言霊理論

言霊がどうこうという話はともかく、私はイメージできないことは絶対に出来ない派であり、頭の中を脱出することは偶然に成せることはあっても、基本的に難しい派である。

だから自分を縛るような「できない」「やりたくない」ということはなるべく「考えないように」「口に出さないように」している。

このこと自体は前にも書いたのだが、最近また職場で「新型うつ」の病気休暇者が出たため、改めて考えることがあった。なにしろその新型うつの職員は、見た目は極めて健康であり、実際体内指数は健康なのだが、「職場のことを考えると体が重くなり、朝は布団から起き上がれなくなる」というまさに典型的新型うつの症状に苦しめられ、精神科のお墨付きをもらって病気休暇を申請したのだ。

もう何度も同系の病気休暇を見てきたため今更この新型うつによる病気休暇に怒ったり同情したりということはないのだが、逆に何故みなここまで同じ症状を訴えるのか、いや「その症状であるから新型うつ」なのだが、よく考えてみてほしい。例えば熱が出たとき、その体温にもよると思うが、ただの風邪だったりするときもあれば、インフル、今ならコロナ、あるいは食中毒の副症状だったり、数々の原因が考えられるし、実際熱が出たときにいきなり何の症状なのか判断できる人は稀だろう。

ならなぜ、「職場のことを考えると朝起きられなくなる」このような症状はみなすべて「うつ」「新型うつ」なのだろうか。私はそもそもうつ病の診断と、そのうつ病の診断をする精神科医を信じ切っていないどころか、だいぶ疑っているが(何しろ日本では、精神科は医者の落ちこぼれがなるという実しやかな噂-というのも科目選択は優秀者から決まっていき、最終的に精神科が余るという話-があり、自分は精神科にかかった人間がその後自殺するのを目にしているため)病状に関してもっと細かな分類があってもいいのではないか?という風に思うのだ。漠然とこのような症状はうつであるという風に広く認知された結果「自分はうつである」「この患者はうつである」という風に型にハメているだけなのではないか、と思うのだ。

まあ実際自分自身が精神科に行ったこともあるが、大したことのない問答で向精神薬の投与を提案されたので丁重にお断りして二度と行かなくなった。大体からして10分そこらの問答で人の精神の病みを照らし、病巣を取り除く適切な投薬や治療を行えるとしたらそれは神にも等しい所業なのであって、「うつ」というパターナリズムに落とし込んだほうが、患者にとっても医者にとっても都合がいい、というのだろうと性格の悪い私は分析している。

私にとって、私自身の心身の健康は私自身が守っていかなければならないものであり、誰かが守ってくれたり、管理してくれたりするものではない。だから私は、自分をうつだとは一生思いたくない。仮にうつのような症状が現れたとしても、単なる過労であると思い込もうとするだろう。そして実際、沢山食って沢山寝て沢山太陽を浴びれば、大体の不調は改善してきたし、これからもそうするだろう。だから私の心と体はある程度バカである必要がある。このバカみたいな思い込みを具現化してもらうために。理知的な医者の言葉に耳を貸さなくて済むように。冬は寒くて、どうしても気分が落ち込みがちだから、早く暖かくなって、こんなクソみたいな文章を書かなくて済むように。


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