩時間17時間50分"

との文字に驚いた。
たしかに、そうだった。間違ってはない。
ただ私の中では「分娩時間が短い=安産」というイメージがこびりついていたから、私は難産だったのか?と思った。

でも、違う。私の感覚では、ものすごく幸せな良いお産だった。
我が子が生まれようとしているのをお腹の中から感じながら、ただただその動きに合わせてサポートするように息をして、力を入れる。
当然ながら痛いことには変わらないが、こんな幸せな痛みはない。
とんでもなく神秘的な力を実感できて、女性で良かったと思った。

分娩の途中で「もう無理」とか「もう辞めたい」という感情が生じることもなかったし、暴言が口をついて出ることもなかった。
よく聞く「鼻からスイカ説」に関しては、鼻からスイカを出したことがないのでよくわからなかったというのが正直な感想で、なんなら生まれる瞬間は一種のエクスタシーを感じていたように思う。

こんなふうに思うのは、オキシトシンの分泌か産後ハイのせいか、あるいはマタニティヨガを続けてきたおかげか...
きっと理由は一つではないが、十月十日の間、我が子とずーっと一緒に過ごし、この日に向けて意思を通わせてきたことはたしかだ。

妊娠する前は、トラブルや苦痛だらけの妊娠出産を女性だけが経験するなんて不公平だと考えていた。
でも今は、陣痛の辛さだけを理由にもう二度と産みたくないとは思わないし、次産むことがあればもっと上手に産めるとも思う。
もちろん、大変なのはこれからなのだろうけど(笑)

体重と体型の変化

妊娠中によく聞くのが、"体重管理の難しさ"だ。
増えすぎると高血圧症になりやすいだけでなく、巨大児になったり、産道に脂肪がついて難産になると俗に言われている。

ただこれは、母体の元の体重や体型によるところが大きく、一概に"増やさない方が良い"ということではないと強調しておきたい。
特に私の通っていた産院では、体重は増やすように指導された。
妊娠中に母親の体重増加が不十分だと、赤ちゃんが将来太りやすい体質になってしまうとの説明だった。

それは良くないと思って頑張って食べるようにしたが、

"妊娠後期になれば息を吸うだけで体重が増える"

という都市伝説はただの伝説に過ぎず、結局食べた分しか増えなかったというのが私のケースだ。
それでも赤ちゃんはしっかりと成長してくれたので、妊娠前+5kgで迎えた出産後、胎児3kgと胎盤+羊水の重さがなくなった今、体重だけ見ればほぼほぼ妊娠前の数字に戻りつつある。

とは言うものの、弛んだ皮膚と消滅した腹筋まですぐに元通りとはいかず、くっきりした正中線とともに産んだ勲章が跡を残している。
子宮が収縮しても依然お腹がぽよんぽよんで、実はもう一人いるんじゃないかと思ってしまう。

我が子の成長に反比例してお腹が引き締まってくれることを期待して、今夜は短冊に願いを託してみようと思う。