前文 from "BEETHOVEN -Must It Be? It Still Must Be-"
ベートーヴェン生誕250周年記念盤として僕、水野蒼生の2ndアルバム「BEETHOVEN -Must It Be? It Still Must Be-」がリリースされてから今日でちょうど1ヶ月。
思ったようなプロモーション三昧の日々を送ることはできなかったけれど、今作、実はかなりの反響をいただいている。家にいながらも出演オファーをくださった多数のラジオのおかげもあってiTunes Storeクラシック部門では最高4位、JWAVEの独自ランキングTOKIO HOT 100では2週連続でランクインを果たした。
そんな、クラシックにしてはけっこう頑張ってる今作をもっと広めたい!ということで、リリースからちょうど1ヶ月を記念して、自分で書き下ろしたブックレットから前文をここに掲載してみる。きっとこれを読んでからサブスクで聴いてもらってもまた印象が変わると思う。CDに付属するブックレットは20ページのZINEのようになっていて読み物としても楽しめるものになっているので、ぜひCDもチェックしてくれたら嬉しいな。
「好きなアーティストは誰ですか?」
「よく聴く好きなジャンルは?」
これらはどこにでもある会話のきっかけだ。音楽家として活動を始めてからはもはや挨拶のようにこの言葉に触れる機会が多くなった。「ご出身はどちらですか?」と同じような頻度で、同じような意味合いで「君の音楽のルーツ(ご出身)はどこなんだ?」という風に。
その答えにはだいたい決まった返事を用意しているけれど、実際は好きな音楽なんて多すぎて答えきれない。「いちばん好きな指揮者は?」なんて聞かれたらそれはもう拷問のようなもので、僕が愛でて止まない憧れのヒーローたちの中から一人を選ばなきゃいけないだなんて何年かかろうが絶対に無理だ。頼む質問を変えてくれ、出身を聞いてくれ。
でも、僕にとってこの質問は別物だ。
「いちばん好きな作曲家は誰ですか?」
こんな言葉をもらった時はシメた!と確固たる自信を持って、目を少しギラつかせながら、ちょっとにやける口元をなんとか制御して腹の底からの声で即答する。
「僕が歴史上の作曲家で最も尊敬している作曲家はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンで、彼の書いた9つの交響曲は僕にとってのバイブルです!」と。
刺激的で力強い音楽はもちろんのことだけれど、その音楽にリンクした当人のキャラの濃さがきっと僕が彼を愛する理由なのだと思う。
好きな子にラブレターを書くも渡せずにずっと引き出しの中にしまい続けてしまう乙女なところ。
自分をモチベートするために自分を焚きつける言葉をノートに書きなぐる人間臭くてちょっと厨二っぽいところ。
ストレートすぎる物言いで友達と喧嘩して、あとから後悔して後日心の底からのゴメンを伝える不器用で憎めないところ。
このアルバムはそんなベートーヴェン沼にどっぷりハマってしまったガチオタの僕が、「もし推し(ベートーヴェン)が現代に生きていたらどんな音を鳴らしただろう?」と妄想して作った二次創作の夢小説みたいなもの。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。1770年12月16日ドイツのボンに生まれ、現在もまだまだ現役で音楽界を牽引し続ける250歳のロックスター…。そんなベートーヴェンがいる世界を想像しながらこのアルバムを楽しんで貰えたら、そしてこれをきっかけにベートーヴェン沼にハマる人が増えてくれたら、僕は嬉しい。
水野蒼生「BEETHOVEN -Must It Be? It Still Must Be-」Spotifyで聴く / AppleMusicで聴く / CDで聴く / YouTubeでMVを観る
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