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闘鷲降臨~21-22シーズンも1/4が経過したので選手ごとに振り返ってみる(上) #FE名古屋

 21-22シーズンが始まって約2か月が経過。ちょうどシーズン1/4を消化し、各選手の特徴やフィット具合が判明してきたところである。この辺りで、序盤戦の採点をおさらいしておきたい。

画像のデータはBasketball.navi11/22時点より引用。用語もこちらの表示に合わせて使用しているので、用語集も併せて御参照あれ。

#0アンドリュー・ランダル

13試合出場 平均評価:5.96

ランダル01

ランダル02

ランダル03

 山形でのB2得点王という実績を引っ提げてFE名古屋に加入した「スクーティ」ランダル。プレシーズンからシーズン最初の数試合こそ、新しいチームでややPF寄りのプレーも求められる役割へのアジャストに少し苦労していたが、徐々に慣れ、極めてバランスのよい活躍を見せてくれている。
 昨季と比べると出場時間が微減、得点は9点ほど落ちている。ただ、昨季比でTOVが半分以下に減り、逆にASTが1.6も増えている。昨年山形でやっていた得点を取る切り札としてのプレーから、周りを活かすことも含めたオールラウンドなプレーへの移行がなされていると考えていいだろう。
 弱点としてはオフボールの守備において、リムプロテクトの脚がやや鈍いという部分かもしれない。もともとの機動力+マークマンに集中しすぎてしまう認知の問題の両方だが、認知の問題は解決できるはず。中盤に向けて、上手くアジャストしてほしいところだ。

#1宮崎恭行

10試合出場 平均評価:5.65

宮崎01

宮崎02

宮崎03

 今季もチームキャプテンを務める、不死鳥でありミスターFE名古屋。今季はPGが石川海斗と笹山しかいないこともあり、昨季までよりもハンドラーを務めることも増えているのが昨季までとの大きな違いかもしれない。
 マークを緩めたら危険な存在であることはもう既に全チームに知れ渡っており、出場即厳しいマークを敷かれることもしばしば。3P%にその苦労が表れているが、そのぶん2P%が向上したり、ファウルをもらったりというところでカバーするあたりが流石ベテランと言えるだろう。
 年齢や動きの面よりもサイズの部分、特に守備で不利な部分があることからも、長時間の出番があることは多くはないが、石川と笹山を休ませる意味でも、そして彼らのアクシデントに備える意味でも宮崎に課せられた役割は大きいものがある。ベテランの奮闘にこれからも注目したい。

#3エヴァンスルーク

10試合出場 平均評価:6.15

ルーク01

ルーク02

ルーク03

 昨季は主にB3でプレーしつつ、日本国籍取得と実力を蓄えたエヴァンスルーク。ちょうど過渡期というところもあっただろうが、日本代表合宿に選出されるなど、充実のシーズンを過ごしている。
 特に今季FE名古屋ではビッグマンの層が薄く、彼がセンターポジションを務める時間がある程度出てくることが想定された。この起用には一部の層からはかなり疑問を呈されていたようだが、ここまでは無難どころか、むしろ彼がセンターを務めるスモールラインナップがチームの一つの武器にまでなっている。
 その起用を武器たらしめているのが彼の万能性だろう。決して華麗ともいえず、アスレチックとも言えないが、あらゆる部分で平均点以上にこなすスキルと、そしてそれを必要なところで発揮できる賢さと勤勉さ。特にそれが活かされているのが彼とランダル、JJが入った「3ビッグによるスモールラインナップ」。外国籍がいずれもGからFまで守れるという機動力と万能性を活かし、スクリーンに対しどんどんスイッチをして平面のズレを極力作らない守り方は、多くの相手ハンドラーのリズムを崩し、チームの好守に貢献する形となった。
 そんな彼にも不得意なものはあり、それがFT。特に最初の数戦はFTゲットがターンオーバーに思えてしまうくらいの酷さだったが、ここのところは若干改善に向かっているようだ。ここがある程度以上に克服できれば、今後の強敵相手にも怖いものはない。日本代表でもいいものを吸収して、チームに還元してほしいところだ。

#6林瑛司

14試合出場 平均評価:5.86

林01

林02

林03

 本契約としては2年目の最年少。今季はプレシーズンではフィジカル、そして技術面でも明確に進歩したところを見せ、今季に向けて期待が高まっていた。とはいえウイングの選手としては一番後ろの序列からの出発。実際に最初の8試合はあくまで前半の途中出場で5~10分をつなぐという役割以上を与えられることはなかった。実際のところ、守備は役割をしっかりこなしていたものの、攻撃面ではなかなか思い切ったプレーができずにいた。
 その状況が一変したのが11/5の愛媛戦。エヴァンスルークの負傷欠場でスタートに名を連ねるチャンスを得ると、この日27分の出場で18得点。守備でもしっかりとプレーして勝利に貢献すると、これ以降はケガ人に悩むチームの中にあってスタートの座を確保。定着してからの7試合は平均24.7分の出場で12.4得点。50%を超える3P%、恵まれたフィジカルを活かしたリムアタックやランニングプレー、そして何より体格負けせず脚で守れる守備と、理想的なウイングプレイヤーに成長しつつある。
 主力の怪我というチームのピンチを自らのチャンスに変えて、台頭した林瑛司。長いシーズン、浮き沈みはまだまだあるはずだが、彼の成長がチームの成績を左右する。怪我なくいいシーズンを送ってほしい。

#10会田太朗

7試合出場 平均評価:5.86

会田01

会田02

会田03

 今季が勝負の若手プレイヤー。林瑛司同様充実したオフを送ってきたのか、こちらもプレシーズンではかなりの成長度合いを見せていた。
 とはいえビッグマンの中では序列は一番下。チームが良い形で勝利に向かう状況で初めて使われる、というのが通例だったが、やはり怪我人が多く出ていることもあり、少しずつ出番が増加。まだまだ物足りないところはいっぱいあるが、守備ではスクリーナーを守ることになったときに思い切った動きでブリッツをかける、攻撃では絶えずスクリーンからダイブするなど、「出来ることを精いっぱいやる」意志はしっかり見えるようになっており、実際にその動きがチームに好影響を与えることも増えてきた。
 まだイージーショットを落とすなど頼りないところはあるが、まずは前半に3分4分と毎試合出番をもらう立場が目標だろう。ともかくビッグマンの層が薄いFE名古屋にあって、彼の成長が懐具合の余裕につながると言っても過言ではない。より骨太なビッグマンへの脱皮を期待したい。

#11石川海斗

15試合出場 平均評価:5.9

石川01

石川02

石川03

 熊本から来たアシスト王も、今季はASTの数字は4本近く低下。だが、それが彼のプレークオリティの低下を意味しているわけではない。AST:TOV、つまりTOVひとつにつきいくつASTを記録しているか、という指標で行くと、昨季の2.9から3.6へ上昇。今季のチームの特徴に、TOVは非常に少なくASTは多く、ということが挙げられるが、石川海斗の今季のプレーは間違いなくそういうチームオフェンスに貢献している。
 一方で非常に印象的なのが守備面。しかも、数字に出やすいSTLの数字よりも、相手ハンドラーに脚でひたすら粘り強く食らいつく地上戦の守備がめっぽういやらしい。正直昨季までこういう粘り強さを石川の守備に感じたことはなく、「こういう貢献ができる選手なんだ」とグランパスにおける柿谷と同じように彼のことを見直した次第である。後は時々PnRディフェンスでアンダーで守らないほうがいい相手にアンダーで守って3Pを沈められるのが減るともっといい。
 攻撃面ではシューティングの%がまだまだ上がってこないが、チームオフェンスがより完成に近づくことで改善は図られていくだろう。時々見せるケレン味の強い「遊ぶ」プレーは大きな魅力。失敗で相手に流れを渡すのは勘弁だが、そういう部分も含めて、今季の彼のプレーを楽しんでいきたい。

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