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ライブの感想(2022年9月後半)

 ライブの感想は1公演ごとに残しておきたかったのだが、いつまで経っても書けないまま時間だけが過ぎていって忘れてしまうのが怖いので、簡単でも良いからまとめていくことにした。もう1年前の2022年9月の記憶を書き残す。


【KAKUBARHYTHM 20years Anniversary Special Vol.04】(2022/9/17 磔磔)

 カクバリズムの20周年記念を冠したイベントは全国各地で行われていたが、Vol.4~Vol.6にあたる磔磔公演は9月の3連休に3日連続開催という豪華版(だったのだけど、3日目のVol.6台風で延期になってしまったと記憶している)。私はその1公演目のVol.4、キセルとmei eharaの対バンを観に行った。
 まずはmei ehara。今までなかなかタイミングが掴めておらず、初めてバンドセットでのライブを観ることができた。全体のサウンドはバンド感というかグルーヴ感があって体を揺らしつつ観ていたのだが、meiさんの声自体は静かで優しいけれど少しざらついた響きがあって、磔磔のあの独特な空気と混ざって溶けあうような、そんな印象だった。
 後半はキセル。6月に同じく磔磔でのワンマンを観て以来で、その時と同様にお二人だけの編成。前回もそうだったのだが、お二人だけのシンプルな構成だからこそ、その世界に引き込まれてしまって集中力を奪われるというか、あんなに柔らかな声と演奏なのに良い意味でそれなりの疲労感が残ったことを覚えている。
 最後に、meiさんとキセルの3人でのセッション。それぞれのオリジナルを3人でセッションだったかあまり覚えていないのだが、キセルの[たまにはね]を確か3人で演奏していたと思う。また、アンコールでゆらゆら帝国のカバーも。meiさんの1stアルバムはキセルのお兄さんがプロデュースしていて…という話は今更なので割愛するが、3人の声の相性の良さに耳を奪われる時間だった。
 この2組のツーマンは是非また磔磔で観てみたい。

D.A.N.【TOUR 2022 "Hi-PRESS"】(2022/9/21 味園ユニバース)

 2023年9月現在、D.A.N.のワンマンライブを観た最後の機会はこのツアー。大阪公演はシルバーウィーク真ん中の平日遅めのスタートで、前半がライブ、後半はアフターパーティーのような形で3人によるDJセット、という構成だった。
 ユニバースでD.A.N.を観るのは2017年3月の在日ファンクとの2マン以来だったが、当時に比べるとより広く、複雑で、少し猥雑で、メロウで、渋くて、深みを増したD.A.N.のサウンドとユニバースの相性はさらに良くなっていたと思う。アンコールを含めて8曲と短い時間ではあったが、各アルバムやEPから万遍なくオールタイムベスト、といったところか。アンコールで[Time Machine]を聴けたのが良かった。
 後半はフロア後方に組まれたブースでDJセット。D.A.N.のDJセットは東京のイベントやフェスでしか機会が無く、写真を見る度に3人でブースに入っているのがなんだか仲が良さそうで微笑ましいなあと思っていたのだが、その様子を直接観ることが出来て嬉しかった。平日だし翌日も仕事だったけど、良い音楽ばかりをセレクトする3人のDJに身を任せながら、たまにはこんな平日の夜を過ごすのも良いものだなと思った。
 今回のツアーで限定販売されていた音源入りUSBも購入。幾つかの楽曲のエレクトロバージョンと、3人によるDJ MIX音源という珍しい内容だった。
 このライブを観た約1か月後にD.A.N.のライブ活動休止がアナウンスされ、当初はかなり驚いたのだが、理由は納得のいくものだった。続けていく為に必要な休みだ。いつかまた、こんな楽しい夜が訪れることを願いながら、ライブ活動再開を待っている(因みにこの後もう一度だけライブを観る機会に恵まれたのでそれはまた追って記載する)。

Skoop On Somebody【25th anniversary LIVE Vol.2~club SOS~】(2022/9/23 昼公演 Banana Hall)

 都合3回足を運んだこのツアー。3回目は最終日の昼公演(大千秋楽の夜公演はチケットが取れなかった)。夜公演は配信がある為、"好き勝手できる"最後の公演だったからなのか、テンションも高くMCのボリュームも多かった。
 過去2回観た公演ではどうだったのかもう思い出せないのだが、1曲目の[Process of Luv]のブレイク部分でコーヘイさんとコーイチローさんがそれぞれ「ごめんやしておくれやして…!」「いらっしゃ~い」等といった台詞(というかギャグ)を挟んでいて、ここってネタコーナーだっけ?と爆笑した記憶がある。
 冒頭3曲を演奏した後のMCはコーヘイさん再加入に至るまでのお話だが、私がこれまで観た公演の中でも一番詳細に話されていた。「言うた方も言われた方も忘れる」ぐらい酔いが回った中での真っ直ぐな一言、「戻ったら、おもろいかなあ?」(コーヘイさん)。それを受けて真っ先に「ファンの皆が喜ぶ顔が浮かんだ」(タケさん)。そして「一緒に音を出してみない事には何も分からない」(コーイチローさん)。大人が三者三様の本音を交わした結果が今のSkoopなのだと思うと、少し涙が出た。それと同時に、自分の人生には、ここまで本気で何かを考えたり行動する事なんてあるのだろうかとも考えてしまう。
 一方で後半のMCでは笑いを取ることも忘れない。いつの間にか定着していた[MCコーイチロー]のコーナーは、この昼公演が最終回だったとのこと。あらゆるCM曲を演奏していたから配信には乗せられないという事なのだろう。いつもよりブラックジョーク多めのコーイチローさんが面白かった。
 公演ごとに入れ替えのあるセトリの中で本編ラストは[Sunrise]で固定されていたと思うのだけど、この日のMCが印象的だった。コーヘイさんの再加入に際して、「2人時代が無かった事になるのは嫌だ」というファンの意見もあったらしい。それに対してタケさんは「2人時代の曲にも(打ち込みだとしても)何処かにコーヘイのドラムっぽい音はあったはずで、今までの曲もこれからは3人の曲として歌っていく」というような事を仰っていた。3人から2人になった時も、2人からまた3人になった時も、その過去を無かった事にするのではなく全て地続きで捉えているのだろうな、と思う。だから、25年という単なる長さだけではない、奥行きのある音楽を奏でているのだろう。
 お祝いのツアーだし公演数も多いし、1回は行けたら良いなと思っていた本ツアー。大千秋楽の配信も含めると計4回、本当に楽しかった。そして、1年の間にこんなに何度もSkoopのライブに行くなんて、20代の頃は予想もしていなかった。未だ信じられなくて、ずっと新鮮でずっと楽しい。


 以上、2022年9月の記憶でした。