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ミックスジュース(H.Kちゃん)

この記事は2019年7月14日にホームページにて掲載したものです。

子どもがチューブの絵の具を、むにゅうっと贅沢にパレットに出している様を見ると、さすがの僕でも「おいおいおい」と手を出して止めたくなるときだってある。

特に、あらゆる原色を混ぜ合わせて真っ黒に濁ったパレットに、またさらに別の原色を混ぜようとしているときなんかがそうだ。

だけどそんなときこそ、僕たち大人は心に余裕を持って、口出しせずに見守るべきじゃないかなと思ってる。


その理由は、子どもたちの表情を見ればすぐにわかる。
子どもたちはその澄んだ目を大きく見開き輝かせて、混色を楽しんでいる。
この色を混ぜるとどんな色になるんだろう??
ドキドキと好奇心で満ち溢れている。

そんな子どもたちの貴重な経験を奪ってはいけない。
大人が先回りをして、「その色を混ぜても」だなんて答えを言っていいわけがない。
映画の結末を喋ってしまうくらいナンセンス。
「絵の具がもったいないからやめなさい」だなんて言うのは……、うん、もっての他だよね。


子どもたちはみんな一生懸命に考えている。まだ幼い五感で、ひとつずつを感じようとしている。
彼らがまだ知らないことなら、どんどん経験させてあげよう。
触れたことのないものには、どんどん触らせてあげよう。
その体験には、何にも代えられない価値がある。



この日Hちゃんがひとつのお皿に、たくさんの絵の具を混ぜ合わせていく様子を僕はとなりで見ていた。
レシピは、順にこのとおりだ。
ぜひ想像してみてほしい。

1、みどり
2、セルリアンブルー
3、あか
4、きみどり
5、しゅいろ
5、れもんいろ
6、あお
7、しろ
8、きいろ
9、うすだいだい

豪華だね。フンパツしてる。

すべて混ぜ合わせたパレットの色を見て、Hちゃんは「う〜ん、きいろがきいてるねえ!いい色だねえ!」と、とても嬉しそうに言っていた。

きいろがきいてる、という表現には僕も思わずにんまり笑ってしまった。

それから切り取ったグラス型の画用紙に、なみなみと絵の具を注いだ。

「ジュースの完成。あ〜おいしそう!」

Hちゃん、出来上がりを眺めて満足そうだった。
一生懸命に作った色だもんね。


下の写真は、Hちゃんがきいろを混ぜるときのパレットの様子。「おいおいおい」と僕が手を止めたくなる気持ち、分かってくれるかな。笑
そこを、ガマンガマン。笑

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