7/14 「病気は彼らの実存にかかわる問題」

…ずいぶん前に診察室で出会った小学生に、「いやだ、病気が治ったらボクじゃなくなる!」と言われたことがある。…そういえば、「センセイの言うことを聞いて薬を飲んだら、あたしが負けることになる」と言った女子中学生もいた。
 そんな子どもたちにしてみれば、病気は彼らの実存にかかわる問題なのであろう。いや、もともと精神科の病気にはそういう側面がある。その問いのなかで成長していってくれるならば、病気もまた彼らのクスリになるといえよう。

引き続き山登敬之『子どものミカタ』を読んでいるが、不登校、うつ病の話題になっておもしろくなってきた。子どもの場合、病気なのか未解決の発達課題なのか、といった視線の向け方が重要になるというようなことが書いてあったりし、なるほどなぁと思う。

そして上の引用部がおもしろい。病気だろうが発達課題だろうが、そのように捉える限りそれらは解決に向かわれなければならないものである。が、心=自分と捉えてしまいがちな人間一般にとっては、心の病――病んだ心がすなわち自分なのだ(きっと、山登氏の言う「もともと」とはこのようなことだろう)。世の中には心身問わずその病気や障害をアイデンティティとして押し出すような人々もいて、そういう人々の中には自傷的に見える人もいて見ていられないということもあるが、しかし程度やあり方によっては、それは病気や障害を抱えた者の生き延び方の解の一つかもしれない。

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