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成年後見制度を使わないで済む方法はありますか?

※今回の記事はご家族向けの記事です。ご承知おきください。

今年の梅雨は大変短かったですね。「うっとうしい季節が短くて良かった」という方もいれば「雨が降らないと野菜が高くなりそう…」などなど、どちらにしても、よいことも悪いこともあり、丁度よくするのは何事でも難しいものだと、思うところです。
今回は、そんな「丁度良い」が人によって全然違うので、なかなか悩ましい…成年後見と親なき後の生活についての話題です。

この質問は、相談の中でも「頻出」の質問です!

「成年後見制度は、やっぱり使わなくちゃいけないんでしょうか?グループホームに入れば騙されたりしないだろうし…」「できれば成年後見は使わずに済ませられればと思うのですが、何か良い方法がないのでしょうか?」これらの質問は、お話を聴く中で「頻出」ともいえる質問です。この質問の回答が難しい理由は、①ご家庭やその方を取り巻く状況によって回答が違うということと、②どのような将来を想定しているのかイメージがない中で質問されている場合には、現状では答えがない、という2点です。
今回は、どうして成年後見制度の利用が必要なのか?という原点に立ち返って考えていきたいと思います。

まずは結論…障害のあるご本人のことを考えられるご家族がいなくなる(または期待できない)場合には、利用することが望ましいです。

まず、私たちがみなさんにお伝えしたいことを最初に書いていきたいと思います。
「グループホームや施設に入れば、将来は安心!」とお考えになっている親御さんが多いと思いますが、本当にそうでしょうか?
私たち、後見的支援室ほっぷは、グループホームに入居された方の見守り訪問も行っていますが、すでに親御さんが亡くなり、ご本人さん以外の親族はいらっしゃらないという場合もあります。
そういった方々が、親御さんがいらっしゃる入居者さんと決定的に違うこと、それは、本当の意味でご本人のことを考えてくれる方が誰もいないということです。そういう方が入居されている場合、ホームや施設がご本人のことをちゃんと考えてくれていればよいのですが、サービスを受けているご本人が声を上げられないわけですから、不利益を被る場合もないとは言い切れません。例えばこんなことです。

①スタッフ体制が整わないので、同法人の別の通所施設へ移ってもらおう。
→ご家族や後見人がいないので反対できる人はいません。
②(ご本人のお金で)グループホームで必要なものを購入してしまおう。ご本人にも必要なものだし…。
→ホームで預かっているご本人のお金をチェックする第3者は基本的に誰もいません。
③入居後3年たっているのに、持っている服が入居当時のものと変化なし。
→「それでよい」というお考えの方もいると言えばいますが…。
④年2回、父のお墓まいりにガイヘルさんと行っていたのに、母が亡くなった後、行くことが無くなってしまった。
→ガイヘルさんを継続してくださいと声をあげられる人は誰もいません。

などなど、支援者側の都合でいろいろなことが勝手に決められてしまったり、ご本人の確認なく大事な事柄がすすめられたり、ご本人の意に反したことがすすめられてしまうなど、このようなケースは残念ながら意外にあるものです(もちろん、こんなホームばかりではないのも事実です)。
もちろん親御さんがいたからと言って、預かってくれるホームに口出しすると、不当な扱いを受けるのではないかと思い、声を上げない方も多くいらっしゃいますが、ご本人の権利侵害があったときに誰か声をあげられる人がいるか?という視点から考えると、お身内でそれが難しいという場合には、第3者であっても、法的な権限のある後見人等がついていることがやはり望ましい、ということになると思います。

財産管理については、成年後見制度以外でも利用できるものがあります。

成年後見制度というと、どうしても「=財産管理」と考えてしまうことが多いような傾向が感じられますが、財産管理や金銭管理については、成年後見制度以外にもいろいろな手段があります。例えばこんな使い方です。

・信託銀行の信託商品を利用して、相続の際に一回で受け取るのではなく「月に〇万円ずつ」分割してご本人が受け取れるよう、親御さんが存命中に信託を準備・始動しておく。
※家族信託や、生命保険信託など、いろいろな「信託」があります。
・社協の「あんしんセンター」を利用し、その月に必要な生活費だけをおろしてもらうようにする。
・自立生活援助や自立生活アシスタントを利用し、ご本人が自分でお金のやりくりができるよう、準備する。

このように、成年後見制度以外にも、いろいろ利用できるものがあるわけです。ですから、まずは、ご本人やご家族の状況・希望に応じて、どんなサポートが必要なのかを時間をかけて探り、将来の準備を考えていくことが必要です。
※ほっぷではこの部分についてお手伝いをしていきます。将来像のイメージをご家族と(場合によってはご本人にも)共有していくために、ご家族の状況や経済的な状況等をお伺いする場面もありますが、そのようなお心づもりがまだたたないという場合には、遠慮なくその旨お申し出ください。

まとめ

成年後見制度の利用を検討する際に、財産管理の部分よりも身上配慮の部分がより重要ということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
成年後見制度の利用を検討する際、まずはご家族やお身内でご本人の身上配慮を行える人がいるのかどうかを考えることが重要です。協力的なご兄弟等がいる場合には、財産管理/金銭管理についてどのようにしておくのかを検討し、上記のような手段も併せて検討されてはいかがかと思います。
いずれにせよ、グループホームや施設に入居すれば、後見人をつけなくても大丈夫でしょう…と考えているのであれば、「大丈夫とは言い切れない」ということだけは憶えておいていただければと思います。



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