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『ロッカールームに眠る僕の知らない戦争』感想

2/4昼の回を観てきた 面白かった!
フォロワーのフォロワーの推しの俳優さんが主演で、そこから学生運動周辺の歴史が好きということで観に行ったら非常に面白い舞台で嬉しかった
また、元々声優として存じ上げている倉地さんも出演していたため二重得で大満足

以下感想(箇条書き)

・一番好きなシーン、サークルのみんなが集会で言い合いになってたシーンで七曲さんがギターを出して突然歌い始めるシーン。観劇側ポカーンだけれどサークルのみんなはそれで心をひとつにして盛り上がって…という内輪でしか感じられない理屈じゃない根拠のない盛り上がりが好きだから
七曲さんの嫌なカリスマ性が感じられたのも含め…

・私は『罪と罰』の方は未読のためそっちの方は同行のフォロワーから教えてもらったさわりの部分のみの知識だけれど、全体通しテンポも良く知識も無くても楽しめる舞台!!
学生運動陣営、警察陣営、資本主義陣営、記者陣営のそれぞれに事実に基づく正しい主張と、間違っているけれど割り切らなきゃならないと理解して実行している主張と、間違っていることに気づかずに進んでる主張とがぶつかりあっていて、思想が強いテーマだけれど決して偏っているわけでもなく、制作側がかなり考えて構成されていたと思う

・テンポが非常に良く、タモツ役の人のコミカルな演技が舞台全体のテンポの良さ・役者同士のやり取りの小気味良さに貢献していたと思う
またタモツ役の人のシリアスな演技も、コミカルパートとのギャップもあり一気に脚本の見せ場とする場面では引き締まる雰囲気があった

・主人公・タモツは巻き込まれていってしまった人間だけれど、ロッカールームから唐突に現れた傷だらけの純子然り、四ツ葉の婚約など、タモツを中心としながら知らない戦いがあったという想像の余地を残す脚本がタイトルの『ロッカールームに眠る僕の知らない戦争』に収束されていく、タイトルの意図するところもよかった
タモツはタモツの物語の中では中心でしたが知らないところで話が進み置いてきぼりになる、何も考えず行動しないうちに巻き込まれていくことの怖さも描写されていたと感じる

・岩崎の資本主義的な思考に身構えてしまうところがあるんだけれど、時代と戦後日本の在り方(生き残り方)に言及していることで彼もまた正しいことを言っているんだ…と説得させるやり取りが良かった
作中の学生運動のサークルについても、ただ流されるだけは嫌という団体ですが明確に犯罪行為をしている人たちではあるため客観的に色んな所属にスポットをあてそれぞれの主義主張が見えるつくりになっていたなと
確固たる思想はなくても流れで活動に参加して、そこ自体が居場所になっていく人も当時いたんだろうと考えると「そこに所属する人目当て」の存在も当然いただろうし、タモツ然り樺さん然り、そういう存在にスポットをあてたのも嬉しい箇所

・ロカ僕はセンシティブな歴史や出来事をテーマにしているので色んなものがぼかされても仕方ないなと観る側も思うところをしっかり取り扱ってしっかり制作側の意図するところに落とし込んでいて誠実な作品だと感じた
樺美智子さんを作中に登場させ、彼女の死という実在の歴史を作中でもターニングポイントとして扱っているのもさながら、作中において彼女の死因を明確に描写したのが良い意味で驚かされた

・学生運動の歴史を知らない人たちにも解説があってわかりやすかったのと、その解説のセリフが解説らしくなくタモツの視点で情報を得ていく感覚が、脚本のうまさを感じた
冒頭の「プレゼント」は爆弾だろうな…コーラの瓶は火炎瓶だろうな…と知ってる人なら予定調和的な楽しみ方ができたのも楽しかった

・この回のカテコ挨拶が四ツ葉役の方で、現代のSNSでの話をされた時に泣いてしまったのだけれど(お話自体も良かった…)、その時にタモツ役の方が後ろのセットの上の母親役の方とアイコンタクトをして母親役の方が降りてきて役の親子三人並んで四ツ葉役の方を励ましておりかなり良かった!

最後に引っかかった部分とその感情に対する所感

・純子さんが最後に言った「悪いのは何も行動しない人たち」、個人的に純子の発言として唐突な印象を感じてしまった
フォロワーとの感想会で、そこの部分に対しては軍国先生のエピソードや、不当解雇されたのに何も行動せずにいた父親への感情が乗っているため不自然な部分ではない、という感想を聞き納得できたのだけれど、
では何故自分の中でそれでもすんなり飲み込めなかったのかと言うと、作品の主張を直接的に言葉にして台詞にするのが好みではないため、そこを主張と感じてしまったからなのかなという考えに辿り着き、好みの問題なのだと解釈した
ただ私が「これはこの台詞が主張なのか」と感じてそれをそのままの言葉で聞いたため、という話のため少しズレているのかも
単に私の純子という存在への読み込みと受け取り方が浅いだけであろうし

最後に批判的なことを書いたけど総括して本当に面白く良い舞台であることは確かなので観れて良かったし教えてくれた方々に非常に感謝です
ありがとう!!
観劇後はお茶して焼肉食べてハッピー

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