人生初の推しがこの先の人生のロールモデルになった
アイドルが嫌いだったわけでも、アイドルに否定的だったわけでもない。それでも40年強の人生で、アイドルに夢中になったことはなかった。
大好きなミュージシャンはいるけれど、ご贔屓の俳優さんはいるけれど、夢中って感じとはまた違う。
過去の恋愛においてもときめきを重視したことはなかったし(それゆえにシングルなのかもしれない)、好きなものや人はたくさんあれど、適度な距離感というのを大切にしていたんだと思う。
もしかしたら、誰か一人に熱中してしまうと守り続けてきた穏やかな日常生活が崩れてしまうと、私自身が恐れていたからなのかもしれない。
これまで守り続けてきたコンフォートゾーンをぶち破って、好きに向かって一直線にダッシュしている私は、この歳になって初めて出逢う私だった。びっくり。びっくりだよ、今までどこにいたの。
世間一般に言う「推し」の存在を認識したのは、2022年5月だった。友人たちと登山に行き、頂上でお弁当を広げてワイワイしている時、友人Aちゃんが突然「私今すごく好きな人たちがいる」という話をし始めたのだ。
Aちゃんは私が現代のナイチンゲールと呼んでいる、利他的で慈愛に満ち溢れ世俗の時間の流れとは違う次元で生きている看護師さん。仕事の傍ら自然農の畑をし、毎年タイに瞑想に行くような素晴らしい人だ。その彼女から、まさかそんな言葉が発せられるなんて!とその場にいた全員が「ええええええ!!!!」と大騒ぎになった。いつもは聞き役であることが多い彼女のトークスイッチがONになり、好きな彼らの話をするときの顔があまりにも可愛らしく輝いていて、本当にびっくりしたものだ。
その時点では彼らの存在に興味を惹かれたわけではなかった。ただAちゃんがそんなに好きになったのはどんな人たちなんだろう?という興味は湧いて、その後ちょくちょく彼らのMVなどを観るようになった。こうして順調にミイラ鳥がミイラになったわけなのだけれど…。
彼らの名前は防弾少年団、BTS。もちろんBTSの存在は知っていたし、MVを観るようになってから気づいたのだけれど、曲も結構知っていた。ラジオをよく聞いているので、ビルボードにチャートインしていた彼らの曲は聴く機会も多かったからだ。でもそれくらい。メンバーが何人なのかも知らなかったし、何歳くらいの人たちなのかも、知識はゼロに近かった。
Aちゃんはどの人がいいって言ってたっけ…と会話の記憶をたどりながらMVを観ていたら、そのうち私のyoutubeのアルゴリズムは「この人はBTSが好きなんだ」と認識したらしく、彼らのオリジナルコンテンツやファンたちがアップしているまとめサイトなどを、どんどん表示するようになっていった。気づけば、毎晩毎晩溺れるように明け方までそれらを観続け、9月にはファンクラブにまで入ってしまってた。沼落ちってこれなのね。
推しは人生の辛い時に自分を救うために現れる。
そんな言葉を知ったのはファンクラブに入った頃。2022年7月頃から、抱えている仕事の一つがうまくいかなくなり始め、それ故ボスとの関係性も悪化し、精神的にも肉体的にも追い詰められていた頃だった。やってもやっても結果を出せない仕事。より高いレベルの内容と対応を求められるも、基礎知識が不十分な分野が多く、都度調べる必要があり、とにかく時間だけが過ぎていく。私の提案に対するボスからの返事はNO、ほとんどスルーな日々が続き、眠れなくなり、体調を崩してしまった。
なんだかおかしいぞと思い、上記のAちゃん(看護師)に相談したら心療内科の受診を勧められた。40年強の人生、私はメンタル強者だと信じて疑うことはなかったのに。診断結果は「自律神経失調症」。お医者さんからは、早急にその仕事を辞めるようにと言われてしまった。
敗北感と自信喪失に打ちのめされて過ごす日々。彼らの音楽やコンテンツから伝わる彼らの努力や、素直さ、謙虚さ、ひたむきさにどれだけ救われただろう。励まされただろう。
私が長い間なおざりにしてきたことを、彼らは若き日から今まで変わることなく続けてきたのだ。憧れやときめき以上に、尊敬と敬愛の気持ちが募っていった。今も日々募り続けている。私も彼らのような良き人になりたい。良き人でありたい。彼らの仕事への情熱や真摯な姿、ファンへの愛情や優しさ、メンバー同士を尊重し尊敬し合う姿、全てが私のロールモデルになった。今後彼らが成長し変化し続け、ますます輝き続ける姿をずっと追いながら、いつかその背中にタッチできるくらいになりたい。
彼らが世界中で愛される理由は星の数ほどあって、一人一人のファンが彼らを愛する理由もまた様々だろう。ただ共通していることは、彼らがファンの人生の辛かった時期をその活動全てで支えてきたこと。そして彼らが自分自身やファンのために、今も数秒後も常に自分を良くしようと努力し続けていることだと思う。奢ることなく常に謙虚でひたむきな姿。
彼らはそれぞれの活動に120%の力を注ぎながら、近い未来またチームとして活動する日に向かって進んでいる。
2025年。私はこの2年でどれだけ自分の望む姿に近づくことができるだろう。より良く生きること、より良き人になることにどれだけ尽力できるだろう。
全ては私次第。挫折したり諦めそうになったり怠惰が生まれてしまうことだtってあるだろう。いやむしろその方が多いかもしれない。そんな時は彼らに戻って彼らから進もう。彼らがわたしの人生のロールモデルなのだから。
同じ時代に彼らがいてくれて本当にラッキーだった。彼らと出会えて本当にラッキーだった。この先もこのラッキーは続いてく。
人生初の推しが、彼らで本当によかった。
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