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舞台アサルトリリィ イルマ女子美術高校編 「The Gleam of Dawn」感想

??・????・?「お前はイルマ!そして私はルド女」

(そんなシーンはない)


というわけで、舞台アサルトリリィ イルマ女子美術高校編 「The Gleam of Dawn」を観劇(現地1回、配信2回)したので感想です。

※例のごとくネタバレ全開なので気にする人は注意ね。




<全体について>

遂に東京御三家が舞台化ということで、イルマからルド女に移籍した日葵を中心に、日葵が去ることになった経緯から現在のイルマがどのように変化していくのか、というのが今回のお話。

全体的な印象としては、チームの人間関係(レギオンや四天王)と個々の人間関係のやりとりが複合的に絡み合うところの深みが軸なのかなと受け止めた。

今作は、ストーリー的にはルド女とかなりクロスしてて、特に「シュべスターの秘密」の未来の悲劇や「約束の行方」の日葵が花丘・アンジェラ・萌(照明出演)を守りながら戦うシーンなど、過去作との繋がりが描かれたのは作品を観ていた者としてはテンション上がったし、ルド女で何気なく見てた日葵の行動やセリフが実はすごく重みがあるものだというのに、後で見返して気付いし、アサルトリリィの設定の深さを改めて思い知った。

ルド女との関係で個人的に印象に残ったのは、イルマ本校防衛戦での未来と風音。あの二人ってめちゃくちゃ強かったんやね。設定としては実力派と知ってたけど、実際に作中で描かれるとまた印象が変わる。
あと、戦闘中のBGMに誓いや約束の行方が使われたのもルド女との繋がりを感じる。

そういう意味では、ルド女を知らないと3分の1くらい話わからんところあるけど、だからといって初心者は置いて行かれるかというとそうではなく、現イルマメンバーの話だけでもそれぞれのキャラや関係性の描写はしっかり描かれていたので、そこだけでも充分引き込めるだけの内容だった。
アサルトリリィ恒例の開演前のスライドでもアサルトリリィ初心者を意識した設定解説も流れてたから、そこはちゃんと意識してるね。

初見には特にこういう解説ありがたいよね

とはいえ、ルド女を知っていると底なし沼のようにより深く作品を楽しめるので、イルマ観て興味を持った人は、初演版又は再演版の円盤もあるし、8月には真実の刃があるので、軽率にルド女も観ることをお勧めします。
(ホントは5月のリリプロ祈り前にこの記事公開してダイマするはずだったのにどうしたこうなった…)

イルマサイドの話では、理想のレギオンを巡った方向性の違いから、日葵と御巴留の間に決定な亀裂が入ってしまうというのが今回のお話の始まり。やはりキーは御台場迎撃戦。(きいたん、ステイ。静かに)

チームのあり方で揉めることは現実でもよくあるし、別にどっちが正しいとか間違ってるとかはない。日葵なりに頑張ったものの事が大きくなりすぎて、結局日葵はルド女に行くことになる。四天王の一角の転校は流石に衝撃が大きく、間を取り持ってた恋町の離脱をはじめ、地盤が緩んだイルミンシャイネスの立て直しが急務となった一方で、日葵の遺志を継ぎ、伊万里や鞠萌を中心とした自主レギオン設立といったイルマ内での変化や、離れていても変わらない日葵とイルマのリリィたちの関係性はとてもエモです。

特に2年生は、どいつもこいつも日葵へのクソデカ感情抱えてて非常によい。日葵はイルマの頃から天然女たらしだったんですね、わかります。
その日葵も幸恵を求めてルド女に行ったのに、結局は袂を分かつんだから、なかなかわからんもんよね。
なんとなくだけど、いずれ四天王が再び共闘する日がくる気がする。羽来は間に入って苦労人よね。ある意味四天王の精神的支柱。君はよく頑張ってるよ。

この転校のシーン、個人的にルド女でバリバリ戦う日葵を知ってるから、佐保からは「すくたれ者!」とか御巴留からは「落伍者」呼ばわりされて結構辛辣に言われてるのが新鮮。というか、ちょいちょい言葉遣いが武人なのは誰の癖なんですか?すくたれ者とか落伍者とかJKが使う単語じゃないでしょ…初めて聞いたぞ。

演出面でも他ガーデンとはテイストが違っていた。
まず、冒頭の伊万里と鞠萠が客席の通路を歩く演出は、ようやくコロナ明けを感じた。ステージだけじゃなく、通路を使うのも舞台ならでは。

今作は、同じシーンで時系列や場面がよく動く。
特にバトル中に喋ってる人以外がゆっくり動くのなかなか大変そう。殺陣のある舞台だとよくある演出なんだけど、これまでのアサルトリリィではあんまりなかった。こういうところでもイルマ独自色は見えた。
今作の前に観た御台場はメインの一人にフォーカスする演出が多かったから、特に印象に残ったね。

また、レアスキルの演出が豪華でエレガント。背景のプロジェクションマッピングのエフェクトや楽器の演奏っぽい振り付けなど、芸術学校ならではのこだわりがたくさん観れた。


<個別シーンの感想>

〇LGイルミンシャイネス

トップレギオンのイルミンシャイネスは厳格な校風通り、動きの統率が取れてるし、戦闘時も団体行動みたいな動きで組織的。出撃時の全員で決めるポーズかっこいいね。
ヘリオスフィアとレジスタ持ちが多いのも守備型のレギオンらしい。

御巴留は流石に隊長だけあってどっしりとした安心感があった。指示がビシバシと早いのよね。ここらへんは戦略派タイプって感じがする。
劇中厳しさを見せるシーンも多いけど日葵の転校のときは流石にショックだったのか背中に哀愁があった。管理職ってこういう時孤独よね…


レジスタ発動時の宮本煌椋さんの脚。ポーズがめっちゃキマっててかっこいいんだけど、ナポレオンさんっていうのはおもしろかった。ぼくも宮本塾で講義受けたいです。


幕張奪還戦までの美夜受のイキりっぷりよ。過去の回想シーンで霞子パイセンに上から目線でモノ言ってるの中々の奴だなと思った。でも、幕張奪還戦を通して自分の非を認めてちゃんと謝ったのは偉いよ。そういうことできる奴は強いし伸びる。


霞子パイセン、幕張奪還戦の下りは流石上級生という働きで心底偉大マジパネェッス。
イルマ本校防衛戦で共闘した未来や風音からの影響を強く受けてるっていうのも非常に良き。体張ってパス回した時のあの凄みはアツかった。


〇LGハコルベランド


もう一つのメインレギオンのハコルベランド。
日葵の遺志を継いだ自由で個々の個性を生かした戦いを目指しているとはいえ、自由人とヤカラが多すぎる。
いきなりルールの穴ついて出撃するという和マンチかますし、戦闘になった途端に夕星以外オラつき出すかフリーダムに動くかなので、ホンマにイルミンシャイネスと同じ学校?
日葵の理想はこの方向性でええんやろか?スタイル的にはいいと思うけど、一度なんかのタイミングで見てもらって感想を聞きたい。

鞠萠さん、伊万里の前では割りとエレガントな感じなのに基本結構男前。本校防衛線では最前線で体を張る リジェネレーターでごり押すし、何より姫翠の回想シーンは痺れた。

鞠萠には戦う理由があるわ。貴女にはそれが無くて不安なのね?ならばこの鞠萠が貴女の戦う理由になってあげましょう。
手を貸しなさい、姫翠!燻ってる命なら、この鞠萠に預けなさいな

声に出して読みたい日本語2023 ノミネートNo.1

これだけ男前なのに、一人称鞠萠なのギャップが凄い。
あと、戦闘中にチャームはぶん投げるところの演出、後ろでスタンバってる佐保の表情含めて好きです。(配信でよく見えた)


姫翠さん、普段はクールビューティーなんだけど、戦闘はじまった途端オラつき出す筆頭でこれまたギャップが凄い。主張激しいチャームぶん回すカッコよさとか鞠萠へのクソデカ感情のエモさとかがあって非常に濃いキャラ。

ザ・タワー、上がりなさい!

声に出して読みたい日本語2023 ノミネートNo.2

後ろは崖と思って前に張り付きなさいな!

声に出して読みたい日本語2023 ノミネートNo.3

この圧の強さよ。いや先輩こわいわ。オラついてるのにあだ名で呼ぶアンバランスさがたまらん。特に夕星はビビりだから相当怖かったよね。


イルマの太陽諸井佐保。優雅さと芯の強さが同居してて、日葵への感情も含めて凄く深みのあるキャラ。それが戦い方にも出てる。
縮地で暴れまわった俐翔の後ろにしれっと立ってるかと思ったら、優雅にエレガントにバレエを舞いながら戦うし、アバンストラッシュの構えからのドスの効いた咆哮で斬りつけるし、強さと美しさを兼ね備えた武闘派って圧倒的強者やん。ここら辺の気魄をこもった演技と動きは、演者の朝倉さん圧倒的に上手ぁ…ってなった。


・・・いや、この2年生3人異様にオラつきすぎやろ。絶対御巴留と気合わんって。そらイルミンシャイネス入られへんわ。

歩結と勇渚の過去話のシーンが結構好きで、キャラの深掘りはまたこれからされるだろうけど、少なくとも二人の間にあるクソデカ感情は今回で視えたね。こういう信頼関係本当に好き。関係性をしっかり描くのもアサルトリリィの良さの1つだし、色んな栄養摂取させてもろてます。
そういえば歩結が戦闘中にサブスキル言ったの、何気に舞台では初じゃね?


俐翔の縮地をライトで表現するの上手だと思った。高速移動の演出は色々あるし、例えばルド女のこころは背景の映像使って表現してたけど、俐翔の縮地は「残像だ…」感が出てたのでとても良かった。


〇我らが品位を疑う教導官、篠田先生

基本めちゃめちゃいい人。なんなら歴代教導官でトップクラスにいい人なんだけど、なんかちょいちょい粘度が高いのよ。特に対伊万里。
なんか捕食者の目をしてるし、あまりの粘度の強さに何度も見るうちにちょっと怖くなってきたのよ。冠輝の腕輪のつけ方も蛮族みたいになってるし…品位を疑う。

なんかこの作品は教導官のキャラがやたらと濃いので、偉い人におかれましては秋のトークショーで教導官集合会やってください。(切実)

左側、品位を疑う

あとこれすごくどうでもいい話なんだけど、篠田先生が「陣形を覚えてないリリィは調律のできてない楽器。そんなものが集まっても不協和音にしかなりません」って言ったとき、なぜか僕の中のロネスネスが「ア゛ァ゛ッ!?」って言ってキレてた。
(ロネスネスは自由度が高いヤカラ集団というだけで、統率が取れてないということではないのであしからず)

〇楽曲
まず開演前のBGMがめちゃくちゃすきで、凄く落ち着くし上品でヒーリング効果が高そう。マジで寝る前に毎晩流したい。
OPは学園もの感が強い。バトルものとしては今までにない感じ、言われんかったらマジで日常系学園モノのOPよ。芸術学校ぽいエレガントさがよき。
EDも優雅。ホンマにあなたたちさっきまで戦ってました?ってなるくらい平和。流石芸術学校。曲でもイルマの色を感じられたわね。

というわけなので、偉い人におかれましては早めに音源下さい!


早めに!!


下さい!!!(強めの圧)


<おわりに>

アサルトリリィの舞台新シリーズということで、他シリーズはだいたい履修してるから信頼はしながらもイルマについては知識ゼロだったので、どんな物語が紡がれるのかというワクワクを持ちながら期待感高めで観に行った。
特にルド女や御台場は途中から入ったというのもあったので、自分の好きな作品でその始まりの瞬間立ち会えるというのがオタクとして何より幸せだったし、劇場で観ることの意味改めて感じた舞台でした。

イルマの舞台は、ルド女や御台場、百合ヶ丘とは違う今までにないイルマならではのカラーがあって、アサルトリリィらしいアツさやカッコよさを備えながらもみんなが言ってた通り「青春」ってワードがぴったりだった。
アサルトリリィは生きた人間の生の感情がしっかり伝わるのが魅力だと常々言ってるけど、色々な関係性の中でリリィ個人同士やレギオン、日葵との関係を通じてイルマの絆を強く感じたし、そこからくる一体感がイルマの色なんだろうなと思った。

イルマの物語も始まったばかりでまだまだ描写されてない部分も多いし、自分の解像度もまだまだ低いけど、今回だけでも情報量多くて引き込まれる要素は沢山あったし、ルド女との関わりなども含めてアサルトリリィの深みというか多層構造の緻密さにまだまだアサルトリリィは終わらねぇなと改めて思った。

イルマ第二弾も発表されたし、ルド女や御台場なども含めて、この沼からは抜けることはないんだろうなと思いつつ、この厳しいご時世の中で楽しい未来を示してもらえてるのもありがたいことなので、最高に楽しい時間を作って下さった皆様への感謝を忘れず、来るべき日に向けてまた日々を頑張ろうと思います。

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