結び目
手を繋いでいると鼓動と体温と汗と一緒に思考まで暴かれてしまいそうで、怖い
自分を覆っている薄い水膜のような聖域をあなたの手が侵してこちらに触れてくる
その時ぼくらの水膜はうまれてはじめて一つになる
でも 手を離しても水膜が破れることはない
▷ 最初から
( アダムとイヴがいた頃から )
僕らは独りだと信じたいから
触れられて、拡張
針を通して、縫合
脊髄反射の一瞬、
たったそれだけで薬指はあなたを忘れて呪いになる
小指から出た糸は行き場をなくして自分の首を絞め続けているのに、静かな携帯を握り締めている
あなたという沈黙、わたしという狂騒、
モラトリアムに守られなくなった瞬間のこと
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