見出し画像

やっぱり黒がいいんじゃない?

今年、年長さんになった長男。

ママ友さんの間では「ランドセルどうする?」といった
ラン活(←言ってみたいだけ)の話題もちらほら。

3兄弟&お父さんがお世話になっている床屋のお兄さんも
「うちはGWに買いましたよ~」と言っていたし

ちょっと見に行くことになった。

まずは偵察ということで
長男を連れて、じいじ・ばあばと伊勢丹に行ってみることに。

そこにはずら~っと並ぶランドセルの数々。

でも意外にも、赤や黒、茶色や紺くらいまでしかない。

今どきはピンクや水色といったパステルカラーや
ゴールド・シルバーまであると聞いていたので、ちょっと拍子抜け。

何を隠そう、私は息子にを選んでほしいと思っている。

だって、1年生のはじめにランドセルの色でからかわれたり
あるいは、高学年になって趣味が変わったりして

「やっぱりこれやだ!黒にしたい!」と言われても
そうそう買い替えられるものではないのだ。

お値段もさることながら、それを許してしまったら
教育上かなりよろしくない気がする。

許してはならない一線な気がする。

* * *

小学3年生の頃、新しい自転車を買ってもらえることになった。

当時、どちらかといえば男の子との方が仲が良かった私は

その仲良しの男の子たちが乗り回しているような
マウンテンバイクがどうしてもほしかった。

普通の自転車では、男の子たちについていけない気がした。

母は
「小学校の間はもう自転車は買わないよ。
 絶対後悔するからこっちにしたら?」と普通のかわいい自転車を勧めた。

でも私は頑なに
「いい!ずっとマウンテンバイクに乗るもん!」とゴリ押しして

青のマウンテンバイクを買ってもらった。

スッと伸びるまっすぐなハンドル
きゅっと細いシャープなサドル
スポーツカーの羽のようにシュッとのびた泥よけ

お気に入りの自転車だった。

でも3年生も半ばになると
だんだん男子・女子と分かれるようになった。

ドッジボールでも男子VS女子。

ケイドロでも男子VS女子。
(ケイドロって地域によってはドロケイっていうんですね!
 今どきはルパパトだったりするのかな?)

そのうち、一緒に遊ぶことさえ減って

男の子はサッカー
女の子はブランコか一輪車に分かれるようになった。

自然と女子は女子で固まるようになり
私も女の子グループで遊ぶ機会も増えた。

なぜか男の子グループで遊んではいけない気がした。

女の子グループにはもちろんマウンテンバイクに乗っている子はいない。

赤やピンクの自転車に
ピンクや白のやわらかいサドル。

ハンドルにはふさふさがついていて
タイヤも泥よけも丸くてかわいい。
(タイヤが丸いのは当たり前か。でもなんていうのかな?
 マウンテンバイクみたいなチクチクがついてない。)


おまけに私のマウンテンバイクはハンドルがすぐに錆びてしまった。

油をぬって金物たわしでゴシゴシこすって落とすけれど
またすぐに錆びた。

二週間に一度はサビ取りしなければならなかった。


お察しのとおり、そして母の予想通り

私はすぐに女の子っぽい自転車がほしくなった。

その年の七夕にもクリスマスにもお誕生日にも
『女の子自転車がほしい』と短冊や手紙に思いを込めたが

うちの母はそんなに甘くなかった。

結局、中学の入学祝いに新しい自転車を買ってもらった。

もちろん女の子っぽいやつ!

でも今度は

「中学・高校まで使うんだから
 かわいいだけじゃなくて、大人っぽい自転車にしたら?」

という母の勧めに全面的に従った。

全体的に落ち着いたカーキ色で
フランスパンが似合いそうなおしゃれなカゴに
鋲がぽちぽちと可愛いキャメル色のサドル。

高校に入っても、大学に入っても飽きることはなかった。

* * *

というわけで、私には一時の好みで何年間も使うようなものを
選んではならないという教訓が身に沁みしている。

無難が一番。
スタンダードが一番。

でもそれは私の教訓であって、息子には関係ない。

息子が後悔するとは限らない。


母親として、息子の気持ちを、
息子の選択を尊重したい気持ちはもちろんある。

現に、息子はだいたいのことを自分で選んできた。

毎日の洋服だって1歳の頃から自分で選んだ。

どんなに柄 on 柄で個性的であろうと
どんなにボーダーにストライプで二度見されるような恰好であろうと

息子が選んだのなら「まあいっか」と思い、口出ししなかった。


それでも

ランドセルは・・・!

ランドセルだけは・・・!!

黒(か、せめて茶色かネイビー)にしてくれないか・・・!!


まだ、息子が選んでいないので

「黒がいいんじゃない?」とは言っていない。

喉元まで出かかっているが
あるいは、もう顔に書いてあるかもしれないが

かろうじて口に出してはいない(つもりである。寝言は仕方ない。)

* * *

きっとこういった親子の攻防戦を防ぐべく
伊勢丹にはスタンダードカラーしか展示されてないのだろう。

結局、伊勢丹のほぼ黒一色のランドセルに
息子はほとんど興味を示さなかった。

いくつか背負ってみたものの、
「べつにいらなーい」といってすたすた行ってしまった。

やっぱり君はゴールドやシルバーがいいのかい?

息子の思いを尊重したい、でも黒にしてほしい!

母と息子のラン活はつづく。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?