すみませんアンネローゼ様、あなたの弟とまったく仲良くできないですね〜銀河英雄伝説 Die Neue These (22)感想
突然だがブラウンシュバイク公の最後が、風邪を引いたのでアンスバッハママがパパたち(衛兵)と協力してお薬を飲ませるシーンにしか見えなかった。
アンスバッハママとお呼びしたい。
アンスバッハとブラウンシュバイク公、微妙に顔が似ているし、お互い離れられないのはなんでだろうと思ってたんだけど、ひょっとしたらアンスバッハはブラウンシュバイク公の隠し子だったのかもしれない。
ブラウンシュバイク公はラインハルトが道を誤った時の成れの果てで、アンスバッハはそんなラインハルトを止められなかったキルヒアイスの成れの果て、キルヒアイスはラインハルトが腐った時には毒酒を母親のように飲ませるんだろうなと思った。流れが流れなだけに。
弟と仲良くしてやってね
アンネローゼ姉ちゃんからお手紙をいただいた(19世紀ぶっていてもSFなのでお手紙はホログラム通信である)ラインハルト。顔が溶けている。重症なのが姉ちゃんのメッセージが終わっても全てを忘れたかのようにとろーんとしたまま姉ちゃんのホログラムを見つめ続け、「キルヒアイス上級大将、入ります」とキルヒアイスが呼んでようやく姉上のお手紙をしまい、であってもまだとろーんとした顔をしていたところである。完全に姉上に浸っている。
しすこんでざんねんないけめん閣下はまこと姉君想いでいらっしゃいますな
核攻撃を見逃したのが結構なストレスとなっており、姉上の手紙を読み返すことでしか精神の平和が保てないのではないだろうか。いや、たんなるしすこry
SPY×FAMILYのユーリと同じく、ラインハルトは幼少期に女手一つで育ててくれた、母親がわりのようだった姉に対して大きな感謝と愛着を抱いている。ユーリは姉を奪われたモヤモヤ感を他人であるロイドにぶつけることができるが、ラインハルトは姉を奪ったのが、最愛の親友であった点が不運だと思う。モヤモヤ感をぶつけられない。あとアーニャもいないしな〜
キルヒアイスが乗り込んできた瞬間から、ラインハルトはぺちゃくちゃしゃべっている。しゃべり倒している。後ろめたいことがありすぎてキルヒアイスに喋らせたくないのだろう。「ワインとコーヒーどちらにする」とか「お帰りなさいあなた!ご飯にする?お風呂にする?」と同じようなことを言っている。気を使いまくっている。
でもそのことが、キルヒアイスに「核攻撃を見逃したんだな」と確信させる行動になってしまう。
ラインハルトはヤンさんと違って息をするように嘘をついたことないのが仇になった。彼の野望とか完全に他の貴族にバレちゃってるし、割と正直者だ。姉上の育て方が良かったのだろう
お話があります
このズレが、オーベルシュタインの荒療治ともいうべき分離手術の結果だというのが辛い。先生は荒療治に成功した。ラインハルトはキルヒアイスと自分の区別がつくようになり、キルヒアイスは自分で考えてラインハルトに反発している。
キルヒアイスはラインハルトの友人ではなく、立派な提督になったのだ。
けれど、荒療治であるがゆえにどこかに無理が来てしまう。
すでに、夢を共にする友人の言葉ではなく、廉直な忠臣の言葉になっているのが辛い。ラインハルトからすると、「ラインハルト様が覇権をお求めになるのは」と、銀河を手に入れるのは「キルヒアイスと自分」ではなく、「自分」一人なのだと、自分一人だけの夢だと言われた気分になる。
そしてキルヒアイス本人がその微妙な立場ゆえに「公平さ」を阻害している要素になっていることに無自覚なのも。
どこまでこの二人は新しい王朝について話し合っているのだろうか。
今のラインハルトは、焦土戦もやったり核攻撃を容認したり、民衆を見ているようには見えない。ヒルデガルドがラインハルトに「あなたは民衆を味方につけることができる」とアドバイスさえしているくらい、民衆を見ていない気がする。
ラインハルトに民衆を基盤にするという自覚はなく、キルヒアイスが新しい王朝の形を独自で「哲学」した結果の結論だろうか。
私はここで、ふとキルヒアイスがラインハルトの妻だったら救われたのになと思った。皇后・皇妃であれば、王朝の基本理念を述べてもなんらおかしいことはない。だが、ただの臣下が王朝の基本理念を述べ始めたら、それは皇帝(になるんだよね??なってくれなきゃ困りますよ?まあ宇宙大将軍でもいいんだが……)ラインハルトの主権の侵犯にあたる。
お前は一体、俺の何だ
ラインハルト、それがわからないから私のような初見の人間はズブズブとあんたとキルヒアイスの関係について沼って考察しまくってるんだよ。
ラインハルト本人でさえわからないキルヒアイスとラインハルトの関係。じゃあ外野である私がいくら考察したところで仕方ないね\( ˆoˆ )/
前の回でも考察したけど、核攻撃をした際、ラインハルトは罪悪感のあまりキルヒアイスに慰めて欲しかったのだろうなと思った。
姉とキルヒアイスに「ラインハルトは頑張っている」「正しいことをしている」と慰めて欲しいんだろう。自分のしたことが正しいとは到底思えず、不安だから。ラインハルトは心を打ち明けて話せる人間が少ない、つまり心の依存先が少なく、姉とキルヒアイスにしか慰めてもらえない。オーベルシュタインなんか、慰めてくれと頼んだらケツを蹴ってくるだろう。
連絡先を交換したばかり(?)であるらしいヒルデガルドに「俺、ヴェスターラントで核攻撃が行われるのを知ってて容認しちゃったんだけど、それが原因で友達と喧嘩してて苦しいんだ」と相談できるタイプだったら彼女いない歴=年齢ではないだろう。キルヒアイスとの深刻な亀裂を確認した後、ヒルデガルドから通信が入ったラインハルトの目が失恋でもしたかのように死んでいる。
一応ヒルダちゃん♡からのお手紙なので開きはするらしいラインハルト。
キルヒアイスにアンネローゼがいるように、ラインハルトにもヒルデガルドという特別な存在ができてしまったので、擬似恋愛的親友関係は終わりを向かわざるをえないよなあ……としみじみ思った。
人生で初めてキルヒアイスが自分にキレたので茫然としているラインハルトがちょっとおもしろい
チャットGPTに話すしかない
ちなみにチャットGPTはこう返してくれる。
チャットGPTは「異なる意見を持つことは自然であり、友情を強化するチャンスだ」といっている。
まさにその通りで、ラインハルトはキルヒアイスときちんとコミュニケーションが取れていれば、見逃してしまったことに対してどう対処していくかお互い新しい意見を出し合うことができ、新しい友情を築けるチャンスだった。核攻撃に関してキルヒアイスは真摯に怒っている、だからキルヒアイスにヴェスターラントの事後処理をお願いしてもよかった。
ちょうどキルヒアイスは自分たちの友情に限界を感じていた。「諌めたその先」を見れていなかった。それをも救う可能性があった。
でも人間、とくにラインハルトみたいに精神的に脆い人間は特に大事な他人の意見を全部飲み込んで自分を傷つけてしまうので、他人の意見を咀嚼することができず、話し合いの段階に行かない。
キルヒアイスが面白いことを言っている。
やってはいけないことをやることと、すべきことをしなかったこと、どっちが悪いんだろうか。
例えば寿司屋に貴族たちとラインハルトが行ったとする。貴族たちは寿司屋に行ったにも関わらずラーメンが食べたくなったので、店主にラーメンをせびる。それを見ていたラインハルトは、店主が困っていたり店内が荒れていたりするのも無視して警察も呼ばずにスマホでその様子を撮影し、SNSに「貴族が大暴れ!」と投稿する。
この場合、貴族とラインハルト、どっちがよりヤバいんだろうか。キルヒアイスはラインハルトの方をより責めている。ラインハルトには未必の故意があるし、明らかに事態を悪化させているからだと思われる。でもラインハルトは、まず寿司屋を困らせた貴族の方が悪いと考えている。
考え方の違いでも、キルヒアイスとの大きなズレを認識してしまったラインハルト。キルヒアイス本人もそうだろう。
でも彼らは、自分たちの関係をこれ以上進めることはできない。ずっと双子のように目で見て意志が通じ合う二人だったから、自分たちの意見が食い違うことは「自然」ではなく「バグ」なのだ。ちょっと距離を置いて冷静になったり、対話して相手の新しいところを見つけたりすることはできない。
また、キルヒアイスは先輩であるミッターマイヤーやロイエンタールのいるエレガンスなバーに乗り込んでいって「ラインハルト様に核攻撃を見過ごしたことについて諫言したら、物凄くキレられてしまいまして〜(T ^ T)」と酒片手に相談することもできない。
三人で一杯やってれば「結局オーベルシュタインがイかれてるのと、門閥貴族がクズなのが悪りぃ〜んだよな!」と超絶適当だが、もやもやした感情を処理することができたかもしれない。
他のローエングラム元帥府のみんなも呼んで宴会を催し、結構出来上がったところでオーベルシュタインやラインハルトまで呼んできて三人で仲直りのハグをすれば世界は平和になった
真面目な性格のせいか、それともやはりラインハルトによって引きずり上げられた境遇のせいで先輩たちと距離感があるのか、一人で抱え込んでしまう。
ラインハルトではなく、キルヒアイス本人が、ラインハルトとの間に線を引いてしまうのがとても苦しかった。
オーベルシュタインは、私の偏見と妄想だが、ラインハルトとキルヒアイスを見ていて組織にナンバー2はいらない、と気づいたのではないだろうか。これだけナンバー1とナンバー2が傷つけあい、理解し合えず、組織を混乱させるなら、ナンバー2なんかいっそいらないと。
オーベルシュタインはちょっと前、ラインハルトに「優秀な副将もよろしいでしょう」といっていた。その時点ではラインハルトとキルヒアイス本人の濃すぎる関係が問題であるだけで、副将はあっても良いと考えていたことになる。
けれどいくら分離しても、ナンバー2であるキルヒアイスは周囲より年下で真面目な性格なせいゆえか、自分の殻に閉じこもり、ラインハルトの難しい感情や意志を他の提督に伝えることはできなかった。ラインハルトがビッテンフェルトにパワハラした件などがそうだが、二人きりではなくビッテンフェルトたちの前で公然とキルヒアイスがビッテンフェルトをかばって諫言してこそのナンバー2であるべきだった(だからオーベルシュタインとしてはナンバー2として組織を維持していく事よりもラインハルトのメンタルケアしか眼中にないと考えて、「ラインハルトとの仲を特権的に考えられても困る」とキレているのだろう)。
また、いくらナンバー2であるキルヒアイスを育てて自分の意見を言えるようにしても、ラインハルトはそれを受け入れず精神的に折れるだけだった。
最終的にラインハルトは、キルヒアイスに対する命令さえ下せなくなってオーベルシュタインに任せてしまう。親友と喧嘩したという私情を仕事に持ち込んでしまう悪い元帥だな
そもそもオーベルシュタインはラインハルトとキルヒアイスの関係の根深さをあまり理解できていないみたいなのだが、たぶんそのツケが回ってくるのだろう。オーベルシュタインがとても傷つく形でキルヒアイスが死ぬ気がする……
・しんどい。
・ラインハルトもブラウンシュバイク公もフレーゲル男爵もみんなママ(的な家臣)にお叱りを受けて精神的にショックを受けたり死んだりする回だった。どんまい。
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