負社員 第3話 ぎゃっふー
「許し?」
「許し?」
「許し?」
三人の問い返しが珍しくもまったくシンクロした。
「はい」木之花が頷く。
「許しって、誰の?」結城が目をまん丸くして訊く。
「洞窟の神様?」本原が真顔で訊く。
「――」時中は無言で小鼻に皺を寄せる。
「一言で言い表すのは難しいです」木之花は微笑みを維持したまま、変わらず静かに答えた。
「どうして?」結城が問う。
「洞窟には」木之花はゆっくりと瞬きをした。「神聖なる存在が数多く棲んでいます」
「神聖なる」時中が呟く。
「存在?」結城が叫ぶ。