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ももこの幼稚園生活 ①

🌸2歳半で幼稚園に入ったももこの生活を何回かに分けて書いていきます。

モンテッソーリ教育の幼稚園に入園したももこ。2歳半のクラスは、幼稚園生活に慣れさせるために、まず短時間で週に2回から3回、様子を見ながらの通園だった。保護者の手を離れて、初めて見知らぬ子どもたちと集団生活を送る事は、2歳半の子にとってかかるストレスは大きい。

ももこが望んで入園した幼稚園でも、ももこは園の玄関で上履きに履き替える途中で泣き出して「おうちに帰る」と言い出したりした。「じゃあ帰ろう」と私が言うと、また泣いて「帰らない」と言う。母娘が押し問答を繰り返すのを黙って見ていた先生が、ももこをうまく誘導して教室に連れて行ってくれたことが何度もあった。

2歳半で幼稚園に入れた事が果たして良かったのかと思いながら、私は後ろ髪を引かれる思いで振り返りながら園を後にしたものだった。

幼稚園と保護者との連絡ノートがあり、先生方は順番に園内のももこの様子を毎日書いて渡してくれた。そのおかげで、ももこがどんな風に幼稚園生活を送っているのかを知ることができ、家庭でのフォローもしやすかった。

入園したてのももこは玄関先でよく泣きべそをかいていたが、玄関先で私と別れる度に泣かなくなって安心していたら、教室でお仕事をしている最中に「お母さんに会いたいの」と言って、よく泣いていた事を連絡帳で知った。

私は園でももこがよく泣いていたことを知っていたけれど、ももこには一切言わなかった。そしてももこも、家でそんな素振りは全く見せなかった。

ももこは環境に慣れるまで時間がかかる子なので、園で泣いていた時期はけっこう長かったように思う。それでも、本当に少しずつ少しずつ慣れてきて、園の中でも泣かない日が増えていった。泣かない日が増えても、ごくたまに練習を兼ねてお弁当を持っていく日があると、一口も手を付けないことが多かった。幼稚園での「おしごと」は楽しい、でもお母さんがいないのは寂しい、その狭間で踏ん張っているももこに、お弁当に手を付ける余裕などなかった。

ある日「ももこね、もう幼稚園で泣いていないよ」と言った。「ももこ、幼稚園で泣いちゃったことあるのね」と私が聞くと、「時々ね、おかあさんに会いたいなあと思うの。寂しくて泣いちゃったの。でももう大丈夫だよ」と恥ずかしそうにエヘヘと笑った。

年少組として毎日通園するのも間近な、春近い日のことだった。まだまだ幼いももこだけれど、少しずつ、でも確実に成長していた。


★モンテッソーリ教育では、子どもたちの成長や発達に必要な普段の活動のことを「おしごと」という言います。そしてその「おしごと」は、子どもたちが興味を持って「やりたい」事を自発的に行うものです。

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