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魔法野菜キャビッチ3 キャビッチと伝説の魔女

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ポピーは魔法の世界に住む少女。その世界では「キャビッチ」という、神から与えられた野菜で魔法を使う――「食べる」「投げる」「煮る」「融合」など。 13歳になったポピーは、新たに「シ…
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2019年10月の記事一覧

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 43

「そのアポピス類の子たちは、ピトゥイが使えるの?」祖母は首をかしげながらきいた。

 ユエホワは、お茶を飲んでいる私の方を見た。

「えーと、発動はしてたよ」私は天井を見あげながら答えた。「キャビッチは、消えてた」

「そう」祖母はあごに指をつけ、考えた。「けれど、実際に呪いが解けたかどうかは」

「うん、わかんない」私は首をたてにふって横にふった。「誰も呪いとかかけてないし」

「ピトゥイは、発

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 42

「え」私はただひと言いっただけで、あとは全身氷のようにかたまった。

 いまこの鬼魔、なんていった?

 ユエホワは数歩先にすすんでから立ち止まり、ふり向いた。「なに」

「――」私は目をまん丸くしたまま、ユエホワをただ見ていた。

「気づかなかっただろ」ユエホワは、まるで自分が人間になりすましてまんまと学校へセンニュウしたかのように、たいそう自慢げに笑った。「目も赤くないし」

「あっ、そうそう

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 41

「おばあちゃんちに寄ってくる」ヨンベやほかの友だちと別れたあと、私は箒の上から母にそういってツィックル便を送った。

 帰り道のとちゅうでふと、どうやったらピトゥイを使えるようになるのか、祖母にコツのようなものを教えてもらえたら、と思いついたのだ。

「森の中は気をつけてね」母からの返信にはそう書いてあった。「おばあちゃんにも伝えておくから」

「わかった」私は返事をして、リュックの上から中に入っ

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 40

 それから私たちは、ピトゥイの練習をはじめた。

 ピトゥイは、たしかにとてもむずかしい魔法だった。

 どのくらいむずかしいかというと、お昼をまわり、もうすぐお日様がかたむきはじめるという頃になってもまだ、誰ひとりとして――生徒も、先生も――使えるようになっていなかったほどだ。

 魔法大生の人は三人いるので、私たちも三つの班に分かれた。それぞれに、学生の人が一人ずつついて指導してくれるというや

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