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【TXT】Devil by the Window 歌詞の和訳と詩の解釈

今回のアルバム、もう一曲目からクセになるというか、中毒性がすごくありますよね。独特のメロディーやサウンド、テンポよく刻むリズムとも相まって、「次は? 続きはどうなるの?」と、ミステリー小説のページをめくるように、ダークな世界へとどんどん引きこまれていきます。

特にヨンジュン(少年)とテヒョン/ヒュニンカイ(悪魔)の掛け合いが、振り付けや歌い方、表情のすべてが絶妙で魅入ってしまうし、全体的に歌もダンスもさらにレベルアップしていて、わぁ、これはトゥバたちにしか表現できない世界だなぁと唸りました。

今回も、歌詞をかみ砕いて、伝えたいのはこんなストーリーではないかなと日本語に訳してみました。意訳をしている部分もありますが、なにとぞご了承くださいませ。


Devil by the Window 窓辺の悪魔

Produce:Slow Rabbit
Songwriting:Slow Rabbit, BLVSH, Chris James
2023.1 The Name Chapter: TEMPTATION 収録

Lie lie lie lie down
Go rest your eyes
Just fall asleep
Sweet dreams 
You can't get off the ride
ごと、たわごと、うわごとか、横になって
まぶたを閉じて
眠りに落ちてごらん
甘い夢に
君は夢中になるはずさ

A wolf in sheep clothes
His disguise
In the na na na night
You'll be hiding inside
ヒツジの皮を被ったオオカミは
あいつの変装
夜になれば
そこに正体を隠しちまう

Uh, whatcha doing?
You got some time today? 
Uh, what a nuisance
Come, come, come out to play
あのさぁ、何してるのさ?
今日は時間ある?
あぁもう、迷惑なんだよ
いいから来なよ、出てきて遊ぼう

High, so high, the crimson sky 
It's way too sweet to turn down
I scream and shout but no one's 'round 
There's no way to escape it
高く、高く、真っ赤な夕空へ舞い上がる
うっとりしすぎて戻れない
呼べど、叫べど、周りに誰もいない
逃げ道はないんだ

I met the devil by the window
Traded my life
Temptation touched my tongue
Spread the wings of desire 
窓辺で僕は悪魔に会ったのさ
僕の現実とひきかえに
誘惑の罠が舌でとろけて
欲望の翼が広がる

He's whispering
"Give up, don't you put up a fight"
Said the devil by the window 
"Dream on, dream on, good night!"
あいつがささやく
「あきらめろ、抵抗したってムダさ」
窓辺で悪魔が言ったんだ
「夢でも見よう、夢の世界へ、さぁおやすみ」

Ah ~  ah, ah, ah

Said the devil by the window
"Dream on, dream on, good night!"
窓辺で悪魔が言ったんだ
「夢でも見よう、夢の世界へ、さぁおやすみ」

Waste, waste away
In the gutter with me 
No, I can't tell what is fake in my reality
なんにもしないで、ただちていく
ともに奈落の底へ
もう、現実なのかうそなのかわからない

I see the waves, see the waves
Wash over me
Oh stay, you can stay
When you're tempted to leave
波だ、波が見える
僕のそばまで打ち寄せる
あぁ、しばらくここに、君もここにいればいい
現実世界から逃げたくなったら

Uh, whatcha doing?
You got some time today?
Uh, what a nuisance
Come, come, come out to play
あのさぁ、何してるのさ?
今日は時間ある?
あぁもう、迷惑なんだよ
いいから来なよ、出てきて遊ぼう

High, so high, the crimson sky 
It's way too sweet to turn down
I scream and shout but no one's 'round 
There's no way to escape it
高く、高く、真っ赤な夕空へ舞い上がる
うっとりしすぎて戻れない
呼べど、叫べど、周りに誰もいない
逃げ道はないんだ

I met the devil by the window
Traded my life
Temptation touched my tongue
Spread the wings of desire
窓辺で僕は悪魔に会った
僕の現実とひきかえに
誘惑の罠が舌でとろけて
欲望の翼が広がる

He's whispering
"Give up, don't you put up a fight" 
Said the devil by the window
"Dream on, dream on, good night!"
あいつがささやく
「あきらめろ、抵抗したってムダさ」
窓辺で悪魔が言ったんだ
「夢でも見よう、夢の世界へ、さぁおやすみ」

 Ah ~  ah, ah, ah

Said the devil by the window
"Dream on, dream on, good night!"
窓辺で悪魔が言ったんだ
「夢でも見よう、夢の世界へ、さぁおやすみ」

Devil, de-devil, devil
Devil, de-devil (Oh I met the)
Devil, de-devil, devil
Come here, come here, good night
悪魔、悪魔に
僕は悪魔に出会った
悪魔、悪魔さ
こっちへおいでよ、こっちへ、さぁおやすみ

High 
I feel my body drifting into the sky
I won't come down, come down, come down
空高く 
僕のからだが浮かんでる
落ちるもんか、落ちたりしないさ

I'll fly
Weightless without a worry into the night
He said, "Dream on, dream on, dream on"
飛んでいくんだ 
現実を忘れて、夢の世界へと

あいつは言ったのさ
「さぁお眠り、夢でも見てな、ずーっとな」


悪魔の子守唄

この曲をひとことで言うなら「悪魔の子守唄」じゃないかなと思いました。
「甘い夢でも見ないか?」と、あの手この手で誘惑してくる悪魔。そのささやきは、子どもを寝かしつける子守唄(Lullaby)のように、やさしくてスイート、そして魅惑的です。

曲中、〈少年〉のパートをヨンジュン、スビン、ボムギュが、〈悪魔〉のパートをテヒョンとヒュニンカイが歌っていますが、誰のことを言っているのか、はっきりしないところもあります。それについては後ほど触れますね。

Lie lie lie lie down

のっけから、リズミカルでパンチの効いたフレーズに引き込まれます。
lie の意味は「嘘」だけれど、lie downは「横たわる」なので、ここは言葉遊びかなと、思いました。「甘い夢がウソだかどうだか、眠って試してみなよ」と、悪魔が挑発しているセリフなのではと解釈してみました。

序章曲としてのつながり

1曲目は、タイトル曲の前日譚ぜんじつたんでもあるけれど、アルバム自体のイントロ曲でもあると明かされていますよね。コンセプトトレーラーやタイトル曲の MV を思い浮かべると、歌詞の理解が深まりそうです。
以下に、それらとリンクする歌詞をあげてみました(ここで添えているのは直訳です)。

降りられない乗りもの

Just fall asleep, sweet dreams 
You can't get off the ride
眠りに落ちればいい、甘い夢に 
君は乗りものから降りられない

sugar rush "ride" だから「降りられない」と表現しているのかなと。甘い夢から降りられない=夢中になってしまう、ということだと捉えました。

甘すぎて断れない

High, so high, the crimson sky 
It's way too sweet to turn down
高い、とても高い、真紅の夕空 
断るにはあまりに甘すぎる

ここは、MVでテヒョンが夕空に浮かんでいるシーンや、コンセプトトレーラーで5人が空に上昇していくシーンを指しているのではないでしょうか。
空高く舞い上がるほどに、高揚感にうっとりして、誘惑を断つことができない=地面(現実)に戻りたくなくなる、ということではと。

誘惑が舌に触れる

Temptation touched my tongue
Spread the wings of desire
誘惑が僕の舌に触れた
欲望の翼をひろげて

やはり甘い誘惑に触れてしまったがゆえに、欲望がどんどん止まらなくなるということなのでしょう。コンセプトトレーラーでは、ヨンジュンの背中に、一瞬、大きな黒い翼が広がるシーンもありましたね。

甘い誘惑が舌に触れるとは、なんだかチョコレートやケーキの罠のように思えます。そこで「誘惑の罠が舌でとろけて」と、言い換えてみました。

ところで、直前の歌詞には "Traded my life" と出てきます。

「命とひきかえ」なの?と、一瞬ギョッとしますが、少年と悪魔が問答する場面で、悪魔が「今日は時間ある?」と聞いていることから、自分の時間、つまり「現実」と向き合う代わりに、甘い誘惑に足を踏み入れてしまったという意味ではないでしょうか。

dream on, dream on…

"Dream on, dream on, good night!"
夢を見続けろ、夢を見続けろ、おやすみなさい

dream on は「夢を見続ける」の意。でも、どちらかと言えば「せいぜい夢でも見てるんだな」「寝ぼけたこと言ってんなよ」と、相手を小馬鹿にするような時に使うことが多いネガティブな表現です。

テヒョンやヒュニンカイは、シニカルな表情を見せつつも、かわいい振り付けで甘くささやきます。次の曲 Sugar Rush Ride では、すでに皆がネバーランドに着いたところから始まることから、和訳では、誘いの罠に落ちるまでは表向きやさしく「夢でも見よう、夢の世界へ、さぁおやすみ」と語りかけ、最後に本音が透けて見えるというオチにしてみました。

ここにいてよ、と誘う相手は?

I see the waves, see the waves wash over me
Oh stay, you can stay when you're tempted to leave
波が見える、僕に打ち寄せる波が見える
あぁ、ここにいてよ、離れたくなったら、君はいていいんだ

一行目は、MVの冒頭でネバーランドに到着したボムギュが戸惑っているシーンを指しているんだとわかります。

では2行目は? 直訳だと意味が取れず、悩ましいところ。"be tempted ~" には「魔が差す、引きずられる」という意味があるので、「離れたくなる」は「現実から逃げ出したくなる」ということではないかと考えました。

でもその前に、「君はここにいたっていいんだ」は「誰が誰を誘っているの?」と疑問に思いませんか。直前の歌詞でも、ヨンジュンが「僕と一緒に奈落の底へ堕ちていく」と歌っています。一緒に堕ちている相手、呼びかけている相手は、一体誰なんでしょう。

ステージ映像をよく見ると、一瞬ボムギュが、悪魔の誘いの手をしています。また、アルバムカラーと合わせてブラック、グリーン、ピンクの3色で描かれた各曲のイメージイラストがありますよね。この曲で、少年は合わせ鏡になっていて、悪魔が頭の中から出てくるような姿で描かれています。

ということは、一緒に堕ちていく相手や、ここにいようと呼びかけている相手とは、他者だと思っていた悪魔、つまり自分の中にいるもうひとりの自分、ということなのかも。いつの間にか、一体になってしまったのでしょう。あるいは、同じように現実から逃げだした、ロストボーイズに向けても言っているのかもしれませんね。

心おきなく無重力で

I'll fly, weightless without a worry into the night
飛んでいくよ、心配の要らない無重力で夜の中へ

ここでコンセプトトレーラーを振り返ってみると、誘惑の声が「明日のことなんて忘れて、楽しいことだけ考えれば」ネバーランドに向かって飛んでいけると、5人にアドバイスしています。

先の歌詞で、ヨンジュンが「ともに堕ちていく」と言ったことに触れましたが、現実では堕落しているけど、夢の世界ではネバーランドに向かっているということなのでしょう。だから、どちらが現実なのか嘘なのか、わからなくなっているということかと。

さて。そこから、心配不要の無重力で飛ぶとは、現実を忘れて楽しいことだけ考えれていれば、空に浮かんで飛ぶことができる。向かう先の夜とは、文字通りの夜ではなく、甘い夢の世界のことではないかと思い、「現実を忘れて、夢の世界(ネバーランド)に向かって飛んでいく」という意味ではないかなと解釈しました。

ピーターパン、だけじゃない?

現実逃避をしてみたり、バカ騒ぎしたり、屈折したり、前向きになったり…。青春のはかない一時期にしか味わうことのできない、波打つ心の揺れ模様。それらを音楽で描くにあたっては、ピーターパン以外にも様々な映画から、ヒントになるモチーフを取り入れている気がします。

この曲で思い浮かぶのが、歌詞にも登場するワード「欲望の翼」。

もっとも映画『欲望の翼』のタイトルは邦題で、原題は『阿飛正傅』(不良少年の日記)です。だから、歌詞の中にこのワードが入っているのは偶然の一致かもしれませんが…(ちなみに英題は Days of being wild :自由奔放に生きる日々)。

『欲望の翼』と言えば、以前に「0X1=LOVESONG」のMVでも、ヨンジュンが踊りながら部屋の外へ出ていくシーンにて、レスリー・チャン演じる主人公ヨディが映画で踊っていたマンボダンスを、彼が踊っていたことが話題になりましたね。

この映画、満たされない思いを抱える主人公ヨディが、冒頭のシーンで気になる女性スー(マギー・チャン)に、毎日職場の売店を訪れては、「夢で会おう」「眠れば僕に会えるぜ」などと言っては彼女を誘っているんです。
この曲の歌い出しも「眠れば、甘い夢が待っているよ」と悪魔が誘うあたり、確信犯的に取り込んでいるのではないかなぁと、にらんでいます。

*****☆**

ここのところずっと、家のことや仕事のことであれやこれやと雑事に追われ、すっかり間が空いてしまい、リリースから日が経ったこともあって、ちょっとタイミングを逃してしまった気もするのですが。

Weverse Magazine での彼らのインタビューを目にして、いつまでも変わらぬ誠実で謙虚な姿に、後から後から嗚咽がとまらず。
彼らからのたくさんの愛と元気を分けてもらって、マイペースですがまた少しずつ、訳し始めたところです。

かなり長文となってしまいましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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230202 M COUNTDOWN Stage

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