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秘め事に相応しい空間の広さ

秘め事と呼ばれるように男と女の情交は、
通常は周りから隔離された密閉空間で営まれる。

それは住居の寝室かホテルの部屋であり、
その空間の広さは、
揺り籠のように二人を包み込み、
密閉空間に二人の情交から発せられる気が濃密に満ち、
いつもよりも濃い空気が漂う。

しかしそのような適度な密閉空間にたどり着けず、
待ちきれない男と女がやむを得ず
著しく狭い場所で情交を営む場合もある。
たとえば車の中、街角の暗がり、
ネットカフェやカラオケの個室、
はたまたトイレの個室もあるかもしれない。

とにかく人目がつかず、
二人が入れる最低限の空間があればよく、
声と気配を殺しながらの秘め事は、
その狭い空間では充満する気はさらに濃くなるだろう。

それでは必要以上に広い空間での情交の場合はどうだろう。

誰もいないのならば、
どんなに広い空間であっても密室。

たとえば、体育館や武道館なら、
二人の情交はまさに戦いと化し、
劇場の舞台ならば素晴らしき演戯を演出できるだろう。

戸外でなら自然の一部との一体感を感じ、
天から降り注ぐもの、地から沸き立つものが
二人の気と混ざり合うに違いない。

空間が広い分だけ
二人から発せられる気は充満されない分、
さわやかな気持ちで男と女は営みを楽しめるだろう。

広い空間に響く肌と肌のぶつかり合いと女の叫び声は、
原始の響きにも近く、
生き物としての本能が目覚めるかもしれない。

広い空間に二人だけでは寂しかろうと、
多くの男女が仲間入りをしてくるかもしれず、
そうなれば、その広い空間にまたいろんな気が立ちこめるようになり、
原始の大気のような密度の濃い風が吹くだろうか。


情交にふさわしい空間の広さ。

狭いところならば誰もが経験があるだろうが、

広いところ。
さて、それは意外と難しい。

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