唇に残る尺八の音色は恋の味(宗安小歌集11)
「憂き人を尺八に彫り込めて 時々吹かばや恋の薬に」 (宗安小歌集)
俗にいう尺八。
女が男の股間に顔を埋めて、ひたすらに男の局部を吸う行為。
このように改めて書くと実に淫靡で官能的で淫らな行為に感じよう。
しかし情事においては、それはごく当たり前に行う行為であり、肉体経験のある女でその尺八の経験のない人は、ほとんど皆無のはず。
それでは、女は日常の時間において、尺八をしていたことを思い出すことはあるのでだろうか。
仕事の合間、家事の間、移動中、あるいは眠りにつく前など。
熱く、硬く、大きな男のものを喉元深くまで飲み込んでいたこと、
尺八ををしている時だけは、どんなにつれない男も自分の奴隷になっていたことを思い出し、男本人はもとより、その分身にも会いたくて焦がれてしまう。
「憂き人を尺八に彫り込めて 時々吹かばや恋の薬に」 (宗安小歌集)
この詩の意味は、
つれない人の印象を尺八に掘り込んで、時々吹いてみましょう。恋の薬になるはずだから。
という教科書的な翻訳よりも、
つれなきあなたのものをおしゃぶりした感触をこの唇に掘り込んで、
時々思い出してひとりで吹いてみましょう。
きっと恋の薬になるはずだから。
と考える方が艶やかだ。
いい女が男のたくましきものの感触を日常の生活の中で、ふっとその唇に思い出し、その唇をそのときの形にしてしまう。
さすれば以心伝心。
離れていても男のそれも、そのときの感触を思い出し、
不思議な音色を出すかもしれず。
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