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書き順のいらない手紙



拝啓 拉餃さま

 拉さんこんばんは。ご機嫌いかがですか。春の夜風が冷たくて気持ちがいいです。

 昨日も今日も、部屋の窓から見渡せる山々がとても近くて、瑞々しく粒だっていていました。そろそろ雨が降りそうだな、と思って、天気予報を確認したら明日は雨の予報でした。90%。絶対に降るよね。

 山が雨をわくわくしながら待ち望んでいるからでしょうか。それとも静かに満ちている湿度をたくさん蓄えているからでしょうか。とにかく近い。黄緑はもっと黄緑だし、深緑はもっと深緑。黒に近くなる感じ。拉さんとこから見える山はどうなんでしょ。近いですか?明日は雨でしょうか。最近は雨が好きなので嬉しいです。というかそもそも「山が近い」って表現って…する…よね…???

 おしゃれって難しいよね。わたしもおしゃれは苦手というか、何が合ってるかとかあんまりわかってないです。街ゆく人々みんなおしゃれに見える(いや実際そうなんだけど)。キラキラしてるよね、おしゃれ楽しんでる人たち。

 (どこで買ってるんですかその服。なんでトレンチコートやのに二枚重ねみたいになってるんですか。なんとかっこいいピアス…!あ、あのトップスGUや。同じの持ってる〜!でもめっちゃ着こなしてる〜〜!わたしが持ってるものと同じなのに〜〜!ごめんなんか〜〜)とか心の中でやかましく喋ってます。

 わたしが好きな服装の系統は、アースカラー多めで、一枚きたらおっけいみたいな、Tシャツとジーンズみたいな、シンプルなものが多いなあと思いつつも、シンプルなおしゃれって難しいじゃねーか!どこがシンプルや!と思いながら着てます。だけどきっと、好みというのは変わらないだろうし、marvelのTシャツ着て出かけることもあるだろうし、『うる星やつら』のTシャツも着て過ごすでしょう。

 そしてつい先日UNIQLOに行ってシャツを買いました。オーバーサイズシャツ。予想以上にオーバーサイズすぎてサイズを2つ下げました。オーバーサイズの意味をちゃんと分かってなかったです。だけどUNIQLOさんは素晴らしい。着やすいし肌触りいいいし、ちょうどいい「今ドキ感」。シンプルイズベストを地でいける感じ。ありがたいよUNIQLOさん。

 わたし、試着室に行くのがちょっとだけ苦手で、一人だとほとんど行かない。行かないっていうか行けない。緊張するんですよね。

 『今持ってるサイズが合わなくて、店員さんに「いかがですか〜?」って聞かれた場合なんて言おう。』

 『着た感じ思ってたんとちゃうなってなってるのに店員さんに「お似合いですよ〜〜」って気を利かせて言わせてしまったらどんな顔してなんて返事しよう』

 などなどを考えてしまって…。精神の地獄に身を投じることができるほど心がまだ強くないので、試着室に入るのは余程の強者にならない限りなさそうです。諭吉が数人動くことがない限りないやろうなあ。

 ちなみに髪を思い切ってツーブロにしてさっぱりしたので、服の系統が変わったように思います。メンズライクな髪型になったので、ワンピースはちょっと違うし、かといってピンクなどの明るすぎる服もまたイメージと合わないな、とか…。ありませんかそういうの。髪を切ったら服を買いたくなる衝動。新しい自分を装備したくなっちゃって、ゲームでいうキャラクタースキンを揃えるみたいな感じです。

 髪を切ることって一つの儀式のように考えている節があって、今までの滞ってた自分を切り落とす、みたいな断捨離感があります。切った後は物理的に頭も軽くなるし、心も軽くなる。わたしがわたし自身と訣別しているつもりかもしれません。

 よく聞く「失恋したら髪を切る」というのも、そういうところから来るんじゃないかなとふと思いました。生まれ変わりたい、やり直したい、みたいな、「心機一転」という言葉がほんまにぴったりやと思って。エクステのように地毛から毛を増やすのは、訣別ではなく継続しつつ自分を変える行為なので、断捨離感はないやろうし、物理的には重たくなるから、またちょっと違う。髪を染めることも、見た目は変わるけどこれもまた自分が継続されているので、あくまで切ることに意味があると思ってます。心の断捨離。また来月も行こうかな。

 

 書店巡りをする日はできるだけ晴れがいいよね。本のためにも。わたしの行きつけの書店は全て車がないと行けない場所ですが、近くに書店がある人は歩いていけるしなんなら読みながら歩けるという利点があるからいいなあと。あ、拉さんとこも車やったっけね。車も便利やからいいけど、歩いて書店に行ける人たちが羨ましいと思いませんか。住みたいよねそういうところに。

 谷崎潤一郎の本、わたしはまだほぼ未読ですが、面白そうだなあ。特にその『刺青・秘密』が気になる。読んでみたい…図書館でデビューしようかな…。

 わたしも最近書店巡りしてきました。後輩と二人で行ってきたのだけど、ちょうど天気もよくって、商店街の中にあるお店なので、車をパーキングに停めて徒歩で向かったのですが、日差しが柔らかくて散歩日和でした。

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 去年見つけて何度かお邪魔している素敵な本屋さんは、いつ行ってもキラキラしていて、穏やかなダウンライトに安心感を与えてもらい、店長さんの愛が詰まった選書棚に魅せられ、あれもこれもと手に取ってしまいがち。やけど限りある資金をうまく使わなければならないので、厳選しなければならず…。頭の中ではたくさんの本を手に取りましたが、グッと我慢して、実際は3冊だけ抱いて帰りました。

・エドウィン・マルハウス S・ミルハウザー

・ブランケットブルームの星型乗車券 吉田篤弘

・その落とし物は誰かの形見かもしれない せきしろ

 でした。今は積んでいますけども、これらはなるべく早く読みたいと思っているよ…絶対どれも面白いもんな…

 『エドウィン・マルハウス』はダークで濃密なコドモの世界を、幾重もの仕掛けとともに描いた傑作長編だそう。初めて読む作家さんですが、なかなか良さそうな予感。どんな仕掛けがあるのだろうか…楽しみのような、ちょっと怖いような…。

 『ブランケットブルームの星型乗車券』は大好きな吉田篤弘さんの作品で、一番読んでみたかった作品だったのですが、どこの書店にも置いてなくって。ですがなんと、4月10日に文庫本化したらしく、たまたま見つけたんです。『ラッキー!』と心の中で叫びました。めっちゃ嬉しい。読むのが楽しみです。

 『その落とし物は誰かの形見かもしれない』は、又吉さんと何度も共著を出されているせきしろさん単独のエッセイということで、拉さんももちろん好きやしなんならもう読了されてると思うんやけど、わたしも近々読むので、また語らいたいです。待ってておくれ…!

 最近、海外文学ブームが再燃しているので、そろそろ図書館へ行って何冊か借りてこようかな、と思っています。ただ、諸事情で地元の図書館へは行けないので、(ただ知り合いに会うのが嫌なだけ)隣の市に良さそうな図書館があることを発見したので、近々下見をしてこようと思ってます。拉さんは図書館結構利用するんやったかな。わたしは基本的に図書館は行かない(いや行けない)人だったのですが、諸々の事情により行かないという選択肢をとり続けるのは難しくなってきたので…。実は少しワクワクしているんです。良い本に出会えますように!

 そうそう、最近シルバニアファミリーを集めてるんです。いや、もうコンプしちゃったんやけどね。というのも、去年、コンビニでシルバニアファミリーの赤ちゃんシリーズが買えちゃうことを知り、一個買うとまあ可愛くて可愛くて…即コンプしちゃったんです。昨年はハロウィンシリーズ、今春はお菓子パーティーでした。

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 わたしのキャラではないと言われてしまったのですが、かわいいものは可愛いのでしょうがない。家族や友人の協力も経てスムーズに揃ったのですが、トータルで見たらえらいお金かかってんな、と思いました、このお金で本が何冊買えるんやとか思ったけどそれはそれこれはこれ。換算した瞬間心に闇が生まれるので換算しません。ええ、この子達の頭数を数えることもしません。家もないし、ただ飾るしかしてないのですが、無垢な瞳に癒されています。なんとまあかわいい。拉さんも1匹、心のオアシスにいかがですか。これ以上シリーズが出るたびに増えていくのはあれなのでここまでで留めておこうと(多分)思っています。十分だもの。

 拉さんも何か、集めているもの、ハマっていることとかありますか?また教えて欲しいなっ。

 そして最後にあった自由律俳句〈この通路だけ音が違う〉、偶然気づいたことなのかな、なんだか秘密めいた感じがしていいですね。道が何でできているかとか、足音が反響する場所なのかとか、いろんな可能性も想像できて楽しい。コツコツ鳴るのかな、ザッザッて鳴るのかな、それそも、、、、

 わくわくする自由律俳句やね。今度どこかへ出かけた時は、わたしも足音気にしてみよっと。

 それではわたしも近頃の生活の自由律俳句をいくつか置いて終わりにしたいと思います!またあつ森しようね!


◎     ◎     ◎     ◎     ◎

〈全く知らないドラマの話を延々とされる〉

〈スマホを充電しなくても大丈夫な日がくるとは〉

〈運転すると言ってもやんわり断られる〉

〈視界の端で祖母が阿波踊りをしている〉

〈別の人がしたのかというくらいセルフネイルの出来が左右で違う〉

〈肌寒いまま4時間が過ぎた〉



青野佑季

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