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魔法野菜キャビッチ3 キャビッチと伝説の魔女

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ポピーは魔法の世界に住む少女。その世界では「キャビッチ」という、神から与えられた野菜で魔法を使う――「食べる」「投げる」「煮る」「融合」など。 13歳になったポピーは、新たに「シ…
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2019年5月の記事一覧

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 22

「……」私は上目づかいでじっと父を見た。「ママには?」

「うん」父はうなずいた。「いつものように、しばらく研究旅行に出る、と言うよ。だってそれが真実、真の目的だからね」にこっと微笑む。

「……」私はさらに時間をかけて、本当に行かせていいのかどうか、考えた。

 それはつまり、ユエホワを信じてまかせてもいいのかどうか、ということだ。

「わかった」父を見上げて、うなずく。「気をつけてね、パパ」

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 21

「うわっ」

「おおっ」

 私と父は同時にキョウガクして天井を見上げた。

「いつのまにいたの?」

「ユエホワ、君大丈夫かい」

「うん」ふくろう型鬼魔はこうもりのように天井にぶら下がっていたけれど、すとんと下におりてきた。「まあ助かったよ、サンキュー」ぼそぼそと言いながら、机の上のぶあつい本の表紙を開いてぱらぱらと中身をのぞく。

「ていうか、鬼魔界へ帰ったんじゃなかったの?」私は目をぱちく

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 20

 母は大きくうなずき、父は少しおどろいたように私を見た。

 私自身は父以上におどろいていた。

 たしかにしょっちゅうユエホワに向けてキャビッチを投げつけているけれど、自分が本当にあのムートゥー類をやっつけられるとは、思ってなかったからだ。

「彼――ユエホワは、ポピーのキャビッチ使いとしての強さを、今となっては心底認めている。またポピーのまわりにいる、ポピーを守る者たちの強さも同様に。だからこ

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 19

「じゃあ俺、行くわ」ユエホワは最後のあいさつをした。「お前も一応、気をつけろよ」

「うん」私はうなずいた。「鬼魔界でおとなしくしとくの?」確認する。

「ああ、ていうか」ユエホワはばさりと翼をはためかせた。「仲間にちょっと、相談してみる。犯人に心当たりがないか、あと探すの手伝ってもら」そこでなぜか言葉を切り、私の方へふり向く。

 私はまばたきするよりも早く、返事の準備をした。

「そうだ、おま

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