噛まれても

小学生の頃、学校で飼育していたうさぎに噛まれた。ほぼ野良のような小屋の中で世話をされてたうさぎだから、噛まれたと聞いた先生達は焦って少しパニックだっ。そんな大人たちを後目に私は、ちっとも痛くなくて、ひたすらに、そのうさぎが私を噛んだことで可哀想な結果にならないかを考えてた。幸い注意書きの看板が書かれただけで終わった。
その後も懲りずにうさぎのところに行っては世話をして、クローバーなんかを勝手にあげたりしていた。

たまに親や祖父母がこの昔話をするのだけれど、その度に私は「痛くなかった」と話してる。
決して痛みに強いわけじゃない。むしろ弱い。けれど、どんなに思い出しても、うさぎに噛まれた瞬間、痛くなかったことがずっと不思議だった。

つい最近、愛猫に噛まれた。私がちょっかい出しすぎて怒られたのだけど、その時にアギアギと手を噛まれながら、やっぱり全く痛くないことに気がついた。
もちろん、うさぎの時とは違って血が出るほど噛まれた訳じゃないけれど、それでもあの時と同じだと思った。
痛みが無いんじゃなくて、痛みを感じても脳がすぐにそれを許して、反射的に手を引いたり、噛んだ相手に怒りを感じたりしないって言うのが正しいのかもしれない。

どっちにしろ、可愛くて大好きな子になら噛まれても何されても痛くも痒くもないってこと。愛ってすごい。私にもこんなに愛があったなんて。

ねぇ、今でも大好きだよ。

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