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ひとつずつ

たかが一日。その中での変化など、取るに足らないものかもしれない。だが、一日が積み重なった一年は。その一年を積み上げた十年は。その時間が馬鹿にできないことは、誰にでも容易に想像できる。

だけど人は、十年とは一日が積み重なった先にあるものであり、今日一日なくして一年すらも得られないことをしばしば忘れる。いや、忘れたふりをする。

積み上げるという行為は、それほどに難しい。難しいことを言い訳にして逃げたくなるほど難しい。本当にほしいものとは、多くがその先でしか手に入らないのに。

だからこそそうして積み上げて得たものは、自らにとって価値ある輝きを放つ。ときに他者から見ても宝と評されるまでになることも出てくる。他者を惹きつける力にもなりうる。

「それ」を欲するならば、一日にこだわるのが第一歩。その一歩を二歩三歩と繋げていく。明日に今日を繋ぎ、ひとつずつ形づくるしか、ない。

書いていて逃げたくなる。とても無理だと投げ出したくなる。それでも一時顔を背けようとも、足がその場から離れないのは何故か。歩みを止めようと逃げ出さずに立ち止まるのは何故か。
あの輝きを自分の内に。その願いを笑い飛ばして捨てないのは一体何故だ。

時は有限。「いつか」はいつまでも許されない。望むものがあり、その想いを裏切りたくないのであれば、私は私の今日そして明日を、積み上げなくてはならないのだ。ひとつずつ。ひとつずつ。輝く人たちに近づくためにも。

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