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【映画日記05】「若おかみは小学生!」


※ネタバレあり

〈ストーリー〉
両親を亡くし祖母の旅館で暮らすことになった少女が、幽霊たちの手を借りながら若おかみとして仕事をするなかで、様々なお客さんとの出会いや困難を通じ、両親の死を受け止め成長する。


〈気づき〉
・「魔女の宅急便」と似ていて、
「両親の支えを失った子どもが、見知らぬ土地で仕事をするなかで、出会いや困難を経験し、本当の意味でひとり立ちしていく」というストーリー。

このお話の軸は、
両親を失い、一人ぼっちになったオッコ
 ↓
友達を手に入れて、自分はもうひとりじゃないと立ち直る
というところだと思う。

・幽霊と現世に生きる人の描写。
幽霊はすぐそばにいるのに、生きている人は目に見えないからその存在に気づけないという切なさ。
この日記では、頻繁に物語の秘密性のことを書いているけれど、秘密性にはこうした切なさを生み出す手法もある。

・オッコがピンフリの前で、禁句だとは知らずに「ピンフリ」と言ってしまうシーン。
秘密性によってコミカルになることもある。

・幽霊達が見えなくなるのは、「魔女の宅急便」で言うところの、ジジの声が聞こえなくなるのと同じだと思う。オッコが幽霊たちの力を借りずとも、自分の力でなんとかできるという彼女の成長を表してる。

・ヤモリの描写
冒頭のオッコはヤモリを見るや否や悲鳴をあげていたけれど、終盤のオッコはヤモリを素手で優しくつかんであげる。
彼女の成長が垣間見える描写。
同じシチュエーションを作中に複数回作り、その中で人物がどういうリアクションをするのかで、そのキャラクターの変化・成長を描くという、比較的よく見る手法。

・オッコの葛藤
ピンフリと喧嘩したその夜、病を抱えたお客様が宿に訪れる。そのお客様は病ゆえに油っこいものも、塩分も取れなくて、物足りなそう。なんとかしたいと思ったオッコは、ピンフリが話してた「医食同源」の話を思い出し、彼女に力を借りようというアイデアを思いつくが、あんなにムカつく奴にお願いするなんて……と葛藤する。
このシーンすごく良かった。

・「花の湯温泉のお湯は〜」のセリフ。
物語の冒頭では、両親や峰子から言われたこの言葉を、終盤でオッコが口にする描写。
セリフの移動によって、人物の変化を表現する手法。


〈感想〉
好きな映画。
先月頭に見て、こんな良いアニメ映画があったのかと思った映画。
映画の分析を再開するにあたって、この映画なら、楽しく出来るだろうと思って見返した。
オッコや幽霊たちのやり取りは永遠に見ていたいと思えるくらい好き。

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