8/4 三角関係の主題(佐藤泰志「きみの鳥はうたえる」)

佐藤泰志の小説「きみの鳥はうたえる」を読んだ。若者の力強い若さの美しい良い小説なのだが、主要登場人物の配され方が「そこのみにて光輝く」と同じで、知性において語り手とヒロインより一段劣る男が最後には逮捕されるというオチまで同じで驚いた。「そこのみにて光輝く」を読んだのが遠い昔で、映画の記憶も混ざっていて、本は手元になく、確認できないのだが、確か「そこのみにて光輝く」にはその後の話も付いていて、ある種の三角関係(「そこのみ」では姉弟だが)の主題が深化していったものなのだろう。とすれば、佐藤泰志は少なくとも二回、この種の人間関係を主題にしたわけだが、何か、トラウマめいた経験があるのかないのか、作家論的に気になってしまう。

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