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縦書きの恋

日本語は古来から縦書きで、
古文書や文豪の手書き原稿は
どれも皆達筆の縦書きでしたためられている。

新聞はもちろん、文庫本もハードカバーも小説は縦書きで、
右から左に文字を追いながら頁をめくっていく。

子供の頃に夏休みの宿題で読書感想文を書くときの、
原稿用紙も縦書きで書いていた。

英語が日本に入ってきてから、
縦書きの日本語を横書きにする習慣が広まって、
私たちの時代からは、
なぜか国語以外の教科書は横書きになっていた。

会社の書類もみんな横書きで、
ワープロやパソコンが普及してからは、
日常生活でも横書きに縦書きが駆逐されてしまっている。

しかし私たち日本人は、日本語を使っている限り、
思考、発想の仕方はきっと縦書きで、
右から左に物語が流れていくようになっているはず。

電車の車窓の景色が右から左に流れていくのを眺めるように、
私たちは心の窓に、
縦書きでいろんなことに想いをめぐらせている。

ましてや恋においては、
源氏物語の絵巻物のように、絢爛豪華な世界が、
恋する心の中を川の流れのように綴られていく。

例えば、
ベッドの上のセックスが横書きだとすれば、
お布団の上のセックスは縦書きなのかもしれない。

あなたと、いつもはホテルで横書きを楽しみながら、
時には旅館で縦書きも物語のように楽しみたい。

横書きは映画のエンドロールにはよく似合うが、
縦書きならば物語が、
絵巻物のように終わりなく続くように感じるから。

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