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ほっぷは、ご本人の自立を促してくれないのでしょうか…。

※今回の記事はご家族向けの記事となっております。ご了承ください。

久々のブログ更新となってしまいました。この前書き上げたときは、まだ桜の花びらが散っていましたが、気がつけば梅雨も間近…。時の流れは速いものです。
時の流れが速いためにいろいろ焦ってしまう方も多いのでは…ということで、今回はこのお題です。

親御さんが焦ってしまう気持ちはよく分かりますが…。

親御さんとの面談の中で「本人に言って聞かせてほしい」「本人に自分でやるように言ってほしい」「今の生活では将来が不安なので、改善するように働きかけてほしい」といったお願いをほっぷのスタッフにお話しされる方がいらっしゃいます。
多くの親御さんは親あるうちに、何とかお子さんが(支援があったとしても)自立して生きていけるようにしておきたい、と考えるでしょう。親御さんがいない環境であっても、ご本人が安心して暮らして行けるようになれば、それは大変素晴らしいことですし、そのようにできれば理想的です。特に親御さんがご高齢の方や「持病が心配」という方にとっては、できるだけ早くご本人が自立した生活をしてほしいと考えるのも自然なことと思います。

ほっぷは「ご本人がどうしたいのか」を確認するのが役割です。

親御さんの望む生活と、ご本人が望む生活がイコールであるのならば、上記のような「親御さんの心の叫び」は出てこない訳で、親御さんが期待していることと、ご本人が向かおうとしている方向性が違うからこそ、ご家族の方は心配され「なんとか言ってやってください」というほっぷのスタッフへの言葉につながるのでしょう。
しかしながら、みなさまには登録時の説明でもお伝えしているとおり、ほっぷのスタッフはご本人に対する助言や指導はしません。ご本人の「おもい」を知り、受け止め、ご本人の望む暮らしとなるよう、本人を支援する方につないでいくのが私たちほっぷの役割となっています。

ほっぷの、もう一つの大事な役割=「つながり続ける」こと

ほっぷは、将来にわたってご本人とのつながりを継続し、本人の理解者として何かあったときには、事情をお伝えしたり、ご本人のおもいをお伝えしたり、自分で相談をするのが難しい方には相談につながるお手伝いをするという大事な役割があります。一番の理解者である親御さんがいなくなったときに、ご本人のことを誰も知らないと、ご本人らしい生活や安心した生活が営めなくなる可能性が高くなるからです。ほっぷが長く関わり、ご本人の人生の紆余曲折を見守っていくことで、将来の支援者がご本人に対して、よりご本人にあった支援が行えるよう、ご本人のことをお伝えしていくというのが、もう一つの大事な役割です(重度の方へは「あんしんノート」の活用もおすすめしています)。
また、この役割を全うするためには、長い期間にわたって継続的・定期的にご本人と会い続けることが求められます。

ご本人に「話をしたい」「会いたい」と思っていただかないと、この役割は全うできない。

わかりやすく言ってしまえば、ご本人に、話をしたい、会いたいと思っていただくために、ご本人にとって耳が痛くなるような話はしない、というのがほっぷの関わりなのです。
何とかしたいと思って相談に来られたご両親がいらっしゃったとして、ほっぷのスタッフがご本人に、いろいろと耳の痛いことをお話ししたら、きっと「もう来ないでほしい」と言われてしまい、元の木阿弥になってしまうでしょう。
ほっぷは、ご本人の思いや考えを、否定せず受け止め、傾聴していきます。そのことにより、ご本人との関係を深め、何でも話して頂けるような関係になることを目指しています。
少し極端な例になりますが、いわゆる「ひきこもり」のお子さんがいらっしゃるご家庭で、親御さんからほっぷに相談がある場合など、良く「息子(娘)が引きこもっているので、何とかしてほしい」というご相談を受けることがあります。そのような相談があった場合には「ほっぷは、ご本人が引きこもっていたいということであれば、どうしたらご本人が安心して引きこもっていられるのかを一緒に考えるところです」とお話ししています。
親御さんから見れば「信じられない…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ほっぷは他機関とは違うアプローチでご本人に関わる機関なのです。違うアプローチで関わることで、もしかしたら今まで他の相談機関につながれなかった方でも、ほっぷの関わり方ならつながり続けられるかも…と思って頂ける当事者もいるかもしれないということで「今までとはちょっと毛色の違う関わりをする制度を横浜市が作ってくれたのだろう」と私個人は解釈しています。
そうやって将来、孤立してしまう障害者が少しでも減るようにと考え、この制度を運営しているわけです。
障害者の多様性を認めるのと同様に、支援者の支援アプローチも多様な方が救われる人が増える可能性は高いのではないかと個人的に思っていますが、みなさんはどう思われますか。

まとめ

というわけで「本人に自立を促してほしい」というご家族からのご依頼には、ほっぷとしてはお応えしかねますが、横浜市では、自立生活援助や自立生活アシスタント、居宅介護(ホームヘルプ)などのサービスがあります。また、ご本人の課題を相談する窓口については基幹相談支援センター・生活支援センターという相談機関もあります。こういったサービスの利用について、ご本人さんと一緒に検討していけると良いかもしれませんね。一人暮らしとか両親がいない生活について、障害があるがゆえにイメージができない方もたくさんいらっしゃるでしょう。ショートステイ等の利用や期間限定のグループホーム利用など、いろいろな方法があります。少しずつ一緒に考えていきましょう。ほっぷは、ご本人の自立は促せませんが、ご両親やご家族の「おもい」はしっかり受け止めていきますので…。


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