鬼門、写メ日記。
風俗情報サイトの店舗ページにおいて、各嬢が運営している【写メ日記】なるもの。
風俗嬢時代、一番頭を悩ませたものです。
この写メ日記は風俗利用の際に、嬢を選ぶ基準にしてもらったり、ご指名頂いたお客様への御礼状代わりにしたりします。
どんなにプロフィール欄を盛り付けても、写メ日記の文脈は誤魔化せず、人となりが露呈します。気立ての良い嬢をお探しのお客様は、特にこの日記を判断基準にしています。
真面目に自分色で書き綴れば良いかといったらそうでもなく、シンプルで万人に読みやすいもの。愛嬌があり、尚且つ馬鹿すぎない文を作成しなければいけませんでした。
文章を書くのは昔から好きでしたが、これは全く毛色が違うもの。
特に気を使ったのは言葉選び。例えば
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○○様。本日は御指名頂き、有難うございました。プレイの最中幾度となくお褒め頂き、大変嬉しく思いました。是非また機会があれば御指名して下さい。
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という文を作成したいとします。そうすると、これに若い女の子と微々たる卑猥さエッセンスを織り交ぜて、賢すぎず馬鹿すぎない万人に読みやすい文に作り変える必要があります。
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○○様♡今日はあおいを見つけていただき、しかもご指名までしてもらえてあおいは幸せです♪ベッドの上でいっぱい○○様に『えっちだね』ってほめてもらえて、あおいはずーっと恥ずかしくて、でも嬉しかったですよ(//∇//)またお逢いできたらいいなーと思って待ってますね。だって○○様優しくてステキだから♡
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実際の文章での句読点は全部、段落を分けているだけで使用していません。要所要所にデコレーション絵文字を盛り込んでいるので、もうちょっとキラキラした文面になります。ポイントは漢字を少なくして【ー】や【ゃゅょっ】等の文字を意識的に使う事。これで文章全体をパッと見た時に抜け感があって活字嫌いな方にも読み易くなります。多用すると知能指数の低い文章になり、紳士的なお客様を逃してしまいます。なので、文章構成の段階では例文の上記の様に、一度自分の言葉で起こしてから変換する様にしていました。
御礼自体も、詳細を書きすぎない事。過剰にお客様を褒めたり、好意を出しすぎない。そうする時はやんわりと抽象的に。これらはあまり詳しく自分の事を書かれたくないお客様や、私を贔屓にしてくれるお客様への配慮です。
写メ日記というからには写真も添付しなければなりません。普通の自撮りなら楽なものですが、顔なんて写しても全部モザイクかスタンプになってしまいます。下着姿や卑猥さを連想させる写真をセルフプロデュースで撮影するのはとても骨が折れました。今みたいにワンタップで痩身加工等が出来る時代ではなかったので、撮り方を工夫しながら、当時出始めの使いにくい修正加工アプリで何とか弄っていました。
一時期画像フォルダには、中途半端に卑猥な自撮りとデコレーション用の素材で溢れていました。友達と遊んでいる最中、ランチの写真などを見せ合う場面で、うっかり見せてしまいそうになる事が多々ありました。
風俗嬢になって一番やりたくないなと思った作業でした。売り上げがピークの時など、御礼日記が追いつかずに量産型の心ここに在らずな物しか書けなかった事も悔やまれます。
幾多の苦労がある写メ日記。是非風俗ご利用の殿方はゆっくり読んであげてくださいね。
皆様のサポートが私の力になっております。 これからも私の昔話でお楽しみ頂ければ幸いです。