結婚式を挙げた
はじめに
これから結婚式のことを3回に分けて書こうと思う。今回は、当日を中心とした私の体験。読者がIWAIを知っている前提で書き進めるうちに、独自の表現が思ったより多く感じたため用語集を作成した。
<IWAI 用語集>
正式には違うところもあるかも。単にこの記事を分かりやすくするための用語集であり、私の考えだと思ってほしい。他にも素敵な場所や言葉があるけど、一旦この記事に登場する言葉だけ紹介。
■IWAI OMOTESANDO
人と人が繋がる場所。結婚式に懐疑的だった私が「ここでなら結婚式を挙げたい」と思った唯一の場所。IWAIと呼ばれることが多い。
運営は株式会社CRAZY(以下、CRAZY)。
■ゲスト
結婚式に来てくれる人のこと。私たちの結婚式では、家族もゲストとして考えた。
■セレブレーションホール
挙式会場。全体的に深いグレーで、洞窟の様だと表現されることが多い。洗練されていて、あたたかみがあって、心地よい場所。
■パーティー
披露宴ではなくパーティー。IWAIのパーティールームは高砂がなく、新郎新婦とゲストが自由に交流できる空間。
■ファーストミート
挙式前に新郎新婦がそれぞれの家族と対面する時間のこと。両家一緒ではなく、自身の家族だけで行う。
■プロデューサー
新郎新婦と共に結婚式を作る人。ヒアリングは、ふたりの生い立ちから出会い、生き方までに及び、人生に深く関わる。
CRAZYではスタッフの一人ひとりが、役割以前に人として関わってくれるように感じる。そのため、この記事ではお名前で表記した。
準備
私は以前「ゲストに負担がかからないように」と考えていた。
負担だと思われるのが怖かったし、参列という労力に見合う体験をお返しできるのか、不安だった。結婚式に対する偏った先入観もあった。
そんなことを考えている時に夫から「極論、葵さんが幸せならみんな幸せだと思うよ。」と言われ、目から鱗が落ちた。
その言葉があったから、私は自信を持って結婚式を作れたのだと思う。
結婚式までの過程で、特に印象に残っているのは最初の打ち合わせ。
大半の時間が私たちへのインタビューだった。
不意に何気ない問いでボロボロと泣いてしまい、一旦ストップしていただいた。負の感情には折り合いをつけたつもりだったが、そうでもなかったらしい。夫とプロデューサーの永栄さんに見守られる中、こんなに感情が乱れてしまうものかと焦った。でも喋ることが出来ないくらい泣いていた。
そのタイミングで追い討ちをかける出来事があり、準備をスタートした頃は楽しみな反面、不安と憂鬱も大きかった。
IWAIの特徴のひとつはシンプルな準備。打ち合わせは3回。
装花 / テーブルコーディネイト / 司会 / 受付 / BGM 他、色々お任せ。
信頼しているから安心してお任せ出来た。
その分私たちは、ゲストを想う時間を大切にした。
ゆとりがあったから準備を楽しめた。夜中のデートと称してファミレスへ行き、日付が変わるまでゲストへの手紙を作成していたのも楽しい思い出。
打ち合わせの1週間前には毎度<打ち合わせの打ち合わせ>を夫と設定していた。内容は主に宿題の進捗確認。その甲斐あってか、いつも期日を守ることを誉めていただき嬉しかった。
当日
8月5日。支度を終えて、パーティールームで撮影した後、永栄さんに夫を誘導していただいた。
会場の片隅には、私たちの写真が表紙になったアルバムと、プロポーズの指輪が入っていたro-jiの袋。
袋の中に入れたのは、好きなところ100。アルバムには、好きなところ100から抜粋した好きなところを、文字と写真で表現した。
夫が驚いて、喜んでくれて嬉しかった。
結婚式の準備をしているとき「結婚式に向かっている」という事実が本当に嬉しくて、噛み締めていた。私が目を背けていた気持ちと向き合えたのは「結婚式をしなくていいのか」と夫が問い続けてくれたから。
ファーストミートをするかは当日決めさせていただいた。
私は両親、特に母との対面を恐れていた。
父と母、それぞれから参列の意思を聞いた後も、ファーストミートはしない方向でいた。
ファーストミートをすることも視野に入れて考え始めたのは、永栄さんに改めて、この時間の意図を聞いてから。
私が想像している様なファーストミートばかりではない、というのを知って、それでもいいんだと思えた。
ファーストミートと両家での撮影を終えて、セレブレーションホールにいる時、私たちの元にウェルカムドリンクが届いた。びっくり。
ウェルカムドリンクは友人の鯉淵さんが振る舞いに来てくれていて「自分の結婚式に参列したい」と思っていた理由のひとつ。
あの廊下の先で、私たちもゲストと同じものをいただいていた。
ドリンクを通して、ゲストと同じ時間を共有出来たことが嬉しかった。
鯉淵さんの後日談。
ゲストがセレブレーションホールに移動し、鯉淵さんが午後のイベントに向けて撤収作業をしている時。拍手が聞こえて、式の始まりを感じたそう。
当日会えなくても、相手の存在を感じる、伝える。
素敵な体験をさせていただいた。
ゲストがセレブレーションホールに移動して、挙式の始まり。
まずは私たちの入場。はなむけの言葉をゲスト2名ずつに読んでもらった後、お互いに向けて誓いの手紙を読んだ。
恩師がはなむけの言葉を読んでいる時、過去の私も一緒にいるような感覚になった。もがきながら生きて、光を探していた頃の私が一緒にいたように思う。
夫からの手紙では、プロポーズよりもずっと前に、私との結婚の意思をお母さんに伝えていたと知って驚いた。それから、日頃から感じている愛情を改めて言語化していただいて嬉しかった。
私からの手紙で印象に残っているのは、静かな会場に笑いが起きたこと。結婚式の前日、便箋に夫と出会った頃のことを書きながら「もしかしたら」と密かに思っていたところだった。
指輪を交換して、誓いのキスをして、沢山の拍手の中で退場した。
みんなで一緒に、見て、聞いて、味わう。
そんな時間にしたいと思い、挙式では撮影を控えていただいた。
挙式後、Living roomというパーティールームでゲストを待った。
入場ではなく、お出迎えをしたかった。
演出を挟みつつ、ゲストと過ごす時間を大切にしたパーティー。
ゲストが結婚式に込めた想いをまさにその時聞けたこと。サプライズの答え合わせを一緒にしたこと。夫のゲストを大好きになれたこと。すごく楽しかった。
特別な日であり、日常の延長にあることを感じられる時間だった。
その後
お見送り後、スタッフの皆様と撮影し、記録映像に素直な気持ちを収めた。
衣装を脱いで、釜飯を頂いて、ゲストからの手紙を読んだ。ゲストから私たちへの手紙を書いていただくことは、IWAIのフローになければ考えなかったと思う。
ゲストからの手紙で、一人ひとりからの、私たちへの想いを知った。
結婚式は「感謝を伝える」という一方的なものではなく、想いを伝え合う時間だったように感じる。
この2ヶ月後、まさか同じパーティールームでカレーを食べることになるとは思わず、名残惜しい気持ちでIWAIを後にした。
結婚式から1ヶ月後、CRAZY PEEPS(以下、PEEPS)というコミュニティを知った。
PEEPSに入り、10月は決起会とお昼ごはんに参加した。
同じものを好きだという人たちの出会い、永栄さんとの再会、同じ釜の飯を食べる私たち。
これまでPEEPSの存在を知らなかったのは、IWAI関連のSNSを一切フォローしていなかったから。結婚と同様、望んで手に入らないことが怖いので、意識的に距離を置いていた。
結婚式を我慢し続けていたら、私はIWAIの情報を遮断して、PEEPSにも出会わず、我慢することにまた慣れていったのかなあと思った。
最近はIWAIが<帰る場所>になりつつあることが嬉しい。
憧れでも、ここで結婚式を終えたということでもなく、これまで何度も足を運んだことにより、IWAIが身近な場所になってきた。
おわりに
この記事がおおかた書けた頃、冒頭の言葉と出会った。
思い出したのは、結婚式を決めた頃の心身ともにボロボロな私、その私を介抱する夫、控室で読んだ夫の家族からの手紙、夫のファーストミート、父の涙。
醜い瞬間を受け入れてくれる人がいて、美しい瞬間をこっそりと伝えたい人がいる。そんな人たちと出会えたことを幸せに思う。
*見出し画像:kuppography
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