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この記事は2019年8月4日にホームページにて掲載したものです。

Kくんは、この絵を約2時間かけて描いた。

「今日は武器屋を描きたい」そう言って教室に入って来た彼は、さっそく黒い紙を広げた。
どうやらおおまかなイメージはすでに頭の中にあるらしい。

褒め言葉で使うんだけど、Kくんはとってもおしゃべりだ。

ひとつの武器が描き上がる度に、彼の解説が始まる。

「このけんはねぇ、まわりにトゲがあってねぇ、てきにささるときにねえ、(中略)それがねえ、いくらだと思う?え?じつはねぇ、(以下略)な、すごいやろ〜。」

だいたい、この解説が10分から15分ほどかかる。
長い。(笑い)

そして次の武器の作画に取り掛かる、といった調子だった。

こんなにも自分の描いた絵について喋れたら、さぞ楽しいだろうな、と僕は思う。
そしてそれと同時に、絵を描くときには、こんなにもたくさん喋れるくらいに向き合って、取り組まないといけないんだろうな、とも思わされる。
だって自分が一生懸命に描いた絵なんだから。

僕だって、自分が描いた絵を解説してくれと頼まれたら、「もう勘弁してくれ」と言われるくらいに喋れる自信があるぞ。

絵描きは誰だってお喋りだ。

そして幼くても大人でも、絵を描くときには、自分の作品を愛せるように、心をこめて作品に向き合わないといけない。
Kくんを見ていて、そんなことを思いました。


追記

絵に字を書かないほうがいい、という考え方がある。
でも表現にはルールなんてない。

ほらごらん、バスキアだって字を書いてる。
じゃあバスキアとKくんの違いは?
せいぜい、日本語か、アルファベットか、くらいの違いしかない。
さあ僕たち大人の了見を広げよう。
世界は驚くほど広い。

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