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飛行機よりも遠くへ~わたしと本の物語 

1年に150冊本を読んだら、何者かになれる。

小学4年生の時、後藤先生が言った言葉です。

後藤先生は、5つ上の姉が通っていた英語塾の先生。

私が本が好きという情報を姉から聞きつけた先生は、ある日塾に私を呼び、「本が好きなんだね。いいね。ここにある本、いつでも来て読んでいいから。」と言って頭をなでてくれました。

1年に150冊本を読んだら、何者かになれる。

何者かに・・・なれる・・。

家に帰り、計算しました。えーと、1年に150冊ということは、12で割って、月に12冊か13冊か。よし!!!

塾で借りた本を読み、返して、また借りる。学校の図書室で、本を借り、また返す。

少女漫画の付録の小さなメモ帳に、読んだ本のタイトルと著者を書いていくのは喜びでした。今月は12冊。今月は15冊。よし。よし。よし。

習慣化するとそれはたいして難しいことでもなく、その年、気が付いたら167冊の本を読んでいました。小学5年生の私は、初めて達成感を味わいました。

どうしてあのとき本を読み続ける習慣を続けなかったのかと今は不思議に思います。

達成感を得た少女の私は、本に飽きたとか、興味をなくしたとか、そのようなことでもなく、ただ、ぱたりと本を閉じたのでした。

1年に150冊本を読んだら、何者かになれる

私は何者かになれたのか?いや、特に目立った変化はありませんでした。相変わらず、おとなしく、どこにでもいるような普通の子。

ただ一つ、それから国語の点数が恐ろしく伸びました。国語だけは学年トップクラスになり、それは、高校卒業まで続きました。そんな教科が一つあるというのは、ただただラッキーなこと。なぜなら英語は中の上、数学にいたっては10点とか、ひどいときには2点とか。

国語のおかげで救われました。

それからの私は、時々本にはまりました。宮沢賢治や村上春樹をむさぼるように読み漁った時期もあります。ただ常にそうしていたわけでは決してなく、読書記録を見ると、読んだ年で80冊、読まない年で2冊とか。

最寄り駅にツタヤが運営する今の素敵な市民図書館がオープンしてから、私の読書人生がまた少し変わりました。

出張や旅行にいくとき、朝ひょいと薄い本を1冊、選んでバックに入れる。

電車やカフェでそれを味わい、駅に戻ってきたら、ブックポストにひょいと返却する。本を返して旅が終わる。本が旅に色を添える。旅と本はセットになりました。

また、休日は図書館に長居します。朝は英字新聞と格闘する。午後はパソコンで最近始めたブログを書いたり。1階のスタバで、最新刊をうろうろと物色したり。そして、疲れたら、音楽が流れる極上ソファ席に移動して、小説を読みながらうとうとうと。

図書館には結構たくさんの人がいます。常連のおじさん、電源付の席をとりたい日は、高校生と競争。みんなが勉強したり、本を読みふけったり、それぞれに過ごしているのを見るのが結構好き。私もここにくるくらいしか、予定がないんだけど、みんなも同じようなものなのね。なーんて感じながら。

3か月前、聞く読書を始めました。アマゾンのオーディブル。プロのナレーターが本を読み上げるサービス。月額1500円で聞き放題です。通勤、家事、お風呂、あらゆる場面で読書ができるようになり読める本の数が飛躍的に伸びました。8月は24冊。小学4年生のペースを遥かに超え、読書体験を積み上げている40代の私。

1年間で150冊本を読んだら、何者かになれる。

後藤先生、わたし、ちょっと勘違いしていたみたいです。1年限定じゃだめだったんですよね?

読み続けられた人だけが、きっと何者かになれる。

本は飛行機よりも遠くに運んでくれる。何かのキャッチコピーです。

本を読み、遠くに運ばれる1年・1年のその先に、何者かになれる日がもしも待っているならば、ぜひそれを見たいと思う。

今日が人生で1番若い日です。

いつか、何者かになれるのか。みなさんも一緒に本を読んで、本に運ばれてみませんか?

飛行機よりも遠くへ。







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