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病状説明の仕方について考える

今日は、患者さんに病状説明をするときの、話の順番について考えてみたい。

私が患者さんに病状説明をするときは、初めに良いことを言い、その後で厳しいことを話すようにしている。例えば、緑内障の患者さんに「眼圧は良くなりましたね。でも、視野が少し悪くなっていますね、、、」という具合だ。
まず、良いことを言って聞く耳を持ってもらい、最後に問題点を伝える。そして、「これから一緒に問題に取り組みましょう」と締めくくるのだ。つまりNegative Endingだ。

しかし、この本によると、それは良くないと言う。まず、悪いことを言ってから、最後に良いことを言った方がよいというのだ。つまり、Happy Endingを勧めている。

人間はそもそも、良い知らせと悪い知らせのどちらを先に聞きたいかと問われたら、悪い知らせを先に聞きたがるものである。昔から「終わり良ければすべて良し」という諺もあるように、終わりの印象がすべての印象を決めるといっても過言ではない。

また、「病は気から」ともいうように、明るい気持ちで締めくくった方が、病気の捉え方も前向きになるとも言える。

そう考えると、最後に悪い話をするという私のやり方では、患者さんは取り残された気持ちになるかもしれない。こちらは、「一緒に病気に立ち向かおう」という共同作業の提案のつもりであるが、患者さんはしらけているのかもしれない。患者さんの落ち込んだ気持ちに気づかず、自己満足に浸っている可能性がある。

多分、この問いに正解はないと思う。病気の緊急度や重症度でも違うだろう。ただ、この本を読んで、自分のやり方に疑問を持ったことは確かである。ならば、違うやり方を試してみるしかない。
明日からは「まず悪いことを言って、最後に良いことで締めくくる」説明スタイルを試みたいと思う。

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