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闘鷲降臨~あくまでプレシーズンですから(21-22プレシーズン)#FE名古屋


(笑いをかみ殺した顔で)

FE名古屋 89-86 三遠

 もともとは蒲郡で有観客で行われるはずだったこの一戦。残念なことに緊急事態宣言の煽りを受けて中止され、おそらく三遠の練習で使われている体育館にて、放映ありのプレシーズンゲームとして開催されることとなった。

 極めて厳しい戦いを強いられ、通常シーズンなら残留プレーオフ行き待ったなしの成績だった昨季の三遠。このオフは思い切って8人を入れ替え。富山から松脇、島根から杉浦、A東京から津山、そして生え抜きの津屋など、ともに飛躍したい若手も確保し、先が楽しみなメンバーをそろえてシーズンに向かう。

 三遠のスタートは山内松脇杉浦ハリスノックスの5人。一方のFE名古屋のスタートは笹山野﨑鹿野ランダルルーク。相馬を野﨑に入れ替えて臨んでいる。

 1Qはイマイチピリッとしない立ち上がり。笹山が立て続けにTOVを犯して石川に替えられたり、ということもあったが、三遠の外国籍を中心にした2メンゲームと日本人選手のバックドアを止められず、開始わずか3分9秒で最初のタイムアウト。これが功を奏し、守備の脚が動くようになったFE名古屋は相手の攻撃をスローダウンさせると、Stlからの速攻などで逆にリードを奪い返し、このQは20-17とわずかにリード。

 再び厳しい状況になったのが2Q前半。主に #22ジェレミー・ジョーンズ (以降「JJ」と呼称)がまだピックのスクリーナーの守備に入るときの味方との連携に習熟していないこと、相手ビッグマンをフルフロントで守るときのローテが上手く行っていないというところが原因のように見えたのだけど、やや緩んだ守備で失点がかさみ、最初の4分の相手の7回の攻撃すべて得点につなげられる状況で8-16と大きなランを許す。
 FEの攻撃はランダルがファウルをもらってFTでつなぐも、ジワジワと広がった点差は残り3分30秒あたりで最大の10点に。しかし複数回のタイムアウトで重ねた修正によりようやく守備が機能し始め、また攻撃で野﨑と相馬が踏ん張ったことで点差を縮め、38-42と4点ビハインドで折り返し。

 3Qは序盤、お互いに決め手を欠く展開。とくにFE名古屋側はパスを回したりポストを使ったりで打開を試みるもなかなかズレを作ることができず、重いオフェンスが続く。オフェンスが重いときはイケイケな連中の出番である。攻撃意識の高い石川、相馬、野﨑と、思い切ってシュートを打ちに行ける選手を並べる形に。少しのズレでも思い切ってシュートを打てる3人だが、一方で守備でも思いのほか積極性を発揮してくれたのは先週の試合でも分かった通りで、ボールマンに積極的に圧力をかけてズレを作らせない。
 また、ここで存在感を見せたのが #10会田太朗 だった。ルークのファウルトラブル、ランダルを休ませることもあってJJとともにプレイングタイムを得ると、相手のピックアンドロールの時に積極的なハードショウ、というよりもうブリッツになるような形でボールマンに圧力をかけてTOVを誘発。2連続でJJの速攻により加点し、逆転。60-56と一歩リードして最終Qへ。

 ただ、いい流れがそう続かないのがバスケットボール。4Qは再び相手守備にタフショットに追い込まれて得点を伸ばせず、OTOまでで積み重ねられた得点はわずかに3点。守備は粘ってはいたもののここまで攻撃が不出来では厳しく、残3:15に津屋に美しいジェイルからのプレーでand1を決められた時点で3-16のランを作られ、9点のビハインドを背負う展開に。
 しかし、ここで反発力を見せたのがこの日のFE名古屋。まずは野﨑が先導。ドライビングレイアップ→3Pジャンパーと2回連続で攻撃をヒット。そしてその後相手に加点を許しつつも笹山が3Pを2本連続で決め、最終ポゼッションはJJがランダルとのギブ&ゴーでイージーレイアップを決め切って同点とし、まさかのプレシーズンでの残業となった。

 オーバータイムは追いつかれた側が苦しいということか、三遠が焦りの見える攻撃に終始。上手く先行できたFE名古屋が、FTを外して少し苦しむ形になりつつも最後までリードを保って勝利。プレシーズンとはいえ、クウェリという大駒を欠いてB1チーム相手に勝つという自信を得た一戦となった。

チームスタッツと全体を通して雑感

FG%
 FE名古屋 46.7% (28/60)
 三遠   48.5% (33/68)

2P%
 FE名古屋 55.2% (16/29)
 三遠   55.3% (26/47)

3P%
 FE名古屋 38.7% (12/31)
 三遠   33.3% (7/21)

FT%
 FE名古屋 60.0% (18/30)
 三遠   76.9% (10/13)

AST&TOV
 FE名古屋 19AST 8TOV
 三遠   15AST 15TOV

 数字は手集計なのでズレがあるかもしれない。2PFGの試投数を見ていただくと、やや手薄なFE名古屋のインサイドを狙ってアタックを繰り返した三遠という図式は分かりやすく出ているように思う。その一方で、そういう攻撃であれば三遠はもっとインサイドでファウルをさせてFTを引き出したかったはずだが、インサイド陣の粘り強さと、アウトサイド陣のヘルプ、そのあとのローテの迅速さでズレを許さなかったFE名古屋の守備が光った。
 もう一つ守備の良さとして、三遠のTOV(ターンオーバー)が15あったことも見逃せない。上にも書いたが、ボールマンへのプレッシャー、そして読みとボールの受け手への速いアプローチが上手く効いて、FE名古屋の選手のStlはなんと11を数えた。守備からの速い攻撃が上手く行って逆転した3Q終盤の流れはチームの理想形といっても過言ではない。

 他、3Pの本数が大きく増えていることを見ても、昨季までのチームとは全く違う、というか、違う闘い方ができるということを証明したと言えるだろう。ここにクウェリが加わってどんな闘い方ができるようになるか、楽しみで仕方がない。

 あ、それはそうとチームFT60%とかはありえないので、特に2×やらかした人たちはFT特打な。

個別採点とスタッツ

数字はすべて手集計なのでズレがあるかもしれませぬ。特にRebやStl、TOVあたり。

#0アンドリュー・ランダル 6.5
 21Pts(2P3/7,3P0/3,FT15/19),5DReb,4Ast,2F
 FGのタッチにはやや苦労していたけど、老獪なプレーでFTをもらいまくってチームの攻撃を下支え。

#3エヴァンスルーク 5.5
 2Pts(2P1/2,3P0/1),2DReb,2Stl,5F
 明らかに狙われて、実際にファウルが嵩んでしまった。ビッグマンがヘルプに引き出されてさせられるのではなく、1on1でさせられたファウルなのが気になるところなので、本人およびチームとしてどう対処していくのかに期待したい。

#12野﨑零也 6.0
 7Pts(2P2/6,3P1/3),4DReb,4Ast,2Stl,2F
 この日も勝負所で頼りになるところを見せつけた。攻守の推進力が素晴らしい。

#21笹山貴哉 6.0
 8Pts(2P1/1,3P2/4,FT0/2),3Ast,1Stl,4TOV,1F
 ゲームの入りはどうなることかと思ったが、勝負所でのプレーはさすが。無駄なTOVはもう少し減らしたい。

#45鹿野洵生 6.0
 3Pts(3P1/2),1Dreb,1TOV,1F
 守備面では欠かせない存在感。攻撃面ではバランサーなので、打開は別の選手の役割と割り切るべきかも。

#6林瑛司 5.5
 0Pts(3P0/1)1Ast,1Dreb,1Stl,1TOV,1F
 前節ほどの出番は確保できなかったが、1Q終盤からの速攻アシストは素晴らしかった。これくらいやれていれば最低限の出番は確保できるだろう。

#10会田太朗 6.0
 0Pts(FT0/2)1Oreb,1Dreb,2Ast,1Stl,1TOV,2F
 ルークのファウルトラブルで出番増。3Qの守備は非常に良かった。

#11石川海斗 6.0
 6Pts(2P0/1,3P2/4),2Ast,1Stl,1TOV
 攻撃が停滞しているときこそ輝く。笹山と上手く使い分けてほしい。

#18相馬卓也 6.5
 16Pts(2P3/4,3P3/6,FT1/3),1Oreb,2Dreb,2Ast,1Stl,1F
 ドライブからのインサイドアタックに、外のシュートにと素晴らしい出来。守備もよく脚が動いている。

#22ジェレミー・ジョーンズ 6.5 PotG
 23Pts(2P6/8,3P3/7,FT2/4),3Oreb,3Dreb,2Ast,2Stl,2F
 初お目見えの新外国籍選手。攻撃面では早速高い能力を見せつけた。少し低めの打点からクイックに放たれるジャンパーは、その理不尽な入り方も含めて往年のOBロドニー・カーニーのそれを髣髴とさせる。現状あそこまでテクニカルでもアスレチックでもないけれど、そうなることが期待できる逸材と言えるだろう。
 守備も1on1においては身体能力だけでなく技術もしっかりしており、チームの守備に合わせようとする意志も感じられる動きだったので、チームのルールが浸透すればさらに良くなっていくはず。先が楽しみな選手が入ってきた。

#1宮崎恭行
 DNP-Coach’s decision
 本日は出番なし。力が必要になる日はまた来るでしょう。

#41ブライアン・クウェリ
 DNP-Condition
 合流直後に付きお目見えのみ。本日あれだけインサイドを突かれていたことを考えると、合流後どうなるかがが楽しみ。

#川辺泰三HC  6.0
 クウェリがいない時間帯の予行演習をしつつも、最後はしっかりと勝ちに行く采配。林・会田に十分な時間を与えつつのこの勝利はチームとしても自信にして良いのでは。

最後に

FTは大事。


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