闘鷲降臨~優位を活かす、ということ(19-20GAME40-41) #FE名古屋

<Game1 FE名古屋 83-85 愛媛>

https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=5052&TAB=B

https://stats.basketballnavi.com/box_score.pl?game_id=201932362

<Game2 FE名古屋 89-60 愛媛>

https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=5053&TAB=B

https://stats.basketballnavi.com/box_score.pl?game_id=201932363

<優位を活かすということ>

「バスケットボールは確率のスポーツ」などと言われることがあります。「期待値のスポーツ」と言い換えてもいいかもしれません。一部の例外を除いては、ごく短い時間で攻守が頻繁に切り替わる中、自分たちは少しでも期待値の高いオフェンスを行い、相手の期待値の高いオフェンスを妨げる。バスケットボールはその繰り返しの結果として勝利をつかみ取るゲームと言えるでしょう。そして、期待値の高い攻撃をするにはなにを目指すのか。これを定義するなら、攻撃力のある選手に優位な状態でボールを持たせるようにする、ということではないかと考えています。

バスケにおける優位、とひとことに行ってもいくつかの種類があります。個人的には1on1で攻めきるための二つのミスマッチである「高さ」と「スピード」、そして「位置取り」を加えた3つがその正体ではないか、という風に思っています。この優位を作り出すために、ピック&ロールやスクリーン、アイソレーションといった戦術が行使されているのです。

そんな中、今回のFE名古屋と愛媛は、それぞれのチームが自らと相手の強み弱みをしっかりと認識し、強みを活かし弱みを消す、そして相手の強みを消し弱みを引き出す、そんな綱引きが随所に見えていたのが印象的でした。

FE名古屋で言うと、明確な強みとして認識していたのは間違いなくインサイドでしょう。愛媛のタプスコット、ヴォールゲルの両外国籍は素晴らしい技術と機動力の持ち主ですが、縦のサイズに欠くことも間違いありません。ジョシュ・クリスの2人は愛媛の2人よりも10cm以上身長が高く、パワーも十分に備えています。基本的なプレーをP&Rから動かす展開に置きつつも、困ったときにはインサイドポストでどっしりと攻める、ということを主眼に置いたことは間違いないでしょう。

愛媛は前述のようにインサイドのサイズに恵まれているわけではありません。しかし、俊野ブラザーズに笠原にと、技術とそれなり以上のサイズを持ち合わせた1~3番の選手が潤沢で、ここはアンダーサイズな選手の多いFE名古屋に比べると恵まれているポイントとなっています。マッチアップする相手よりサイズが上回っている場合、アドバンテージが取れる部分はいくつかありますが、アウトサイドで考えた場合クローズアウト、つまり相手のシュートへのプレッシャーをかけるときが最も表に出やすいのではないでしょうか。

愛媛はそこを当てにしていた部分もあったのでしょう。自分のマークマンをかなり離してでも、クリス・オトゥーレのインサイドポストのパスを潰すことを優先しました。これは入ってからのダブルチームだけでなく、そもそもポストに入れるパスをヴォールケルが、パッサーが深い視野をとれていない時は逆サイドのヘルプが緩いパスをカットしにまで行くというギャンブル性の高い守りを仕掛けます。1試合目については、この守り方は的中。手癖でパスを出すFEの選手たちは次々にインサイドへのパスをミスして、21ものターンオーバーを積み重ねる結果となり、手痛い敗戦を喫することになってしまいました。

2試合目は前日の怪我などの影響かエリマン、および前日多くの3Pを決めた俊野弟が出場することができなかったこと、そして愛媛の守り方をしっかりと意識できたことで、ターンオーバー、特に相手のスコアに直接かかわってしまうようなものは激減(ターンオーバーは▲7、ポインツオフターンオーバーは▲11)。確率良くリズム良くインサイドを制圧し続けたクリスの活躍もあって、残り5分近くをガベッジタイムにできるような快勝となりました。

今年のFE名古屋は成績こそ上がってはいませんが、けして弱いチームではありません。それはこの群馬、愛媛に対する勝利からもわかります。ほんの少し足りないところがあるとするならば、自分たちがより優位でいられるよう、行い続ける修正に対しての対応力。そして、手癖でやりたいプレーを行うのではなく、相手を見たプレーをやりつづける我慢強さではないでしょうか。

そういった方向性のもとで強度の高いプレーを続けられれば、プレーオフで下位シードとなり、相手ホームに乗り込むこととなったとしても、先に2つ勝つことを続けてB2優勝も十分現実にできるはず。残り20試合を切った今季。更なる進歩を期待したいところです。

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