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Scimitar症候群について少しまとめた話

先天性心疾患に携わっていると結構な頻度で遭遇します。

とはいえ10万人に1-3人と数としては少ないので、総合病院での勤務があると診療の機会があるという具合だと思います。


Scimitar症候群は、

右下肺静脈が左心房ではなく、下大静脈へと還流する、いわゆる部分肺静脈還流異常症の一種です。

肺で酸素を取り込んだ血液が動脈へ戻る際に、本来の左心房ではなく、また静脈へと戻ってしまいます。

したがってこれは心房中隔欠損症と同様に、左右シャントが生じる疾患に該当します。右心系に通常より多くの血液が流れてしまうので、右心系負荷のリスクがあるわけです。

しかしながら、本疾患はただの血管走行異常と異なり、右肺低形成を伴い、呼吸異常などを来すこともあることから、特殊な名前がつけられています。

Scimitarというのは英語の剣から来ています。ヨーロッパの剣のようなまっすぐのものではなく、アラビアンの湾曲した剣がscimitarです。

日本刀はちなみに少し曲がってはいますが、swordです。


まとめ図を描きました。

上図の右下肺静脈という赤色の血管が下大静脈に流入してしまっていることさえ覚えておけばとりあえずは良いです。肺低形成やその他血管異常については症例によりまちまちです。


結構、特徴的なレントゲンなどの一度見て見るのがお勧めです。scimitarにみえるかと言われると微妙なところですが、心の目で見ましょう。

治療適応は重症度によりけりです。

異常還流量が多ければ右心系負荷が強く、手術をしないといけないリスクが上がります。しかし、肺の低形成の具合によっては合併症も多く手術自体のリスクもあるというところ。

結局は症状や各検査データを元に、症例ごとに検討しましょうという事になります。


まとめてみたという割りに短いですが、一度まじめに本などを読まないと頭に入りにくい疾患の1つではあるので取り上げたと言うことで。

せっかくペンタブ買ったので色々描いてみようと思ったのですが、イラストレーターのパスツールが結局は1番使い勝手がいいですね。

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