4/2 閉鎖病棟の記憶

たまたまTwitterに出てきたこの記事を読んで、精神病院の閉鎖病棟内で教員として働いていたときのことを、というよりは、その中でのワンシーンを、思い出した。さっきまで笑顔を見せていた女の子が、鍵の閉められた病棟の扉を叩きながら泣き叫び、それを看護師が数名で抑える光景。中学3年にしては幼い笑顔を見せる女の子で、もちろんどういった状態なのかは知っていたが、彼女は我々に対しては大人しく「良い子」らしく振る舞っていて、心の病をついに目の当たりにしたような気持ちになり、単純に泣き叫ぶ声が痛ましかったこともあって、しばらく気持ちが落ち着かなかった。

当時は、興味深くやり甲斐のある仕事だと思ってやっていたと思うのだが、今さらこうして思い出すのは、彼ら彼女らの抱える心の病がナイフのように迫って見えたようなシーンばかりだ。そばにいただけの者にとってさえトラウマ的に思い出されるのだから、当事者たちにとってすれば、閉鎖病棟での経験というのは、余計にそうなのだろう。

そういえばその一年後に、別の職場で出会ったカウンセラーから「べてるの家」の存在を知り、大変衝撃を受けた。その一年前、閉鎖病棟の中で当たり前だと思っていたのとは正反対の関わり方で、うまくいく場合というのがあったわけだ。専門的に学んだことのない私にはそれ以上のことはわからないが――彼ら彼女らが、最も心穏やかに生き続けられるやり方が広がっていくことを、願わずにはいられない。

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