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闘鷲降臨~高く飛ぶためには云々(19-20GAME10~11)#FE名古屋

Game1 FE名古屋 77-79 福島

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数字上だけ見ていたらどっちが勝ったのかは分からない試合。でも、負けには不思議な負けはありません。たとえ審判の技術が2日間通して微妙かつ偏っていたとしても、本来チームが持つ実力で言ったら2勝してしかるべき相手。

要因は相手のフィジカルなプレーに「ファウルを取ってくれるだろう」リバウンドを「誰かが取ってくれるだろう」と他力本願になったことでしょう。上位を追いかけるうえで、再び星を「落としてしまった」試合となってしまいました。

Game2 FE名古屋 86-80 福島

スクリーンショット (99)

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昨日の試合を受けての2戦目。この日は途中までは気持ちを切らず、いい時間帯を続ける、悪くなったときにすぐに修正をし、リードを必要以上に減らさないプレーが、3Qまではできていました。正直なところ4Qについてはファウルの基準が随分偏っていたことが福島に有利に作用したことで相手に詰められてしまう形となりました。とはいえ4Qはそれを差し引いても攻撃での選択肢の取り方、認知にかなり問題があり、こういう時にどのようにプレーすれば良いのか、よい練習になったのではないでしょうか。この経験を後半に大きく連勝するための糧としてほしいところです。

ピックアンドロール(P&R)は何のために

今季のFE名古屋は昨季に比べるとピックアンドロール(以下P&Rと表記)からの展開を多用するチームになりました。P&Rとは単純化するとボールを持っている選手(ハンドラー)を守る相手選手の進行方向を塞ぐようにボールを持っていない味方の選手が立ちます(①)。このプレーのことをスクリーン、塞ぐ選手のことをスクリーナーと言います。

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ハンドラーはそのスクリーンを使って自分の守備を引き剥がし、またスクリーナーも自らが行く手を塞いだ相手の動きを上手く封じることで、点線部分のように数的優位を作り出すわけです(②)。

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実際に毎回このようにうまくいくわけではなく、守る側も創意工夫をしてきますが、こういった形を中心にハンドラーの自由、もしくは数的優位の状況から相手守備のズレを作り出し、シュートチャンスを作り出すことが目的のプレーとなります。

この戦術はスクリーンをかけるスクリーナーに高さと機動力が必要ですが、今季のFE名古屋の外国籍選手の#24ジョシュ・ホーキンソン 、#19ベンジャミン・ローソン の二人はこの二つに非常に恵まれています。帰化選手である#15ソウ・シェリフ も含め、この戦術を中心に戦っていくには十分な素養があると言えるでしょう。

しかし、現状、FEのP&Rは相手守備のある対策を破るのに非常に苦労しています。それが「ブリッツ」と呼ばれる守備戦術です。これは、攻撃側がP&Rのためにスクリーンをセットした際、まず、スクリーナーをマークする選手が先回りし、相手ボールマンがこの後通ろうとするルートを塞ぎます(③)。

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その後ハンドラーをマークしていたマークマンもそのままボールを持った選手を守ることで、点線の部分のように局地的にボールの近くが1on2の状況になるわけです。(④)

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この状態になることでハンドラーが苦しくなることには、1対2で相手のほうが人数が多いという以上の理由があります。それは、P&Rでハンドラーを行う選手は背があまり高くないことが多く、スクリーナーとそのスクリーナーのマークマンは非常に背が高いしかも外国籍選手であることが多い、ということです。

ここで自分がボールを持っている想像をしてみてください。自分より20cm以上背が高く、横幅のある選手が至近距離で圧力をかけてくると何が起こるか。まず、その方向への視野が塞がれます。また、外国籍選手は身体能力に優れた選手も多いため、そちら側のサイドを抜き去るということも容易ではありません。このように、ハンドラーの判断と選択の余地を削ぐのがこの守り方の特徴と言えますが、スピード自慢の選手も背の高いハンドラーも多くないFE名古屋にはこれがかなり効いてしまっています。

また、この守り方で上手く元々のスクリーナーにボールを渡すことが出来れば、下の図の点線部分のようにリングに近い側のエリアで4on3の数的優位が発生します。(⑤)

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ここでボールを持た、スクリーナーだったビッグマンが出来たズレを活かして良いシュートチャンスを作れればいいのですが、ベンにせよジョシュにせよこの形になった時の判断がイマイチなことが多く、良いシュートを打てなかったり、身体を当てられてシュートを外したりと、チャンスを活かすことができないことも多いのです。ビッグマンのフィニッシュという側面でもありますが、その前の判断と、スキルという話でもあります。

ここ何節かの試合を見ている限り、相手チームの守備戦術にはこのブリッツがFEの攻撃リズムを壊す方法として間違いなく組み込まれています。この状況を打開するにはブリッツされた展開を逆手に取ってしっかりと攻撃を決めきり、「ブリッツをしても効果がない」と思わせる以外にありません。

もっとも、これに必要なのは認知、判断、そして技術という、個人の能力です。幸いなこと、と言っていいか分かりませんが、ベンにしろジョシュにしろシェリフにしろまだ若く、技術的な向上の余地も十分残されているでしょう。彼らだけでなくビッグマン陣全体、後半に向けてのさらなる進境に期待したいところです。

激しさは必要、されど暴力は許されない

今節の審判クルーはスキルという意味ではかなり微妙というか、ストレートに表現すると「下手」といって良いものでした。それは1日目の3Q最後の0.3秒でのキャッチアンドシュートをカウントにしたことでも明らかでしたが、その最たるものは2日目の2Q残り1分22秒の神原による宮崎への乱暴なタックルをノーコールにしたことでより確実なものとなったように思います。

審判も人間がやっている以上、誤りとか、判定の方向性というものがあることは仕方がなく、容認しなければなりません。しかし、ボールがアウトオブバウンズになりそうだからというところで集中を切り、日大アメフト部のタックルを思わせるような乱暴な接触を見逃す、というのはもはやプロの試合を裁く審判としてはスキルが不足しているとしか言いようがないのではないでしょうか。

あのようなプレーが許されるという前例を作らないためにも、Bリーグはしっかりとあのタイミングで起こったことを見据え、適切な動きをしていただきたいと思います。選手の身体を守る上で。

最後に一言。

乱暴なプレーしといてヘラヘラしてんじゃねえよ神原。

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