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ミニチュアペイント初心者ガイド①【必要なもの~色の塗り分け】

こんにちは。あおいです。
今回の記事では
・ミニチュアペイントに必要なもの(リンク有)
・下地塗料の塗り方
・塗料と筆の使い方
・色をベタ塗りしてみる(均一に塗る)
・各部の色をそれぞれ塗り分けてみる
といった内容で、事前に用意するもの~ミニチュアの塗り分けまでを紹介していきます。

今回紹介する内容は初歩的なものかもしれませんが、大事な基本となるので是非マスターしてみましょう。


ミニチュアペイントに必要なもの

塗料

大きく分けて、下地用のスプレー塗料と筆塗りに向いた水性塗料が必要となります。

下地に関しては「必要ない!」という方もいますが、せっかく塗ったミニチュアが剥げてボロボロになったら悲しいと思うので是非使いましょう。
スプレー塗料がオススメで、安価なものだとクレオスのブラックサーフェイサーが600円程度で購入可能です。
勿論ミニチュア用の下地スプレーでも構いません。その場合はシタデルカラーのケイオスブラックがオススメです。
下地の色は沢山ありますが迷ったら黒がオススメです。今回の記事でも黒を使用して解説していきます。

筆塗りに向いた水性塗料は、シタデルカラーやファレホ、アクリル絵具、トールペイントなどの「水性エマルジョン塗料」のことを指します。
この話は難しい&長くなるので割愛しますが、先述したものなら何を使っても塗れます。
ただ、各塗料にはそれぞれ塗ったときのツヤ感や色のラインナップといった特性の違いがあります。
ペイント未経験の方に勧めるとしたら「シタデルカラー」や「ファレホ」になります。
これらの特徴として「ミニチュアっぽい色が多い」「ツヤ感がミニチュアとマッチしている」「入手しやすい」ということが挙げられます。
でも、もし「アクリルガッシュのこの色が使いたい!」など思ったときには素直にそれを使って無問題です。
一部塗料にはクリアカラー(透け感のあるもの)が存在するので、模型店や画材店で買う際には「ベタ塗りに使いたい」と説明すれば適切な商品が購入できるでしょう。

筆はミニチュアペイントにおいてとても重要です。
例えば塗料選びに関しては個々人の趣味やセンスに依りますが、筆は品質がパラメータで、低いものをあえて使うメリットがないためです。
すると「高い筆がいいのね!」となるかもしれませんが、一概にそうとも言えません。
というのも水性塗料を使う筆は傷みが早いからです。
「メンテすれば大丈夫だよ!」とお思いの方、筆は毛先が”摩耗”していくのでどんなに丁寧に正しくお手入れしたとしてもいつかは擦り減ってしまいます。
そこで私がオススメしたいのが「500円前後のナイロン筆」です。
理由としては、それなりに高品質かつ買い替えが容易な安価さで普段使いに適しているからです。
例えばこの「インターロン」は安価かつ高品質で扱いやすいです。
種類と大きさは「ラウンドの0号」がオススメです。一般的なミニチュアモデルならこれ1本で十分塗れます。

ペンチングソルベント

ホルベイン ペンチングソルベント」は塗料を薄める「薄め液」です。
「えっ!?水性塗料だから水でいいんじゃないの!?」という方。確かに水で希釈できます。
しかし、こういった薄め液を使用することで塗りやすさが格段に向上します。塗料を塗ったときの伸びや定着が段違いです。
価格も高くありませんので騙されたと思って使ってみてください。

ウェットパレット

水性塗料は超速乾であるため、普通のパレットや塗料皿に取って使うとすぐにカピカピになってしまいます。
そこで塗料を保湿する「ウェットパレット」を使用します。
完成品も売っていますが、百均のセリアで売っているものだけで上等なウェットパレットが作れますので今回はその作り方を紹介します。
(使用する素材に関しては私が発見したわけではなく、SNSで見かけたものを試して使用感が良かったものとなります。)

必要なもの
画像と同じタッパー

洗車用ふきあげクロス

クッキングシート(30cm幅推奨)

作り方

ふきあげクロスをタッパーの大きさに合わせてカットし、タッパーの底に敷きます。

ひたひたになるまで普通の水(水道水等、薄め液ではない)を注ぎます。

ふきあげクロスと同等の大きさに切ったクッキングシートをクロスの上に敷きます。画面保護シールを貼るような感じで中に溜まった空気を押し出して抜くと保湿度がアップします。

スポンジシートに含まれた水分がクッキングシート上の塗料に微量ずつ吸われることによって塗料が乾かないという仕組みです。
クッキングシートにはシリコンコートが片面のものと両面のものがあり、人によっては片方を拘って使う場合もあります。
「ウェットパレット」はマストアイテムかつ330円ほどで作れるため是非用意しましょう。

水入れ

筆を洗う水を入れる容器を用意しましょう。
コップでも構いませんし、誤飲が怖い場合は小学校で使った絵具セット等から筆洗い部分を拝借してもいいでしょう。
ガイアノーツ ブラシウォッシュ」や「シタデルポット」などの底面が凸凹している水入れも筆の汚れが落ちやすいのでオススメです。私はブラシエイドやアプトの空き容器に水を入れて使用しています。

塗装持ち手

塗装するパーツの持ち手です。
既製品だと「ネコの手」が使いやすいです。
ペイント時にモデルに直に触らないようにできればいいので色々なものが活用できます。
木製ブロックに練り消しでモデルを固定して塗る人も居ます。

他にもあったら便利なアイテムは色々ありますが割愛します。
ミニチュアやそれを組み立てる工具や接着剤も必要です!(そりゃそうだ)
ここまでで紹介したアイテムさえ揃えてしまえば万全の態勢でミニチュアペイントに挑めます。さあやってみよう!

下地塗装をしてみよう

それでは早速ペイントのステップ1「下地」をやっていきましょう!

ちなみにモデルを組み立てた状態で塗るのか、バラバラで塗るのかは意見が分かれますが、今回は組んだ状態で塗っていきます。
(普段はなるべくバラバラの状態で塗っています。完全に好みなので好きなほうで大丈夫です)
缶スプレーはしつこいくらいよく振って、なるべく屋外かつ周りが汚れないよう段ボール箱の中などに向かって使いましょう。
エアブラシの場合は塗装ブースを使いましょう。あとなるべくマスクもするように。

モデルの表面がしっとりと濡れた感じになるぐらいがちょうどよい加減です。
あまりデロデロになるまで厚く吹いてしまうとモデルのディテールが埋まってしまうのでササっと吹きましょう。

これで下地塗装が完了!
と思いきやよく見ると・・・

塗料が行き渡っていない部分があります。
このくらいであればそのまま塗ってしまっても問題ないかもしれませんが、奥まった部分はしっかり黒く塗っておいたほうがカッコよくなるので筆塗りで手直ししてみましょう。


黒い水性塗料を使って足りない部分を塗っていきます。
真っ黒ならどの銘柄でも構わないので持っているものを使って大丈夫です。

塗料と筆の使い方

ということでここからは筆塗りになるので、まずは基本的な筆や塗料の使い方を紹介していきます。

新品の筆は筆先が固くなっているので水を含ませて優しくほぐします。
めっちゃソフトタッチで大丈夫です。あまりぐりぐりやらないように。

早速黒を塗っていきたいので、ウェットパレットに黒い塗料を出しておきます。目薬でいうところの1滴2滴で十分なので出し過ぎないようにします。
チューブ以外の容器に入った塗料は出す前によく振りましょう。
成分がかなり沈殿しているのでそれはもうしつこいくらいに振ってください。
そして小皿などにペンチングソルベントも出しておきます。
こちらも沢山出すと勿体ないので使う分だけ出します。

筆にペンチングソルベントをしっかり含ませます。
そして小皿のへりなどで軽く水気を落としましょう。
具体的に見せると

上の画像の「ちょうどよい」のような含み具合になるようにします。
そしてこの状態で筆先を塗料に付けます。

筆先でとても小さな円を描くように、筆に含まれたペンチングソルベントと塗料の一部を馴染ませます。このとき注意したいのが、全体を混ぜ合わせないことです。そのとき塗る分だけ希釈したいので出した塗料の端だけ薄めるイメージで馴染ませましょう。
この手順を経て筆を持ち上げると

ベストな希釈の塗料が筆先に含まれた状態になります。
(分かりやすいように赤い塗料で撮影しました)
画像のような塗料の量を目安にしましょう。
また決して筆の根本に塗料は付けないようにしましょう。
根元に入った塗料は水洗いでは取れない上、筆の傷みを加速させます。
含む塗料は多くても画像のように筆の半分くらいまでにすると筆の傷みが緩和されます。

筆とモデルのオススメな持ち方も紹介します。
図のような形で両手首をくっ付けてペイントするとブレにくく、狙った場所に塗りやすくなります。
また肘を腹部や机に付けてペイントすることで更にブレにくくなります。
塗る瞬間に軽く息を止めるのもオススメです。
要するに体が揺れないようにすると塗りやすいということですね。

このようにして、下地塗装で塗りきれなかった部分を埋めるように黒色を塗ってみましょう。
黒色は隠蔽力(下の色を覆い隠す力のこと)が高いため、スラスラと塗れます。

こうしてまずは真っ黒なモデルが完成しました!
次はいよいよ色を塗り分けていきます。

まずは1色塗ってみよう

モデルのある部位に好きな1色を塗ってみましょう。
まずはお化けの布部分を赤く塗ってみることにしました。

シタデルカラーの「メフィストン・レッド」を先述の手順で希釈して塗っていきます。
このとき重要なのが「薄く何回も塗る」ことです。
一度で発色させようとして濃いままベタベタと塗ってしまうと塗膜(塗装した表面のこと)が分厚くデコボコになってしまいます。
どのくらい差が出るかというと

このくらい差が出ます!
上が原液で1度塗り、下が適切に希釈して3度塗りとなります。
上はもはや盛り上がって立体的ですらあることが分かるかと思います。
狙って厚塗りしてマチエール(物理的な質感表現)をつける手法もあるかもしれませんが、基本的には薄く何回か塗って綺麗な塗膜と発色を両立するのがいいでしょう。

まずは1層目を塗ってみました。
またムラや透け感がありますが、最初はこれで問題ありません。
そうしたらこれをよく乾かしてから次の層を塗ります。
半乾きで塗るとどうなるかというと・・・

このように下の層の塗膜を壊した上で、その壊れた塗膜が凹凸を形成して・・・と大変なことになってしまいます。
ぐっと我慢して、よく乾燥させるようにしましょう。
どうしても待てない場合はドライヤーの温風を直撃させないように少しだけ当てるとすぐ乾きます。直撃させるとプラが溶ける場合があります。
ドライヤーを当てたモデルは温度が上がって次に塗る塗料の乾きがとても早くなります。気になる場合は冷ましてから次を塗りましょう。

3回塗るとこんな感じになります。
まだ若干ムラがありますがこのくらいまで塗れていると見栄えがしますね。
続いて他の場所も塗っていきましょう。

他の色も塗ってみよう


頭から肩にかけての布部分を「ホルベイン アクリリックガッシュ ディープバイオレット」で塗っていきます。
スラスラ塗っていると・・・あっ!

赤い部分に紫が大胆にはみ出してしまいました!
でも大丈夫。透け感のない塗料を使っているので修正は容易です。

赤を丁寧に上塗りすることで元通りになりました!
この塗り分けの段階ではこのようなはみ出しは恐れずにガンガン塗ってみましょう。

紫に加えて、霊体部分を緑「ファレホゲームカラー フォールグリーン」で塗ってみました。
赤と同じように薄く複数回重ね塗りしました。
こうやって簡単に塗り分けるだけでもどんどんカッコよくなっていきます。

続いて墓石を「ホルベイン アクリリックガッシュ アッシュイエロー」、剣や重り、墓石の装飾を「ファレホメカカラー ガンメタル」で塗ってみました。もうめっちゃ雰囲気出てますね!

シタデルカラー バルタザール・ゴールド」で残りの金属部分を塗りました!これは中々にカッコいい!
最後にムラが気になるところなどを個別で直したら・・・

塗り分けの完成です!
明暗をつけたりしなくとも色を塗り分けるだけでここまでカッコよくなります。

初めてペイントする場合、この塗り分けだけでも丸一日、もしかしたら数日かかるかもしれません。けれども焦らずゆっくりと塗るのがコツです。
このようにして初めて塗り上げたモデルは出来に関係なく、立派なものです。私も一番最初に塗ったモデルは塗りなおしたりせずに持っています。思い出になるというやつですね。

もしこの記事を読んでミニチュアペイントの一歩を踏み出す方がいたら幸いです。
既に塗っている方でも復習がてら読んでいただけたならとても嬉しいです。
塗っていて行き詰ったり疑問に思ったことはSNSなどにいる経験者の方や専門店のスタッフさんに気軽に質問してみましょう。勿論私のSNSでもOKです。
また、多くのお店でペイント体験やレッスンをやっているのでそういった場所で体験してみるのもいいでしょう。
私もペイント講座をやっているので興味がある方は是非チェックしてみてください。

②はこちら!


(余談)

もしかしたら思っている方がいるかもしれないことなのですが、
有料のペイント代行とかペイント講座をやってるのに無料のnoteを書くのは損してるんじゃない?大丈夫?」「あなたごときがそういうことやっても意味も需要もないよ」と。
たしかにそのような考え方もあると思いますし、そのように考える同業の方がもしいたとして否定するつもりは一切ありませんが、少なくとも私はそう考えていません。

啓蒙とまではいきませんが「多くの人にこの趣味であったり私や他の方が作った作品を知ってもらいたい」という考えでペイント関係の色々なことをやっています。
それら色々なこと(代行、講座、記事など)は全て「ペイントへのアクセス」に繋がっています。
例えばnoteの記事を参考してペイントしてくれたらそれはペイントにアクセスできたということですし、現在月1~2回開催しているペイント講座でペイントを始めたり、更に探究するようになってくれたらそれもペイントへのアクセスです。
ペイント代行に依頼していただき、私がペイントした作品を見て気に入っていただけたらそれもペイントへのアクセスでしょう。

代行や講座は場所代や時間、材料費など掛かるのでどうやっても無料にはなりませんが、noteでの紹介記事は暇なときに書くので今後も無料でいきたいと思っています。
なるべく多くの方と楽しめるように今後も色々なアプローチをしていきますので是非応援していただけたらと思います。

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