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何よりもまず先に、著者紹介文を見る

 本を読む際、最初に目に飛び込んでくる情報といえば表紙だが、その次は、表紙を捲った先にある遊び紙か、タイトルだと思う。少なくともそれが一般的だろうし、かつては私もそうだった。素直に行儀良く、ページを順番に捲っていた。
 それがいつからか、最後のページから開くようになってしまった。結末から読むのではない。奥付付近に記載されている著者紹介文を読むためだ。
 そこには著者の出身地や生年月日、受賞歴、他作品のタイトル、そして学歴などが記されている。私が真っ先に知りたいのは学歴で、次に生年月日、次に受賞歴だ。
 偶然か必然かはさておき、著者紹介文には高確率で『早稲田大学卒業』『慶應義塾大学卒業』といった立派な字面が並んでいる。その時点でもう十分に胃が重たくなるのに、更に作者が年若いことまで判明してしまうと、目の前が真っ暗に閉ざされる。本文を読みたくないとさえ思う。陰鬱な気持ちで本を裏返しにし、というより表返しにし、やや身構えながら最初から読んでみる。すると面白い物語が始まり、それがどこまでも広がっていく。やはり博識で努力家で知識欲がある人の紡ぐ話は面白いし、言葉も豊かなものだ。
 高学歴な作家の小説を読む度に、自分のどうしようもなさを痛感する。
 けれど上方比較に際限はない。だから最近は努めて著者紹介文を読まないようにしているのだが、本文読了後につい目に入れてしまうこともある。それで勝手にダメージを受けたり羨んだりして、挙句の果てには不貞腐れて終わる。
 いつか全く気にならなくなる日が来るのだろうか?

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