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負社員

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#出現物

負社員 第9話 こんなこと言うと自慢に聞こえるかも知れませんげへへへ

「ほい」恵比寿はどこか気の抜けた掛け声とともに、鯰の池の水面に腰から下げた瓢箪をぽんと投…

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負社員 第8話 うちの上司が屁の役にも立たないんですが

「鯰って、あのナマズ? ぬめっとした奴?」結城が自分の体の周りを自分の両掌で撫でおろし、…

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負社員 第7話 いきおいキャパオーバーするモチベーション

「ジンリキ?」時中が訊き返し、 「人力車?」結城が訊き返し、 「神通力?」本原が訊き返した…

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負社員 第6話 其れを目の当りにした際は是非「けゃー」と

 鯰(なまず)は、水の中に体を沈めた。丁度よい頃合に濁った水だ。鯰はこのくらいの濁り加減…

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負社員 第5話 東海道五十三次を描く側とそれを鑑賞する側の違いとは

「ちきゅう?」結城が唇を尖らせて大きく繰り返す。「地球って、我々が住んでるこの」足下に向…

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負社員 第4話 それはさっくりと、心臓だけをえぐり取るような視線だった

「つまりリソスフェアの下部にはアセノスフェアがありアセノスフェアの下部にはメソスフェアが…

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負社員 第3話 ぎゃっふー

「許し?」 「許し?」 「許し?」  三人の問い返しが珍しくもまったくシンクロした。 「はい」木之花が頷く。 「許しって、誰の?」結城が目をまん丸くして訊く。 「洞窟の神様?」本原が真顔で訊く。 「――」時中は無言で小鼻に皺を寄せる。 「一言で言い表すのは難しいです」木之花は微笑みを維持したまま、変わらず静かに答えた。 「どうして?」結城が問う。 「洞窟には」木之花はゆっくりと瞬きをした。「神聖なる存在が数多く棲んでいます」 「神聖なる」時中が呟く。 「存在?」結城が叫ぶ。

負社員 第2話 疲れて溜息をつく、それはヒトに与えられた最高の特権

「どうだった。今回の新人さんたちは」大山が問う。 「そうねえ」木之花はふう、と息を吐きな…

負社員 第1話 極めて前向きに検討させて頂くと共に、一切の関与を否定致します

 時はゆっくりと、過ぎてゆく。  ず  ずず  ず  ……  ず  そしてそれは果てしなく悠…

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